エギ各部の名称

日本最古のエギは、鹿児島県の西表島・屋久島・種子島で江戸時代のものが発見されています。焼けた木にイカが抱き付く様子をヒントに開発された「焼き餌木」は、魚型と思われる焼き模様が入っています。
その後、大分型・山川型・五島型・山陰型・紀州型などに分かれ現在のエビ型に至っています。

素材
ボディは木や樹脂製が主流です。海底を引いたり、岩にぶつかるため耐久性を要します。ルアーで培われた技術を取り入れるなど、エギ自体のアクションも進歩しています。
カラー
布巻きタイプが多いです。上布の定番色はピンク・オレンジ・イエロー系ですが、ダーク系を好んで使う人も多いです。紫外線で輝くケイムラカラーもおすすめ。
エギのサイズ
春は大きめ、秋は小さくが一般的ですが、エギは釣れるイカの1/2以下にするのがセオリー。
基準は3.5号。深い場所では重く、浅い場所では軽くが基本ですが、ゆっくりと沈めたいときやボトムを中心に狙う場合などでも使い分けます。また、穴あきタイプはオモリを追加したいときに便利です。
フック・カンナ(傘針)
全傘タイプと半傘タイプがあり、後者は根掛かり防止を重視したもの。フックの形状もストレートやカーブなど、イカを逃がさないための工夫が施されています。
また、色もシルバーとブラック系に加え、赤バリも使用されるようになりました。
アイ(目)
夜光玉を使用しているものが多いですが、目玉タイプもあり、取り付け位置や形状に工夫を凝らしています。
ラインアイ(接続部)
主流は金属製のスイベル式。エギの動きにこだわった糸製のものもあります。結び方が曲がっていたりするとエギの泳ぎに影響するので、真っすぐに結びましょう。
羽根
前方に付いているエギが多いですが、後方やヒレのようになっているものもあります。
基本の使い方

エギを使う釣りの基本は、ロッドとリールを使ったエギングが主流です。ラインの端にエギを取り付けて投げ、着底させてシャクリで誘いながら釣ります。
基本動作が少ないエギングでは、このシャクリ方が重要視されており、さまざまなアクションでエギをイカにアピールしながら狙います。
しかし、あくまでもエギにイカを抱き付かせることが目的なので、まずは基本的な狙い方を知っておきましょう。
闇雲にシャクってもイカは釣れないので、シャクリはアピール、ステイ(フォール)で食わせることを覚えておきましょう。
エギの号数の基準

釣りでは号数でサイズを分けられることが多いです。
○竿/号数/硬さや太さで号数分け。
○リール/番数/糸巻き量による番数表示。
○ライン/号数/太さで号数分け。
/ポンド/強さで表示。
○エギ/号数/長さで号数分け。
このように太さ、重さ、長さと基準がバラバラですが、エギの場合はエサに似せていることもあり、長さが基準となっています。
号数 | 長さ |
---|---|
2.0号 | 約6㎝ |
2.5号 | 約7.5㎝ |
3号 | 約9㎝ |
3.5号 | 約10.5㎝ |
4号 | 約12㎝ |
4.5号 | 約13.5㎝ |
アオリイカのサイズとエギの号数

これはあくまで目安ですが、エギの号数と狙うアオリイカのサイズは以下のように分けられます。
号数 | アオリイカの サイズ目安 |
---|---|
2.0号 | 100〜200g |
2.5号 | 300〜500g |
3号 | 500〜800g |
3.5号 | 1〜1.5㎏ |
4号 | 1.5〜2.5㎏ |
4.5号 | 3㎏以上 |
小さな獲物は小さなエサとハリ、大物はその逆と相場は決まっていますが、ルアー釣りの場合そのセオリーが通用しないことがあります。
それはエサとなっている小魚類であったり、水温に関係することが多いです。とはいえ、アオリイカの性質からいって、自分よりも大きなエサはあまり好まないようです。
エギングの標準号数は3.5号。これを基準として当日のサイズを決めるのですが、やっかいなことに水深がこれにからんできます。
10mの深場を2号と4号で狙った場合、明らかに4号の方が早く着底するため効率が良いです。
この傾向から、春は3.5号を基準に大きくローテーションしてゆき、秋はその逆にローテーションを組むとよいでしょう。


