
オフショアフィッシングに不安を持つ人の多くは、船酔いを心配していることがほとんどです。数少ない乗船回数で不快な船酔いを経験してしまうと、それがトラウマになり自然と船を避けてしまうのは当然のことではあります。
しかし、船酔いは多くの場合、克服が可能です。百戦錬磨のベテランアングラーでも最初から船に強かったわけではなく、誰しもが一度や二度は必ず経験しているのです。克服した先に素晴らしい釣果が待っていると思えば挑戦する価値はあるでしょう。何度もつらい思いをしないためにも、船酔いを避ける方法を覚えておきましょう。
船酔いを始め、乗り物酔いの根本的な克服につながる最も効果的な方法は、「慣れる」ことです。体がうまく適応しようとして起こる反応なので、酔ってしまうからと避けるのではなく、酔い止めの薬やグッズを使ってでも船に乗って慣れることが肝心なのです。
船酔い対策
十分な睡眠をとる
睡眠不足は大敵。最低でも6時間程度は睡眠時間を確保しましょう。
空腹・満腹を避ける
空腹でも満腹でもいけません。消化の良いものを満腹にならない程度に腹7~8分目に留めよう。
乗船前に食事を摂らない
乗船の1時間前くらいから、胃を刺激しないよう食事を摂るのを避けましょう。梅干しや柑橘類など生唾が出る酸っぱいものは、胃を刺激して逆に酔いを促進してしまうので特に酔ってからは厳禁です。
船の後部(トモ)を避ける

後部は船のエンジンの排気ガスの影響が大きい所。また、前部(ミヨシ)も揺れが大きいので避けよう。
手元を集中して見ない
目からの情報と耳からの情報にずれが生じないよう、遠くの景色を眺めるようにしましょう。ノットやルアー交換はできるだけ手早く。じっと手元に集中してしまうと、すぐに酔ってしまいます。
酔い止め薬やグッズを使う
不安であれば飲み薬や腕に巻く酔い止めバンド、グッズを活用しましょう。実際に効果はあるし、安心感がより酔いにくくします。
体を締め付ける服装は避け、よく動く
窮屈な衣類を着て同じ姿勢のままじっとしていると、血流のめぐりが悪くなり、船酔いしやすくなります。安全面に注意しながらストレッチなどをして、できるだけ身体を動かすようにしましょう。
乗り物酔いが起こる仕組みを理解して対策をとろう

冷や汗、生唾、だるさ、吐き気、嘔吐といった乗り物酔いの症状は、自律神経のバランスが崩れることで起こります。その症状が出るまでには3つの段階があるといわれています。
1段階目は、視界から入ってくる情報と耳で感知される情報にズレが生じることで脳が違和感を覚えることです。乗り物に乗って感じる加速度、揺れ、回転などの刺激は、内耳にある三半規管や耳石器などがセンサーとなり、その情報を脳に伝えています。こうした耳からの情報と、目から入ってくる視覚情報は普段だと一致するのですが、振動や不規則な揺れで目と耳からそれぞれ入ってくる情報がズレていると認識されれば、酔いの段階が始まります。
ちなみに自分が運転していると、ほとんど酔わないのは、景色が自分の操作どおりに動くため、目と耳から得られる情報にズレが生じにくいからです。
2段階目は、この情報のずれが「不快」と判断されることにあります。過去の不快な記憶と照らし合わせて、情報のずれを「不快」と判断するようです。
3段階目は、乗り物酔いの「症状」が起こる現象です。不快と認識すると、すぐに自律神経に働きかけます。そうなると自律神経は異常に興奮し、冷や汗や吐き気などの症状を引き起こします。胃の収縮をコントロールしているのも自律神経なので、胃が不規則に動き収縮することで嘔吐してしまうということになります。
ということは、1段階目で対策をとっておくことで、船酔いを食い止めることができそうです。
最強の一押しアイテム「酔い止めメガネ」

「酔い止めメガネ」というアイテムがあります。一見するとレンズが4つあっって怪しいものに思えますが、このレンズのフレーム内に平衡感覚を保つ仕組みが施されているのです。
ブルーの部分には液体が内蔵されていて、揺れに応じて動くため、目と耳から得られる情報のズレを制御するようになっています。つまり、このメガネを掛けることにより、正面や側面からの視覚情報を常に水平化させるため、体は揺れていても目からの情報は揺れていないと脳へ伝達するため酔わない、という理屈になります。
これを強く推している記者は、何度も酔って船酔いを克服した口です。このメガネを掛けることによって全く酔いを感じなくなったし、陸上と海上での違和感を覚えることもなくなったのです。仕掛け作りはもとより、活け間の魚を処理する際に下を向くことが多く、このタイミングで酔うことが最大のネックでしたが、今ではノープロブレムなオフショアフィッシングを楽しめるようになったのです。
ただし、世の常で例外もあります。コレをかけたからといって万人が船酔いを克服するとは断言できませんが、酔い止め薬とメガネを併用することでより酔わなくなると思われます。