天候や潮流の変化は魚の行動に密接な関係があり、それが釣果に影響を及ぼすのは釣り人ならずともよく知っていることです。
たとえば、晴れより曇りの日が釣れるとか、小潮のときは潮が動かないという定説があります。これは間違いではないが、必ずしも正しいというわけではありません。

要はその変化によって釣り場の環境が良くなるのか、悪くなるのかが大切で、それを判断するためにはその変化が魚や釣り場にどのような影響を及ぼすのかを知っておく必要があります。
また、安全面に気を配るのも忘れてはいけません。予報で天気が大きく崩れそうなときの釣行は避けるのはもちろん、釣り場での天気の変化にも注意しましょう。
天気予報の活用
自然の中で釣りをする限り、気象との関係は無視することはできません。だれしも、シケの中で釣りをやりたいとは思わないでしょう。こんな嫌な思いをしないためには天気予報の有効活用が必須です。
昔はテレビや新聞などで調べていましたが、現代はスマホで手軽に天気予報が見られるようになっています。しかも、ピンポイント予報もあるため細かな釣行計画が可能です。

釣りに必要な情報は、雨の予報もありますが一番重要なのは風です。風が強く吹くと海が荒れるし仕掛けが投げづらくなります。なにより、魚の活性に大きく影響するからです。特に魚は海水温に敏感なため、急激な水温変動は食欲を大きく下降させます。
ここまでは釣りに行く前の情報収集ですが、釣行日の天気の変化も見逃せません。だいたいは空を見あげれば雲の動きや色などで天候の悪化は察しがつきますが、突然の雷雨などには注意が必要です。ほとんどの竿がカーボン繊維を含んでいるため落雷の可能性があります。たとえ遠くでゴロゴロと音が鳴っていても、電気の影響が全くないとはいえないので、雷の音が聞こえた場合はしばらく竿を置いて様子をみて、少しでも危ないと思えばすぐ竿を収めよう。
雲の種類

巻雲 | すじぐも。春と秋空の風邪が強い日に現れる。天気が崩れる前兆。 |
巻層雲 | うすぐも。空に広がる雲。数時間後に雨を降らせることも。 |
巻積雲 | いわしぐも。1〜2日後に雨を降らせることがある。 |
高積雲 | ひつじぐも。巻積雲と似ており、ウロコ状に見える。 |
高層雲 | おぼろぐも。太陽や月の形をぼやかせる灰色の雲。すぐに雨を降らせる。 |
乱層雲 | あまぐも。暗い灰色の雲で、雨や雪を長く降らせる。 |
積雲 | わたぐも。夏の晴天時にでる雲。大きくなると積乱雲になる。 |
積乱雲 | にゅうどうぐも。低い場所から空高く発生する。豪雨や雪を降らせ雷を起こす。 |
層雲 | きりぐも。低い場所に発生し山の中腹などで見られる。 |
層積雲 | うねぐも。低いところにできる暗色の雲で横に広がる。 |
潮汐の基本
海面の水位はおよそ半日の周期で上下に変化します。この減少を「潮汐」と呼びます。この潮汐は月や太陽の位置によって生じる起潮力が違うため、大潮、小潮などの周期が生まれるのです。
潮汐は大潮、中潮、小潮、長潮、小潮、若潮、中潮、大潮と繰り返されます。潮の1ヵ月は30日ではなく、29日の月と、30日の月があるため、およそ29・5日周期です。これは不定期にやってくるので、旧暦の記載してあるカレンダーを見れば、何月が30日月で何月が29日月であるか分かります。旧暦の1ヵ月が29日ある月は、大潮が3日間のときがあり、旧暦が30日ある月は大潮が4日間あります。


潮汐表の活用
海は絶えず水位を変えています。これは月の引力によるもので変動幅の大小も大きいです。潮が満ちてきて水位が上がる時間帯を上げ潮、潮が引いて水位が下がるのを下げ潮と呼びます。この潮の動きが魚の活性に与える影響は大きく、釣果を左右する要因ともなっています。一般的に外洋の魚は上げ潮、汽水域の魚は下げ潮のときに釣れやすいとされています。
潮汐による時合

釣りでいう「時合」とは、魚が活発に捕食する時間帯のことです。それはちょっとした潮の流れの変化だったりしますが、潮の上げ下げの時間を知ることでも釣れる時間帯の予想が可能です。
月の引力により潮の満ち引きが発生し、その大きさも変わってきます。潮が動かない時間帯(上げ潮と下げ潮の間にある潮止まり)や、潮汐に関係なく潮流が止まっているときは魚の食いが落ちる傾向にあります。
反面、潮流が一定方向に流れているときや潮の変わり目(潮止まり前後2時間ほど)では、入れ食いになることもあります。このことから、釣れる時間帯を潮汐表などで事前に予想することができます。
一般的な潮汐による時合は、大潮から小潮へと潮が小さくなる周期にある中潮(下り中潮)で、潮止まり前後の2時間がベストです。
しかし自然を相手にしているわけで、その時間に潮が動かなかったり、流れる方向がいつもと違う場合がよくあります。時合を逃さないためにも、数時間前から狙いましょう。