エギの重さ

号数は重さではないのですが、エギの号数に対するオモリ負荷にはある程度の基準があります。しかし、各社それぞれに設定してあり統一規格はありません。
例えば、ファストシンキングタイプであればオモリは重く設定されていることが多く、スローだと軽めになっています。
これを各社独自にやっているのですから、選ぶときはパッケージの重量表記を確認すればよいでしょう。
それと、エギの号数とオモリの重さは比例しており、小さい号数ほど軽く設定されています。2号が4号よりも重いということは、例外を除いて設定されていません。
号数 | 重量 |
---|---|
2.0号 | 5g前後 |
2.5号 | 10g前後 |
3号 | 15g前後 |
3.5号 | 20g前後 |
4号 | 25g前後 |
4.5号 | 30g前後 |
沈降速度

号数が大きいからといって必ずしも沈降速度が速いわけではありません。ボディの素材や形状によって違いがあり、また、各社のシリーズによっても違ってきます。
例えば、号数が違っても沈降速度が同じに設定しているもの、大きな号数ほど速く沈むものなど商品によって特徴があるので、購入の際は注意しましょう。
使い分けとしては、ボトム中心で狙うときは速く沈んで効率を良くします。ダートや中層以上を狙うとき、潮流を利用する場合はスローシンキングタイプが使いやすいでしょう。
また、藻場など根掛かりが多いときはスローなタイプの方が防ぎやすいです。
エギのカラー
素材

エギ本体の素材は木製と樹脂製の両方があります。昔は木製が多かったですが、今では樹脂製が一般化しています。量産型はこの方が加工時のバラツキが少なく均一した性能が得られます。
ボディにはアピールの高い素材が貼られており、その上に布を巻いたタイプが一般的。これをカラー(布の色)と下地色(ボディカラー・テープ)として表記しています。
布は網目の大きなものを使用していて、下地色がよく見えるように工夫されています。
カラー選びの基本

海中では青いフィルターがかかるため、映える色には法則があります。一般的に好まれているのがオレンジ系です。全天候型アピールカラーと認識してよいでしょう。
そしてアピール度を少し抑えたものが次の定番色である赤色系。
全般的な釣りは通常この2色と光を反射する素材でまかなわれることが多いですが、ルアー釣りにはこれにプラスしてナチュラルカラーというのが加わります。
魚などが保護色として使用している青やスケルトン色などがあります。
動きで食わせるのだから色は関係ないという考え方もありますが、ターゲットに見つけてもらわなければ意味がなくなります。そのため、エギには派手な色彩の商品が多いです。
逆に疑似餌と見破られてしまう場合はナチュラル系やダーク系のカラーを使うとよいでしょう。
カラーの使い分け

いくらオレンジが万能カラーだといっても、光(天候)や潮色(潮の濁りなど)全てに対応できるわけではありません。また、アピール力が強すぎてアオリイカが嫌う場合もあります。
全てのシチュエーションを攻略するためにも、基本色+αを揃えておきたいです。カラーの選択は上布の色と下地カラーの組み合わせにより変わるので、上の図を参考にしてください。
シャクリアクション
シャクリの意味

エギは必ずしもシャクるものではなく、ボトムをズルズルと引いてもイカは抱いてきます。
それなら中層でも上層でも引くだけで釣れるかというと、釣果はいまいちのようです。特にエギがフォールする際のアタリが多い。
イカ漁に使われる機械にはシャクリ機能がついており、一定のシャクリよりも不規則な動きの方がイカは乗ってくるらしいです。
つまり、イカがエサかどうか判断する余裕を与えないことも釣果に繋がるといえます。このことから、一定の間隔やリズム・回数でシャクるよりも、少し不規則気味が丁度良いと思われます。
基本のシャクリ

