ベイトタックルを敬遠する人の中には、苦手意識を持っている人は少なからずいるものです。
確かに、ベイトタックルはバックラッシュという、スピニングでは起こりづらいライントラブルがあります。酷い時はラインを大量にカットしたり、修復までにかなりの時間が必要なこともあります。
しかし、ベイトタックルしかないメリットがあることも事実。そこでベイトデビューする人のために、ベイトタックルのキャスティング方法について解説します。
スピニングタックルとベイトタックルは投げ方が違う
リールの種類問わず、投げ方の基本はオーバーヘッドキャスト。
しかし、同じ名前のキャスティングで、見た目はほとんど違いがないのに、ベイトタックルを使うアングラーは「スピニングとは投げ方が大きく変わる」といいます。
その大きな要因はリリースポイントとテイクバック、後は振る際のコツにあります。

ここでスピニングリールのオーバーヘッドキャストをおさらいしてみましょう。
スピニングの場合はテイクバックでルアーの重さをロッドに乗せたら、ロッドを大きく曲げるために加速させ、手前45℃のあたりで開放し、そのままロッドを正面真っすぐまで振り抜きます。
しかし、ベイトの場合、ルアーの重さをロッドに乗せるまでは同じですが、それ以外はまるで違います。
ベイトタックルの投げ方のコツを簡単にまとめると以下のようになります。
・急加速させない
・リリースポイントは、ほぼ真上
・ロッドを振り抜かない
これらを意識するだけでも大きくバックラッシュは改善します。では準備段階から順番に解説していきます。
基本的なベイトリールブレーキ設定

ベイトリールを使う前に必ずブレーキの設定を行いましょう。
ベイトリールには主に二つブレーキが搭載されており「メカニカルブレーキ」と「システムブレーキ」があります。
メカニカルブレーキ
メカニカルブレーキは、スプールを物理的に締め付けることで、フリーになったときの回転を抑制するものです。そのため、緩めるとスプールがカチカチと左右に動くはずです。
このスプールのガタツキがなくなるギリギリのポイントをゼロポジションと呼び、これがメカニカルブレーキの基本設定となります。

システムブレーキ
「システムブレーキ」にはマグネット、遠心、DC(デジタルコントロール)の3種類があります。
それぞれ細かい違いはありますが、基本的にはスプールの回転速度が緩まり始めたときにブレーキをかけて、バックラッシュを防ぎつつもキャストの飛距離を伸ばすというものです。
ブレーキシステムの細かい違いはありますが、最初はブレーキを最大にしておき、キャストに慣れ始めたら、飛距離を伸ばすためにブレーキを緩めるようにしてみましょう。
キャスト時とリトリーブ時の持ち方の違い


ベイトリールに対する考え方はいくつかありますが、基本的には「キャスト時にはワンフィンガーグリップ」そして「リトリーブ時はスリーフィンガーグリップ」となります。
ワンフィンガーグリップは左上の写真のように人差し指と中指の間にトリガーをかけて、スプールを軽く抑えるように持ちます。
キャスト時にはリールを横に倒して、ハンドルが上(右ハンドルの場合)、もしくは下(左ハンドルの場合)になるように構えます。
そして、着水後、左手の小指と薬指でトリガーを挟むようにして、リールごと包み込むように持つ。これがスリーフィンガーグリップ(パーミング)です。

ただし「キャスト時、リトリーブ時どちらもツーフィンガーグリップ」、「左ハンドル派」という人もいて、結構意見が分かれています。
この点に関しては議論が耐えない箇所なので、ここでの言及は控えますが、一般的には「キャスト時はワンフィンガー・リトリーブ時にはパーミング」を推奨されています
右ハンドル・左ハンドルについては、アングラーによって意見二分されています。なので、釣具店で実際に触らせてもらい、どちらが使いやすいか試してみるとよいでしょう。

ベイトタックルでの投げ方(オーバーヘッドキャスト)

まずタラシは30〜50㎝程度、少し短めに取ります。
スピニングの場合は後方45℃程度で折り返しますが、ベイトタックルの場合はさらに深めにテイクバックを取ります。そして、ロッドの反発を維持しつつ、前方へ戻します。
テイクバックを取るというよりは、後ろに振ってその反発でそのまま戻すといった感覚です。
指を離すポイントは前述した通り真上。利き腕が頭を超えるあたりで指を離します。
指を話す前に、遠心力でラインが少しずつ出ていきますが、変に止めようとすると力んでしまいますので、そのまま出して上げた方がよいでしょう。

そして、振り抜かず、やや斜めに構えるくらいでロッドを止めます。
このとき大事なのが、真っすぐ後ろに振り、真っすぐ振り下ろすこと。このときの角度がズレると、着水点も狙いからズレます。
そして、振り下ろす際は力を入れて一気に加速させようとしないこと。そして、着水直前にスプールを親指でかるく抑えます。これをサミングと呼びます。
バックラッシュしない投げ方を覚える練習方法
原理としては前述した通りなのですが、「リリースポイントが分かりづらい」だったり「加速させないって具体的には?」といった疑問点が出てくるでしょう。
この点に関しては習うより慣れるのが一番。練習方法は「素振り」と「サイドキャスト」といった方法があります。
素振り

まず素振り。クラッチを切らずにロッドを前、後ろと同じ速度で振ります。このとき、ルアーは穂先を常に追従している必要があります。
ルアーが変な軌道を描いて「カックンカックン」というようにテンションが抜けるような感覚が手元に伝わってきたら失敗です。
この場合は、タラシが長すぎるか、ロッドが一定の速度で振れていない、もしくは力みすぎている可能性があります。あくまでゆっくりと、常にルアーが穂先を追従している状況を保ってみましょう。
サイドキャスト

サイドキャストは、オーバーヘッドを横にするだけで、やり方の基本は同じです。リリースポイントが遅いと、ルアーは正面から左にそれ、速すぎると右側に着水します。
オーバーヘッドで練習してしまうと、手前にドボンと落ちてしまうか、上にキャスト(テンプラキャスト)してしまい、どちらも高確率でバックラッシュします。
しかし、サイドキャストの場合は左右にそれるだけなので、バックラッシュしづらく、練習回数を増やすことができるのです。
どうしてもバックラッシュする場合に見直すポイント

まずは着水の直前にサミングする癖を付けましょう。
ブレーキ設定がしっかりしていれば、着水時のバックラッシュはほぼ避けられますが、サミングがしっかりできるようになれば、ブレーキシステムをある程度緩めることができ、飛距離を伸ばせるようになります。
もし、キャスト直後にバックラッシュする場合は、ブレーキ設定が緩すぎるか、ロッドの振り方がまだ悪い可能性が考えられます。
着水の前にバックラッシュする場合は、向かい風が原因と考えられます。
風によってルアーの飛行速度が急速に落ちたことにより、バックラッシュを引き起こすのです。この場合は、ブレーキを少しキツめにすると対処できるでしょう。
正しいキャストを覚えてベイトタックルを使いこなしてみましょう。