瀬際は釣りにくい、足場が不安定など敬遠されがちだが、狙い方を知っていればトラブルも少なく、釣果への期待度も高い。グレの動きが悪い厳寒期にはマスターしておきたいテクニックだ。
瀬際とは
グレ狙いのセオリーでもある瀬際狙い。瀬際といっても足下を狙うだけではなく、要は瀬の際(見えている瀬、沈んでいる瀬)を狙うことである。
目視できる場合は狙って釣ることが可能だが、海底にある根は完全に把握することはできない。したがって想像しながらの釣りとなる。そもそもなぜ瀬際狙いが有効になるのかだが…。
○産卵前の準備のため、食性が植物性主体になり、瀬際のノリ類を食べるため。
○急激な水温変化を嫌い、海溝など比較的安定した水温の場所に集まりやすい。

もともと、海底の根周りに生息しているグレだから、瀬周りを狙うのは当たり前のことである。
これがウキフカセ釣りではマキエを撒くため、マキエが潮流に乗って流れるラインにグレが集まりやすくなり、それを効率良く狙っているに過ぎない。
青物のように回遊しているわけではないので(尾長を除く)、マキエを撒かなければ浮いてエサを食うことはほとんどない。しかし、冬期がグレ釣りの本格シーズンでもある。
これは水温の関係もあるが、沖にある岩礁帯から比較的浅い瀬周りに移動してくるため、釣り人が釣りやすくなるためでもある。
特に大型のグレも寄ってくるので、グレ釣り師にはうれしいシーズンである。
足下の瀬際
まず磯に上がったら、あまり動き回らずに準備を済ませる。そしてグレは警戒心が強い魚なので、できるだけ静かにした方が無難なようだ。

準備が済んだら、足下の瀬際を狙ってみよう。水深の有無に関わらず、どこで食ってくるか分からない。もし釣れるポイントを知っているならば、そこから狙ってみる。
垂直に切り立った瀬際なら、そこがベストポイントだ。
もちろん浅いタナから狙っていき、徐々に深くする。このとき、的確にタナを把握しておきたいので、固定仕掛けか半遊動仕掛けで狙う。
仕掛けはそっと差し込むようにツケエから行い、ウキを海面に置くようにする。マキエは、まずウキに被せるように1杯打って様子を見る。
反応が無ければ仕掛けを回収してツケエをチェックする。ツケエに無反応であれば少しずつタナを深くして、マキエの杯数を増やす。

以上が瀬際狙いの一例であるが、こんな的確に狙える瀬際はあまりないだろう。通常は潮流により仕掛けが左右か沖に流されるはずだ。
この潮流の対処法は、瀬際から50㎝くらいを目安として、仕掛けが際から離れないように引き戻しながら釣るのがコツだ。リールから出ている道糸を手に持って調節するとやりやすい。
その際、突然の大物によるラインの走りに注意。
しかし、沖向きの流れの場合、その潮自体が釣れる潮の可能性があるので、瀬際狙いに固執するのはもったいない。そして普段は好まれない当て潮が、足下の瀬際狙いにはベストになる。
もちろん速く強い潮は論外だが、手間を掛けずに瀬際ギリギリを狙うことが可能となる。
沈み瀬

足下で釣れなかったら、次は見える範囲の瀬を狙ってみる。瀬と瀬の間にある海溝が狙うポイントだ。
この海溝は真ん中にあるとは限らないので、潮流の速度、波の形で判断する。分からない場合は仕掛けを流すラインを少しずつ変えてみるといいだろう。
釣り方は通常と変わらないが、狙うタナが重要となる。釣れなければタナを深くするのはもちろんだが、マキエに敏感に反応していることも多い。このためタナボケが発生しやすい。

同じタナをいつまでも狙うより、細かなタナ調整を心掛けよう。
もちろん、一定の間隔でタナを下げていくのも正解だが、一気にタナを深く探ったり、深いタナで食わなければ一気に浅くする勇気も必要となってくる。

以上の釣り方が基本となる手順であり、普段の釣りと変わらないと感じたことだろう。
重要なのは釣り方ではなく、瀬際を釣ってみるという気持ちにある。通常なら根掛かりを敬遠してべったりと際を狙うことはあまりないはずである。これを徹底して狙うことにより釣果が生まれるのだ。
応用

いちいちタナを変えるのは面倒だという人は、仕掛けが立つとウキごと沈めるように設定してやれば釣りやすくなる。
ただし潮流が速かったり当て潮だと根掛かりの確率が高いので、道糸は緩めず張らずで操作しなければならない。
竿先はウキよりも沖側に位置させ、なおかつ瀬際からウキが離れないように操作する。
前述した「瀬際から50㎝」は目安なので、これにこだわりすぎて根掛かりを連発させるのでは、釣る時間が短くなり釣れる確率が下がってしまうので、この場合は場所を変えるかもっと間を広くとるようにする。

仕掛けの重さは、複雑に流れが変化しやすい場所のため、少しどっしりとしたものが好ましくなる。号数でいえば3B以上が使いやすく、水中ウキを使えばさらに安定感が増す。
もちろん瀬際がダメなら潮流、遠投というふうにセオリーは考えずに狙うことこそセオリー。
ちょっとした潮の変化や風の向き、日射によって食いが変わることがあるので、ひとつの釣り方に1日中こだわるのではなく、釣れなければ次の手を試してみるのが冬期のグレ釣りだ。
