アンダーハンドキャスト

乗合船でのキャストは、危険防止のため船長の許可がない限りはアンダーハンドキャストがルールなので、まずはこれを覚えておく必要がある。
竿先、ルアーを船外に出した状態で、下から上に向かってスイングしてルアーを飛ばすのがキャストの基本スタイルで、慣れないうちは、ロッドをめいっぱい後ろに引いた状態からすばやく前に振りだすといいだろう。
遠くに飛ばすには
振り幅が小さくスイングスピードも遅いこの方法では、飛距離を出すことは難しいので、次のステップとして、ロッドの反発力を利用したキャストを覚えておくことをおすすめする。
方法は竿先から垂らしたルアーを振り子のように使い、その重さでロッドを後ろにしならせてからキャストするというもの。
ルアーの重さを利用してロッドの反発力をため、それをうまく前方へのキャストにつなげるタイミングを覚えれば、飛距離を格段に伸ばすことができる。
スイング
スイングのとき、グリップエンドを持つ手を胸に向かって引き寄せながら、反対の(リールフットの部分を持つ)手を、目標に向けて押し出すようにすれば、ロッドの反発力を充分に利用でき、コントロールも付けやすい。
慣れないうちはルアーの垂らしを20㎝ほどと短くするのがコツだ。
危険のない範囲で船から上半身を乗り出し、サイドハンド気味のキャスティングフォームを取れば、さらに飛距離を伸ばすことができる。
オーバーヘッドキャスト

岸からルアーを投げる際に最も多用するキャストフォームで馴染みは深いが、振り幅が大きいので混雑した乗合船には不向きなキャスト方法でもある。船長からの許可があり、安全を充分に確保できる場合のみ行おう。
アンダーハンドに比べ飛距離、コントロールともこちらのほうが有利なのは間違いない。
安全の確保とトラブル回避
キャストごとに、周囲の特に背後に人がいないことを確認する。隣との充分なスペースがない場合は、譲り合って順番にキャストすること。ちなみにミヨシ(船首)に近い人からキャストするのがマナー。
安全を確認したら、テイクバックの姿勢を取り、ルアーを振り子の要領で後ろに振って重さが乗ったところでスイングを開始する。
こうすることで、ラインに瞬間的に高い負荷が掛かるのを抑えることができるので、キャスト時のラインブレイクを減らせる。

また、リールのスプールからの初期の放出も安定し、ラインがガイドをスムーズに通過するので、ガイド絡みのトラブルを防ぎ、飛距離を伸ばすことにもつながってくる。
テイクバックのときはルアーが船の外に出るような立ち位置を取ること。こうすればルアーが後ろの障害物に当たることはないので、安全に、安心してフルキャストできるからだ。
狙う場所

ナブラ

分かりやすいのが、フィッシュイーターに追われて海面で逃げ惑う小魚の群れめがけてルアーをキャストするナブラ撃ちだ。
船が近づきすぎたりルアーをナブラの中に入れると、小魚が驚いて潜って消えてしまうこともあるので、ロングキャストとコントロールが必要なシチュエーションとなる。
狙うべきはナブラの端か少し離れた場所。観察しているとナブラの進行方向が分かるので、ナブラが進む方向の少し先にルアーを投げることが望ましい。
鳥山

イワシなどの小魚は鳥たちにも狙われているため、鳥が上空で群れ急降下している場所の下には、ベイトフィッシュが群れていると予想できる。
鳥達がこのような行動を取り続けているときは、下に青物などがいて潜って逃げられない状態であることが多いのだ。
潮目

海の色や海面の波立ち方が違う場所の境目は、海流がぶつかっている場所の目印。この潮目は表層だけではなく、海中では壁のようになっていて、海水温、溶け込んでいる酸素や栄養分、塩分濃度などが異なっている。
条件のいいほうの海流を泳いでいるベイトフィッシュは、この壁にぶつかったときそれを避けるため、この境目に沿って回遊し、ときには溜まっているため、これを狙う大型回遊魚に出会う確率も高い。
海上の浮遊物
流木など大きめの浮遊物には、小魚が付いていることが多く、これを狙う大型魚がその周囲をうろうろしている可能性が高い。
シイラはその代表格で、まず、海上の浮遊物を探すことからシイラ釣りは始まるともいわれている。効率良く狙うためにはパヤオなどが有効だ。
瀬、沈み瀬

地形の変化も重要な要素、小魚の隠れ家になるだけでなく、潮流に適度な変化をもたらすことで、小魚たちのエサになるプランクトンが溜まり、波がぶつかってできたサラシには酸素が豊富に溶け込んでいる。このような魚が集まる要素を多く備えているのが、地形の変化なのだ。
ルアーの操作

狙った場所にキャストが決まったら、着水と同時にすばやく糸フケを回収し、ラインを張った状態にする。糸フケが出ている状態では、ルアー操作はおろか、着水直後にバイトがあってもフッキングすらできないからだ。
糸フケを回収したら、ロッドのシャクリとリーリングの組み合わせで、ルアーに生命感のある動きを加えてアピールさせる。
ジャーク

ロッド全体を使ってルアーを強く大きく引き込むのがジャーク。ロッドの引き幅が長いとロングジャーク、短いのをショートジャークという。
ジャークの後は、ごく短い時間ルアーをステイさせ、バイトチャンスを与える。そのタイミングで引き込んだ分のラインをリールに巻き取りながらロッドを戻し、フッキングと次のジャークの準備をしよう。
強く引かれたルアーは、波動と音を出しながら水面を移動したり、水中に頭を突っ込むような動きをする。
ルアーの動きにメリハリをつけるには、ある程度の強さ、速さでロッドを引き込むことが必要だが、アピールが強すぎて魚の追いが悪いときは、より弱く、よりゆっくりとした動作を意識したスロージャークが有効になることもある。
トゥイッチ

ロッドの真ん中より先の部分の反発力を利用し、ラインを弾くように小刻みなシャクリを連続して入れるのがトゥイッチだ。
糸フケを回収した状態から、竿先を少し送り込んで小さな糸フケを作り、それを弾くように手首を使ったシャクリを入れ、ルアーに瞬間的なテンションを掛けて小さく移動させること。
シャクった分の糸フケは即回収し、間髪入れず再度竿先を送り込み、同様の操作を繰り返すのが操作のコツだ。
ルアーを引いた直後ラインテンションが瞬間的に抜けることで、ルアーのヘッド部分の動きが、大きくなるため、ペンシルベイトのドッグウォークのような操作の演出に役立つ。
ハイスピードリトリーブ

高速で巻き取ることにより、ルアーをアピールさせる。
ターゲットとなるフィッシュイーターは、かなり速い速度で泳ぐため、ハイギアリールで限界に近い巻き取り速度でも、バイトしてくる。
何度もチェイスがあるのに、ルアーをアクションさせたりステイさせたりすると、追うのをやめるようなときは、高速リトリーブを数回繰り返しながら、リトリーブ中の速度を少し遅くするタイミングをいれるだけでバイトしてくることもある。