「魚に合わせたロッドを選びましょう」と、よく言われますが、どういうことでしょう。
これを理解するためにはいくつか知らなければならない項目がありますが、その中にロッドの「テーパー」があります。
「長さ」「硬さ」はなんとなくイメージが付くと思いますが「テーパー」といわれても、いまいちピンとこないと思います。
テーパー(調子)とは

テーパーとは、ロッドの曲がり方のことを指します。同じ長さの同じ硬さのロッドでも、テーパーが違えば根本から曲がったり、穂先だけが曲がったりといった変化があります。
テーパーには下記の種類に分けられます。
・エクストラファスト
・ファスト
・レギュラーファスト
・レギュラー
・スロー
・パラボリックス
これらは上から順に曲がる頂点が穂先側から胴へと移動していきます。メーカーのロッドスペック表ではアクション(Action)という表記になっていることもあります。
テーパーが違うと魚とのファイトや、ルアーのアクションがやりやすいかどうか、アタリが取りやすいか、フッキングがしやすいかなど、さまざまな変化が発生します。
もし魚に合っていないロッドを使うと、魚が食ってきたときにうまくアゴをハリが貫通しない(アタリを弾く)ケースや、細かなアクションを付けづらく食わせられないなどの問題が発生します。
では具体的にどのような違いが発生するのか詳しく解説していきましょう。
テーパーによる違い
フッキング・ファイト

「アタリを弾く」、つまり魚がハリまで咥えたのに、うまく掛からないといった現象の発生率は、テーパーがスロー気味だと発生しづらくなります。
穂先から胴へとゆっくり曲がってくれるスローテーパーは、魚が咥えているときに違和感を与えづらく、魚が泳ぐ力でハリを深く差し込んでくれます。これを向こうアワセといいます。
掛けたあとも魚の動きにも追従しやすく、粘り強いファイトが可能となります。
ただ、向こう合わせだとハリ掛かりが甘くなりがちな一面もあります。
感度

ロッドの感度が求められる場合には、より穂先側から曲がるロッドが求められます。
魚のアタリに合わせてこちらからフッキングさせるような釣りに向いており、掛けの釣りと呼ばれています。
前項の「フッキングしやすさ」と「感度のよさ」は相反する部分があり、そのためファスト寄りのロッドは「掛け調子」、反対にスロー寄りのロッドなら「乗せ調子」と呼ばれています。
ロッドアクション

リフト&フォールやジャーキングなど、ロッドアクションの付けやすさはテーパーによって変わり、適したロッドだと、よりルアーの力を発揮しやすくなります。
たとえば、上の図のような穂先をちょんちょんと動かすような細かなアクションを付ける場合は、穂先が曲がるファスト寄りの方が動かしやすくなります。
また、ペンシルベイトやジギングで行うような、大きくロッドを煽る動作は胴調子の方がやりやすいとされています。
キャストのしやすさ

一般的にはスロー寄りの方がルアーの重みを利用してロッドがよりしなるため、キャストしやすいとされています。
特に重たいルアーを投げるときは、ロッド全体がしなってくれるので、入門者でもより遠くへ飛ばせるようになります。
ただし、扱うルアーが軽い場合、ルアーの重みでほとんどロッドがしならないケースもあり、スローテーパーだとかえって飛距離が出ないケースもあります。
その場合は、スナップを効かせてスイング速度でロッドを曲げるキャストとなり、曲げる範囲が先端だけで良い先調子の方が望ましいでしょう。
各テーパーの特徴
先調子

エクストラファスト
穂先に向けて8:2くらいの位置から曲がるテーパーで極端な先調子となります。
ルアーに繊細なアクションを付けやすく、感度が非常に良いことが特徴です。反面、キャストがやりづらく、バラシも多くなる欠点があります。ライトゲームロッドに多いテーパーです。
ファスト
先端に向けて7:3あたりで曲がるテーパーとなります。
エクストラファストよりはキャストしやすく、ある程度ルアーの操作も簡単で感度もよいためエギングロッドなどによく採用されています。
レギュラーファスト
胴調子と先調子の分類で、中間的な位置に分類され、シーバスロッドやバスロッドなどで多く使われるテーパーです。
ある程度ルアーアクションも出来て、巻き抵抗が大きなルアーでも手首への負担が小さいため巻き物系も得意な汎用性の高い調子です。
胴調子

レギュラー
5:5というちょうど真ん中あたりから曲がってくれるロッドで、キャストも楽で巻き物にも適している、ビギナーでも扱いやすい調子です。
重たいルアーも投げやすく、扱えるルアーの幅も広いことが利点です。反面、繊細なロッドアクションにはあまり向いていません。
スロー
ロッドが全体的にしなってくれるため魚の引きを吸収し、ファイトを有利にしてくれます。重たいルアーを巻く釣りなどに適しており、ジギングやタイラバロッドで多く採用されています。
キャストもしやすく、ワンテンポタイミングを遅らせるフッキングをするトップウォーター系とも相性がよいとされています。
パラボリックス
ロッドの曲がりにピークポイントが設定されておらず、スローよりもさらに根本から曲がってくれます。元調子とも呼ばれます。
食い込み重視で、青物、大物狙いの釣りに使われます。
総合的に判断すべし

ロッド選びには「巻き物で飛距離も稼ぎたいけど、ワームで繊細な釣りもしたい」など、相反する部分も多いと思います。だから複数ロッドを持っている人がいるわけです。
ただ、欲張りすぎるとよけいな荷物が増えて、ランガンもしづらくなってしまいます。それより、自分がどんな釣りを主体にするかを考えて、総合的に判断して選ぶ方がよいでしょう。
もし初心者で、どれを選べばいいか分からない場合は、自分がやりたい種類のロッドで中間的なポジションの番手を購入するとよいでしょう。