百合野 崇のチヌ釣り学 黒鯛心悸 第十一回「ロクマル狙いの最適な釣場」

百合野崇プロフィール

百合野 崇
ゆりの たかし

金龍鉤スペシャルスタッフ、シマノフィールドテスター、マルキユーフィールドスタッフ。2018年シマノジャパンカップクロダイ大会優勝。チヌ釣りに賭ける情熱は師匠である大知 昭さんに「世界の百合野」と呼ばせるほど。

近年60㎝狙いの釣行も増えてきました。今まで型よりも数というトーナメンター気質でしたが、各地で釣りをしていく中で、数釣りとはまた別の世界がある大型狙いの魅力に、ほんの少しですが触れたような気がします。

九州で記録魚を狙えることで有名な五島の福江島にある玉之浦、鹿児島の錦江湾、対馬の浅茅湾などで、その魅力を感じることができました。どこも記憶に残る釣果だったり、他とは違った独特なフィールドの雰囲気は、ロクマルサイズはおろかナナマルがいても不思議ではないと思える場所で、その雰囲気というのが言葉で表せられない。とても不思議な感覚です。

でもそれらの有名な釣り場には共通することがあります。日本中で記録的なサイズが釣れるのは、暖流が当たるような場所で、湾形状となっており最深部が数10mはあるようなところです。成長には人間同様にやはり個体差があると思いますが、チヌの成長にとって最も妨げになるのが寒の時期の水温とエサの乏しさだと思います。

チヌは水温が10℃を切るとほぼ動かなくなり、エサを捕食しなくなるらしいです。例え10℃を切らなくても、その低水温時でエサが少ないと捕食できず成長できない。なので低水温時の水温とエサのボリュームが、ロクマルやナナマルの成長に繋がると思っています。もう一つ、40㎝後半のチヌの顔も、そのエリアにエサがあるかないかの目安になると思います。

一般的なチヌは40㎝ぐらいから大人びた顔つきに変わり、年無しになればさらに唇が大きく貫禄ある顔・風貌になります。

記録的にチヌが釣れるエリアの40~50㎝は、体の骨格に比べてまだまだ顔が幼く、小さな顔のチヌが多いです。これは小さいころからエサを豊富に捕食し、急激な成長を遂げたからです。残りの寿命がまだ長く、それからゆっくり成長しても一般的なエリアに比べて常にサイズの割に顔が幼く成長していきます。

そしてまた共通しているのが、体が大きく若く体力があるので、掛けたときの引きの強さがサイズ以上のことが多いということです。タックルも2ランクぐらい上がり、何でも獲るつもりで、3号ハリスで準備して迎え撃っても簡単に切っていくチヌもいます。

でも決して記録級のサイズは離島などでしか上がらないわけではなく、すぐ近所の波止や護岸で、ポロっと釣れてしまうのがチヌ釣りの面白さだと思います。いままだ幾度となく、湾のドン詰まりの人が1度も竿を出したことがないような未開拓な場所で、釣れども釣れども小チヌだったなんてことを経験しています。

さらにもう一つ確信しているのが、熱い思いでロクマル狙いをすれば、それが近場であろうが離島であろうが必ずどこかのタイミングで、チヌは答えてくるかのように訪れに来てくれるということです。これが大型チヌ狙いの面白さだと思います。

今年も有名な場所、そうでない場所、近場と、いろいろな釣場に出向きますが、燃え始めた大型狙いの思いに応えてくれるチヌがきっと来てくれると信じています。

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