全国に分布する人気魚「チヌ」
チヌは日本全国に分布し、都心の港湾から離島まで幅広く棲息しており、釣り方もさまざまである。
魚体が銀色で凛々しく、釣り上げたときにピンとヒレを立て雄壮な姿を見せてくれる。

そんな格好のよさと引きの強さ、簡単に釣れるときとなかなか釣れないときのギャップなど、釣り人を魅了する要素も多い。
最近では漁獲されるようになったが、一昔前までは漁師も獲らない魚であったため、釣り人のみが狙えるゲーム性の高い対象魚として「チヌ釣り」というジャンルが確立された経由がある。
釣れる時期
チヌは一年中釣れるが、釣りやすい季節があり、時期によって狙えるサイズも変わってくる。
乗っ込みと言われる産卵期前後は浅場にチヌが移動してくるため、堤防でも大型を狙うことができ、夏〜秋は浅場で活発に行動するため、数釣りが楽しめる。

チヌの産卵期は桜前線と同じで北上して行き、北へ行くほど個体の平均的なサイズが小さくなる。
日本国内のみならず、朝鮮半島から台湾まで幅広く棲息しており、韓国では釣魚としてトップの人気を誇っている。また、オーストラリアでは「オーストラリアキチヌ」がルアーフィッシングの好ターゲットになっている。

このことから暖かい季節の方が釣りやすいことが分かるが、極寒の季節にあえてチヌを狙う釣り人も多い。
越冬するため深場でじっとしているチヌを狙うのだが、この季節は脂が乗り、独特の臭みが少ないため食味も一番良いときである。
竿を出す時期

チヌ釣りを初めてするのであれば、夏〜秋にかけてなら釣れる確率が高く、釣りやすい時期である。ただし、エサ盗りが多い季節でもあるため対策が必要だ。夏場に腕を磨いて釣り方を把握できれば、次は大型が釣れる確率が高い春の乗っ込み期に自己記録を狙って釣行してみよう。
大型が岸近くまで寄ってくるため釣れる確率が高いこともあるが、産卵のため動きが鈍く引きが弱いので、大物が掛かっても釣り上げやすいことも関係している。
しかし、あえて産卵期を避ける釣り人も多いので、できるだけリリースを心がけよう。
チヌが好む場所

水深50〜60m以浅の沿岸を棲息域としているチヌは、外洋よりも内湾を好み、港や河口付近など特に入り組んだ地形の場所に多くすんでいる。
内湾というと波静かな場所が多いが、潮流の速い鳴門海峡や関門海峡でもチヌ釣りは盛んである。汽水域にも多く、河口から数十m上流まで上ってくることもあり、特に夏場の夜釣りでは、60㎝を超える大物が釣れることもある。
人里離れた離島の入り組んだ湾奥が巨チヌの聖域とされているが、人間の生活域近くでも多く生活していることから、人気の対象魚として広く愛されている。
主な生息場所の例
湾

市街地では、このような入り組んだ地形に多く棲息し、チヌ釣りが盛んである。
堤防

漁港では堤防の潮通しがよい場所や隠れることができる場所(スリットや沈み瀬、テトラなど)を好む。
港

広大な港では狙うポイント選びが重要だ。障害物の周りや、カケアガリ(水深が変化する場所)をメインに狙う。また釣れている人がいれば、そこがポイントなのでチェックしておこう。
地磯



地磯は比較的水深が浅く、夏〜秋がメインシーズンとなる。チヌの通り道を見付ければ思わぬ数釣りが楽しめる場所でもある。また磯に上がるときはライフジャケットはもちろん磯靴を着用しよう。
沖磯

沖磯では、垂直に切り立った磯よりも低くなだらかな場所での実績が高い。また、離れ瀬よりも離島の地続きで狙うことが多い。



