
ルアー釣りで魚を逃さないために有効なフックの「多点掛け」。特にバラシが多いタイラバでは、フックの本数を増やすことで対策できたという実績が多い。乗り遅れないように、メリットとデメリットを理解しておきましょう。
タイラバフックの目的

タイラバに使われるフックユニットのほとんどが2本仕様。このことからもマダイは掛かりが悪く、バラシが多いことが伺えます。
マダイはタイラバのどの部分を口にするかですが、「ヘッドを目掛けてアタックしてくる」という答えを出す人が多いようで、ネクタイを齧ると表現する人も少なくありません。
どちらにせよ、エサ釣りのようにエサが付いたハリを食いにくることはないから、フッキング率はどうしても低くなってしまいます。さらにマダイの口は硬く分厚いため、口にフックを刺し通すことは難しいのです。だから「唇に掛ける」ことを目的にしており、マダイの口に対してフックが小さめなのもそのためです。一般的に魚を釣る場合の「硬い口にフックを刺し通す」釣りとは違うため、身切れでバラすことが多くなるのもこの理由です。
フッキング

直接フックを口にするわけではないので、アタリがあってからアワせても掛かりにくいのはこのためです。しかし、ネクタイやスカートの工夫の恩恵か、掛けタイラバでも実績が上がっています。状況により「乗せ」か「掛け」かの優劣は違ってきますが、フッキング率は一昔前に比べて断然高くなっているようです。
フックの数

まずフックが2本付いている理由については、1本よりも2本の方が掛かる確率が高いというのもそうですが、掛けた力を分散させてよりバラシを防ぐという目的が大きいです。これをさらに強化したのが3本や4本フック仕様です。確率論だけでいえば3倍・4倍になるのですが、もちろん理由はそれだけではありません。
唇にフッキングさせた後、魚体のどこかに掛けるというのが目的です。いわゆる「バラシ防止策」であり、単純に掛かりやすくなったわけではありません。多くフックを取り付けることでフックユニット自体が重くなるため、魚が吸い込みにくくなることも考えられます。さらに根が荒い場所では根掛かりも多くなります。もっとも、フックを多くするとラバーにフックが絡んだり刺さったりする確率も高くなるので、ラバーは細め、ボリュームも少なめを選択します。
フックの強度と刺さり

唇に掛けるためのフックサイズは小さめがよいと説明しましたが、もちろん大きなフックを使ったタイラバもあります。これは好みでよいですが、軸は太い方が無難です。細ければフックの大小に関わらず伸びやすくなるからです。
マダイ狙いのフックは総じて太いので、マダイの力が強いことが分かります。タイラバフックに要求されるのは、掛かりやすさと強度。太い軸なのに刺さりやすさが必要という矛盾した内容ではありますが、唇に掛けるという目的だからさほど問題にはなりません。問題なのは、根掛かりなどしてフックポイントが甘くなっているのにそのまま使い続けることです。掛け損ねたり、バラした後は必ずフックポイントを確認しましょう。
使い方

ここまでフックを多くすることのメリットとデメリットを説明してきました。結局タイラバやネクタイのカラー同様フックの本数も、その日によって当たり外れがあると考えるのが一般的でしょう。
だとすれば、釣り始めは状況を見るためノーマルの2本フック仕様で行い、魚の活性や根の荒さなどに応じて本数を調整するのが理想でしょう。
だからセブンスライドのジャンプパーツのように取り付け、取り外しができるものが重宝します。詳細な結び方を解説したので、ぜひチャレンジしてください。
ジャンプパーツの使い方は本数を増やすだけではなく、2本フックの片方に不具合が出た場合の替えフックにもなるという利点があります。結び直すのは容易ではないため、破損したフックを切ってこのパーツでフックを足すことで元の状態に戻せます。だからジャンプパーツをうまく使うことで、いつもフックの状態をベストにしておくことも可能です。
タイラバ自作フックの作り方


①準備するものはマダイ用のフック、ジャンプパーツ、PEライン(8号)。

②ラインの先端から15㎝ほどのところを左手でつまみ、右手で先端を持ちます。

③ラインの真ん中付近に右手中指を入れます。

④中指と先端の真ん中付近を左手でつまみます。これで輪ができた状態。

⑤指はその状態のまま、右手中指を回すように向こう側から下に移動させ、先端の指も同様に向こう側へ持っていきます。

⑥左手の中指でラインの先端部分を下側に押さえ、先端部をつまんでいる右手を離します。

⑦再びラインの端を右手でつまみます。

⑧同様に⑤〜⑥の手順でラインの先端をもう1回巻き付けます。

⑨再び右手でラインの先端をつまみます。

⑩ラインをつまんでいる左手を開き、最初の輪の中に下からラインの先端を通します。

⑪結び目が絡まないようにゆっくりとラインの先端を引いて結び目を締めます。

⑫ここでプライヤーやペンチなどを使って結び目を90%ほど締めておきます。

⑬本線を引いて輪を5㎜くらいまで小さくします。

⑭ジャンプパーツを切り離します。接続部が細いため簡単にねじって切り取れます。切断部の残りはラインが当たる部分の反対になるため釣りに影響はありませんが、気になる場合は本体を傷つけないように注意してカッターなどで切り取ります。


⑮ジャンプパーツの切り取り部分が指先側に向くようにして人差し指の上に乗せます。

⑯ジャンプパーツにラインの輪を被せます。

⑰親指を閉じてジャンプパーツをつまみます。

⑱指で強くつまんだまま、ゆっくりと本線を引いて輪を締めます。

⑲結び目が切り取り部分にくるように調整して本締めします。

⑳不要なラインをカットします。

㉑ズレないか確認します。

㉒ジャンプパーツから10㎝ほどのところでラインを切ります。

㉓フックとラインを平行にします。ジャンプパーツの結び目とフックの頭が同じくらいの場所に調整します。

㉔左手でラインとフックをつまみ、右手でラインの端を持ちます。

㉕フックの上側からラインの端を向こう側に持っていきます。

㉖そのまま下側まで巻き付けます。

㉗もう一度上側に持っていきます。ジャンプパーツのラインが一緒に動かないように注意。左手側に押し付けるように巻くと動きにくいです。

㉘ラインを再び下まで持ってくきます。これを4回巻き付けます。

㉙結びが解けないように気をつけ、左手から右手に持ち替えます。

㉚最初にできた輪に、下からラインの先端を通します。


㉛ゆっくりとラインの先端を引いて締め込み結び目をフックのミミまで持ってきます。


㉜ラインの向きに注意。必ずフックの内側からラインが出るようにして、プライヤーなどを使ってしっかりと結び目を締め込みます。


㉝余分なラインをカットして完成。


㉞使用しているアシストフックに差し込んで使います。長さを調整すればバリエーションが増えます。