チヌ用ウキの状況別による使い分け

昔より少なくなったが、ウキにはチヌ専用のものがある。様々な形状やカラー、大きさのバリエーションがあり、それぞれに意味があってグレ用と区別されている。最も大きなウエイトを占めるのは浮力による使い分けだ。

堤防のチヌ釣りは、釣り場を流れる潮流が磯と比べると緩く、チヌの活性に応じて捕食するタナが変化するため、ガン玉を打ってタナを探ったり、遠投して広範囲を探るのがセオリー。さらに風や潮流といった条件にも対応させるために、ウキの号数を使い分ける必要がある。

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ウキの浮力について理解する

その場面に適切な浮力をチョイスしよう。

00号の浮力

00号は、仕掛けが馴染んでから、ゆっくり沈んでいくように浮力調整されている。竿先から仕掛けを直線的に置けるような潮が足下から流れるようなときに用いる。

チヌの生息する潮の緩やかな内湾では、こんな条件は少ないが、風が強く吹いてウキが流され、早くウキを沈めたい場合や、表層(5m)から中層(5〜10m)までを沈めて狙う場合に有効だ。

仕掛けの重量や潮流の速度、塩分濃度の違いに厳密に対応するために00号と0号の中間浮力(0C、0α、0シブなど)のウキも使える。

0号の浮力

仕掛けが馴染んでも水面ギリギリを維持できるように設計されている。

そのため、水深が浅く根周りを狙う場合や、浅いタナを流して狙うときに用いる。風の穏やかな凪の日には、軽い仕掛けでもウキから下が馴染みやすい。

サラシにできる吸い込みを狙う場合にはガン玉を打たない。吸い込みは、狭い範囲に発生し、渦巻状態で移動することもある。したがって、海面付近では吸い込みが強くても、水深を増すごとに弱くなり、ガン玉を打つと仕掛け全体が重くなり、吸い込みの渦から外れてしまうことが多い。

活性の高いチヌは渦の中に入って捕食することもあるが、その多くは吸い込みの弱くなるところ、つまりマキエが溜まっている場所で捕食するものである。

G5の浮力

G5は、ガン玉G5を打って流してもウキが水面をギリギリ状態で維持できるような浮力設定だ。そのため、沖に点在する沈み根周りを狙う場合や、風の弱い穏やかな日に、潮流を流して表層のタナを探るときに用いる。

0号のウキを使っていて、仕掛けの送りが悪いと感じたときなどは、ガン玉G5を道糸とハリスの直結部に打って、G5のウキにチェンジする。

ウキが風に流されたり、潮が速く仕掛けが馴染まないときには、ガン玉G5をハリ上20〜50㎝に打ち直すとよい。

G2の浮力

ガン玉G2もしくはG5の2段打ちで水面ギリギリの調整だ。中層まで狙う場合に向いている。表層を狙う場合でも、風が強く吹いて仕掛けの馴染みが悪いときには、この号数が活躍する。

Bの浮力

Bは、遠投してピンポイントを狙ってタナを探る場合や、中層までのタナを流しながら狙う場合に向いている。

G2と同様に、表層を狙う場合でも、風が強く吹いているときや、潮が速く流れているようなときは有効だ。

ガン玉は、基本的には道糸とハリスの直結部にBを打つ。潮流が速く流れる場合はG5程度をハリスの中段に打って仕掛けの角度を維持しよう。

2B〜3Bの浮力

2B〜3Bは、遠投してピンポイントを狙ってタナを探る場合や、中層から深層(10m以深)まで狙う場合に向いている。

表層を狙う場合でも、波が高かったり、風が強く吹いているとき、さらに潮が速く流れているようなときには有効。

5B〜1号の浮力

波が高かったり潮流が速かったり、風の強い日に深層を狙うとき、ポイントが遠く遠投が必要なときに活躍する。同号数の水中ウキを併用した方が使いやすい。

アジやサバなど泳ぎの速いエサ盗りが多い場合にも、ツケエを速く沈めるために有効だ。

状況別によるウキの使い分け

水深が浅い場合

水深が竿1本程度の浅場では、使用するウキはG2〜Bが手ごろだ。最近はマキエが常時入っている釣り場が多く、エサ盗りもオールシーズンいることを前提に仕掛けを組み立てなければならない。

エサ盗りが少なく、ツケエのオキアミが残るようであればG2サイズでもいい。しかし、エサ盗りが多くて厄介なときは、練りエサの使用を想定してB程度のウキを使う。

仕掛けの潮馴染みを良くするために、ガン玉G2、ツケエを安定させるならG5〜G6などをハリスに1つ打つといいだろう。

遠浅の場所で遠投が必要な場合

まず単体で自重が10g以上のウキが必要だろう。遠投ポイントで注意したいのは、狙っている遠投ポイントで就餌するチヌが、どのタナでツケエを食うかである。

水温が17℃前後であれば、マキエでかなり浅ダナまで浮いてくるが、水温10℃前後の厳寒期では、一定のタナでしかチヌはエサを追わない。遠投深場釣りなら、5B程度のウキに同号数の水中ウキをセットした仕掛けが有効だ。

テトラや障害物がある場合

テトラはカン付きウキが有効だ。

テトラ周りはチヌから見ると、格好の隠れ家。釣り人から見ればチヌを掛けた後のやり取りにリスクが多い釣り場であるが、仕掛けを自然に落とし込んでいくにはカン付きウキが面白い。

沈みテトラや沈み瀬などの手前で仕掛けを張っても、カン付きウキなら、仕掛けそのものを張るので、ウキの姿勢はそのままで前アタリがあればウキの傾斜角度でアタリが取れる。水深が竿1本程度なら00〜G2、竿1〜2本の水深なら3B〜5Bを使い分けるといいだろう。

藻場

藻場は厳寒期のチヌ釣りでは格好のポイントであるが、藻場と藻場のスポット、藻場の先端、藻場の切れ目、また満潮時になれば、藻場の上にも仕掛けを流すことになる。ウキはそれほど遠投性を重視する必要がないので、自重8g前後のG2〜Bを使い、仕掛けはシンプルにする。

道糸とハリスは直結にして潮受け機能のあるストッパーを使い、ガン玉はG3〜G5ぐらいをハリスに打ってアタリを訊くようにする。藻場の先端でチヌを掛ければ、一気にチヌを浮かさないと藻に突っ込むので、利き腕を大きく伸ばし上段の構えで竿を立てる。

風が強い場合

風が強いだけなら、ウキトップがフラットなタイプのウキの3Bなどを使用すれば、風波の影響を直接受けないし、厄介な道糸の修正もさほど気にならない。

しかし、30m以上の遠投ポイントで風波の影響をまともに受ける釣り場では、ウキの自重が12g以上の遠投タイプのものが使い勝手がいい。

遠投深場狙いなら5Bクラスで仕掛けを重くするといいだろう。これは道糸がサスペンドし風波の影響で仕掛けの落ちが遅くなるのを防ぐためでもある。

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