魚群探知機。乗合船を利用する場合、釣り人にとってあまり身近なものではなかったが、シマノのアプリTankenmaru SMARTなどを使うことによって、釣り人もダイレクトに情報を見ることができるようになった。
それでも皆が利用できるわけではないので、船長が魚探などソナー類から取得できる情報と経験により出した指示に従い、アングラーは推測してロッドを振る。
その「ソナー類から分かる情報」とはどんなものなのかを紹介しよう。
これを理解しておけば、船長が出した指示をもっと奥深く理解でき、自分なりの狙い方がより充実したものになるだろう。
ソナーの種類

音波を出して物体を探知するものをソナーという。
船に搭載されているソナーは、サーチライトソナーとスキャニングソナーがあり、どちらも船から下の海中を探知するものだ。
サーチライトソナーとは、船から海中前方に向けて6度幅の超音波を発射するもの。照射範囲が限られているため、順次角度を変えながら探知する。
スキャニングソナーは、360度・180度・45度、90度というふうに照射角度を決め、一斉にソナーを発射するもの。サーチライトソナーに比べて広範囲を瞬時に知ることが可能だ。
この他にパッシブソナーという音で探知するものもあり、主に軍事用で使用される。ちなみにレーダーとは電波で測定するもので、一般的にはレーダーは空中、ソナーは水中で使用される。理由は、音波は水中の方が空気中よりも伝達に優れているためだ。
通常どちらも搭載している船が多く、レーダーは航行用に陸上の地形や位置を把握するために使い、ソナーは海底や魚の様子を探るために使われる。
魚群探知機とは

ソナーは船の周囲全方向を広範囲に探るためのものを指し、魚群探知機は自船の下にいる魚を探ることに特化した装置のことをいう。だから、10㎞先までの魚の情報を得るためのものではなく、現在(ズレはある)の情報を的確に把握するためで、釣りに適しており判断もしやすい。
名前こそ「魚群」と付けられているが、実際には水深や海底の起伏を確認するためにも重宝され、根やカケアガリ、漁礁といった魚のすみかを容易に見つけることが可能だ。
現在では魚のサイズ予測ができたり、岩・小石・砂・泥など細かな底質の判別もできるようになっている。
装備機器

操舵室でよく目にする装置は、GPSプロッタやレーダー、ソナー、魚群探知機、無線機などであるが、遊漁船には潮流計や船速計を装備している船もあり、より海の状況が把握できるようになっている。
釣りを楽しむためだけではなく、乗員の安全を確保するのも船長の役目だから、 気象情報にも絶えず気を配っており無線で頻繁に情報交換している姿を見たこともあるだろう。
探知の仕組み

海中を探知するためには超音波が有効であり、それは魚群探知機にも利用されているということがわかっただろうか。
ご存知のように音波には周波数があり、15〜20kHz(キロヘルツ)までが魚群探知機で使用されている。周波数が高いほど波長が短いため指向角が狭くなり、低いほど波長が長いため広くなる。簡単にいうと、高周波は浅い場所をきめ細かに探知する能力に長けており、低周波はざっくりとなるが、深くまで探ることができる。
一般的なプレジャーボートに搭載されるようなコンパクトな一体型魚探は、商品にもよるが、低周波の50 kHzと高周波の200 kHzの2周波数を送受信できる電子回路が組み込まれていることが多いようだ。
漁船などで使われる高機能のものでは、他の漁船との干渉を避けるためだったり、探知しにくい魚種をより明確に探知するために、周波数を多段階に設定ができるようになっている。
