
百合野 崇
ゆりの たかし
金龍鉤スペシャルスタッフ、シマノフィールドテスター、マルキユーフィールドスタッフ。2018年シマノジャパンカップクロダイ大会優勝。チヌ釣りに賭ける情熱は師匠である大知 昭さんに「世界の百合野」と呼ばせるほど。

いよいよ春チヌシーズンに突入しました。
しかしながら、ほとんどが一日釣っていつくるか分からないアタリを待つ、またはアタリすらなく一日が終わる。というチヌ釣り師にとっては、とても厳しい修行のような時期になります。
チヌのフカセ釣りをされている方は幾度と経験があるのではないでしょうか? 私自身も記憶にないぐらいボウズの回数が増えました。
調子が悪い年の後は「良い年もあれば悪い年もある」と割り切って強引に自分を納得させています。ですがチヌシーズン突入なので、やはり不安になるときもあります。
ただ、釣れたときの喜びは他の魚種にはない特別なものがチヌ釣りにはあると思います。その喜びを体験したくて秘策や対策をされていると思います。
もちろん私にもありますので少しだけ紹介させていただきます。
ネリエ王子と呼ばれて

私はご存じの通り、年中練りエサを使用し、チヌになんとか口を使わせています。普通で言うと寒が抜けきらない時期のチヌはオキアミの方が食いは良いのは確かです。
なぜオキアミは食うのに練りエサは食いにくいのか?
それは捕食の仕方だと思っています。夏は歯でガンガン噛み砕くように食べますが、冬から早春は吸い込むように捕食しているからだと思っています。
吸いながら口に入れるには、重量もあり堅い練りエサは物理的に不向きだからです。
口を使わないチヌに練りエサを食わせる方法

まず練りエサを軽くする必要があります。
私の場合、マルキユー特選えび粉を使用します。これは桜エビを乾燥させて粉末にしたもので、練りエサの体積の約40~50%を練り込み、海水でマシュマロのように柔らかく仕上げます。
1袋あたり真剣に練ってなじませるのに10分以上時間が必要ですが、ここ数年でオキアミに負けない安定した釣果を得ることができています。
また集魚効果をさらに高めるため、集魚材のチヌスパイスを5摘みぐらい一緒に練り込んだりします。
エサ盗りのフグが少ないような場所なら、アミ姫を海水代わりに使用して、さらにネバリと集魚力を上げています。

こうして練り込んだ練りエサを仕掛けを回収するときに、毎回ハリから切り離して落とし、マキエ代わりにします。
1投するたびにワナを仕掛けていくような感じになるので、時間が経てば経つほど海底には練りエサが増え、たまたまその破片を吸い込んだチヌは、その美味しさに狂って練りエサだけを捕食すようになります。
この練りエサは、春チヌにもかなり効果的なのでぜひ試してください。