エギが着底したらラインスラックを巻き取り、ロッドを頭上に大きく上げてシャクります。その後数秒から数分ステイさせてイカが抱き付くのを待ちます。これがエギングの基本テクニックです。
しかし、ステイ時間を長く取れば釣れるという確証もなく、なにしろ待つ時間がじれったいです。
そこで、イカがエギに抱き付くポイントでステイやフォールを長くして、さまざまなシャクリテクニックでアピールしてみましょう。
シャクリテクニックの例

着底、シャクリ、フォール&ステイの手順は変わらないですが、シャクリ方に工夫をしましょう。
1度だけ大きくシャクるのを2回に分けたり、小さくしたりします。このテクニックの名称はいろいろとありますが、多段やシャクる速さの違いが大きな特徴です。
エギの手入れ
イカスミの恐怖

イカが釣れるとスミを吐いてエギに付着することがありますが、これはきれいに除去するか、別のエギに取り替えた方がよいでしょう。
イカが吐くスミは粘液になっており、海水でサッと洗ったくらいでは落ちません。海中で吐いても、スグに拡散せず漂っているくらいです。
また、エギに掛かったイカを寄せる際に、他のイカが一緒になって寄ってくることがあります。このとき掛かったイカがスミを吐くと他のイカは一目散に逃げてしまいます。
つまり、スミが付着したエギでは釣れる確率がグンと下がってしまうため、交換が必要となるのです。
ちなみに海水が入ったバケツなどにイカを活かしておいても、スミを吐くと窒息して死んでしまうので注意しましょう。
カンナの手入れ

むき出しになっているカンナ(傘バリ)には、海藻などが付着することが多いです。気にせず使用していると、どんどんと増えていきなかなか外れなくなってしまいます。
こうなる前に、毎回カンナ部はチェックしてきれいにしておきたいです。また、小さな海藻が付着していても、エギのバランスが崩れることがあるので取り除いておきましょう。
フックの鋭利さはよほどでない限りあまくなることはないですが、1本でも変型したハリは根掛かりなどを誘発するので修理するようにしましょう。
また、真水を使って歯ブラシなどできれいに掃除しておけば、カンナ軸が取れたり破損することが防げます。
ラインアイの調整

ラインを結ぶラインアイは、スイベルタイプ(回転式)と固定タイプがあります。さらに固定タイプにも横・縦・ヒモがあります。
特に金属素材のものは、底への擦れや衝撃で変型することがある。気にせず使っていると、エギのバランスが悪くなり泳ぎに影響してきます。
曲がったり変型した場合は、ペンチで真っすぐに補正しておきましょう。また、一度変型して補正した金属はそこから劣化しやすいです。破損を防ぐためにも使用後は真水で塩分を洗い流すとよいでしょう。
ラインアイへリーダーラインを接続する際は直結でもよいですが、エギの変更など効率面から考えると、スナップを利用した方が便利です。スナップは軽量で強度があるものを選びましょう。
布の手入れ

布が破れた場合、少しくらいの破損ではエギの泳ぎに影響しませんが、アワビシートを貼ってアピール力を付加したり、アワビコートなどで布の破損を防ぐのもよいでしょう。
布が1/3くらい剥がれてしまうとエギ自体のカラーが変わって見えるため買い替えるか、布を再度貼り替えるしかありません。
布を貼り替えるのが面倒であれば、油性マジックなどを使い、別のカラーに仕上げても面白いです。特にブラック系のエギを持っていない場合は試してみる価値はあります。
また、イカスミが付着した布は、少し洗ったくらいではうっすらとスミ跡が残ってしまいますが、ニオイなどが取れればさほど気にすることはないでしょう。