百合野 崇のチヌ釣り学 黒鯛心悸 第八回「マキエの濁り」

百合野崇プロフィール

百合野 崇
ゆりの たかし

金龍鉤スペシャルスタッフ、シマノフィールドテスター、マルキユーフィールドスタッフ。2018年シマノジャパンカップクロダイ大会優勝。チヌ釣りに賭ける情熱は師匠である大知 昭さんに「世界の百合野」と呼ばせるほど。

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マキエの集魚力

大会などの競技に参加する際、とても重要になるのが配合エサ選びです。

配合エサには遠投性と濁りの相性の良いものと、そうでないものがある。どの配合エサを組み合わせれば理想に近づくか試行錯誤してみるのも楽しい。

その選び方一つで釣果の差別化が図れ、大会の勝敗を左右するので、大会が近づくと、トーナメンターは常にどの配合エサにしようか? と迷っているかと思います。

もちろん普段の釣行から、いろいろ考え、試されていると思いますし、私もその1人です。いろいろ考えるのはとても面白いですし、幸せな時間でもあります。

マキエは魚を集めるための武器ですから、集魚力を疎かにしてはならないと思っています。この集魚力というのは、臭覚や味覚を刺激し、さらに食い気を高めて魚を寄せるアミノ酸のことです。アミノ酸を高めれば、基本的には全ての魚は活性が上がり、警戒心が薄れてエサを捕食します。昔は、常にこの集魚力を誰よりもハイスペックにすることを目標にしていました。それはチヌに限らずどんな魚も集魚力が高い方に集まるからです。とにかく対戦相手よりも高めて、チヌを寄せて勝つことが目標でした。

視覚を刺激することの重要性

近年、私のマキエの特徴は、濁りに重点を置いたもの(配合の種類)が多くなりました。ではなぜ、ここ近年は濁りに重点を置くようになったのか?


チヌが黄色を好む、または興味を示すというのは仮説ではなく通説となっている。そのためイエローの練りエサは定番商品となった。

もちろん集魚力に特化したときも、疎かにしていたわけではありません。マキエは遠投もできなければなりませんし、トータルバランスが非常に大切です。転機は、マルキユー/食い渋りイエローが出てきたころからだと思います。練りエサの食い渋りイエローは、私の主力のツケエです。一番歴史がある、高集魚レッドも愛用していますが、最も釣ることが多いのが食い渋りイエローです。特徴なのが水中でも際立つカラーです。このイエローがチヌの視覚を引き付けるようで、最終的にチヌの胃の中はこのイエローでいっぱいになっていることが多々あります。チヌが確実にこの食い渋りイエローを選んで食べていると実感できるほどです。

濁りの視覚は、チヌだけをターゲットに活性を高めることが可能です。

遠方から魚を寄せられる臭覚や、味覚を刺激して食いを高めるのも非常に重要ですが、やはり手っ取り早いのが視覚の刺激です。その視覚を刺激するのはチヌ釣りにとって濁りになるかと思います。濁りは実はチヌに特化した集魚力になるのです。

エサ盗りで厄介な、小ダイやフグも濁りを好む性質がありますのでチヌだけとは言い難いですが、臭覚・味覚は全ての魚を寄せてしまいます。しかし、濁りの視覚は、チヌだけをターゲットにして活性を高めることができます。また、先打ちしたマキエは、表層が濁っているわけですから、仕掛け投入の目印にもなり、仕掛け自体を隠すカモフラージュ効果もあります。また一種のストラクチャーみたいになるので警戒心を下げ、長い間底マキエに留まるなどの足止め効果も高いです。

濁りのデメリット

マキエの沈下、濁り、仕掛けとの同調をイメージしながらチヌの動きを追う。ラインの変化や魚信の振動が思ったように伝わってくればアタリは近い。

このように濁りのメリットは非常に高いので重点を置いているのですが、もちろんデメリットも存在します。そのデメリットというのが、濁りを重点に置いたマキエそのものです。チヌ釣りのマキエで集魚力や濁り以上に重要なのが、遠投性やまとまりです。どんなに高い集魚力や濁りがあっても、まとまらず遠投できないマキエ、まとまりがなく底まで届かないマキエだとこれらの効果は半減以下になり意味がないからです。

しかし濁りというのは、煙幕状の形体になりますので拡散性が大切です。濁るマキエをまとまり良くすると狭い範囲ではとても濁るのですが、煙幕状の特徴を生かしにくくなります。バランスが非常に難しいです。

まとまりと遠投性は、濁りと拡散性という相反することになります。両方を高次元で実現したマキエとなるとかなりバランスが重要なのです。

マルキユーからチヌパワー激濁りが発売されています。この配合エサは高バランスに調整していて、初心者からトーナメンターまで幅広く有効的に視覚有効な濁り体験することができます。これから春の乗っ込みチヌシーズンに入り、警戒心が薄れる濁りを好むチヌに特に効果的ですので、ぜひお試しください。

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