チヌが釣れる場所は多く存在する。磯はもちろんだが、漁港、堤防、河口域、釣り公園など、多くの場所で釣果が上がっている。
釣るために各地域の下調べはもちろんおこなった方がいいが、参考までに今回は主なフィールドを9つのパターンに分けて、好ポイントになりやすい場所をピックアップしたので参考に。

釣り公園・桟橋

釣り公園や釣り桟橋は、だれでも手軽に釣りができるエリアで、どんな釣り方でも狙えるが、禁止事項があるので必ず守って釣りを楽しもう。
岸壁や堤防をフィールドとする公園タイプと、沖に突き出た桟橋タイプがある。特に桟橋タイプは魚影が濃い場所に設置されているケースが多く、季節に応じて様々な魚を釣ることができる。
チヌのシーズンは、一年を通して狙うことができるが、数多く釣れるのは夏〜秋である。潮通しがよい先端部よりも根元付近がよく、底付近を狙うのがセオリーだ。潮が速い場合、緩く流れ始めた瞬間や、潮の流れが止まったときなどにヒットしやすい。
朝一番に釣行する場合、足下付近を狙ってみるとよい。橋ゲタに付着しているカキや貝類を上層まで浮き上がって食べていることも多い。そっと近付くと目視できることもあるので、浮いたチヌを見付けたら落とし込みで狙うと釣れる確率が高い。
もちろん日中でも狙えるが、深く潜っているので、底付近までツケエを落としてみよう。
フカセ釣りは隣の釣り人に迷惑を掛けないよう、ウキを流す範囲に気を付けよう。投げ釣りは禁止されている場合もあるので注意したい。
港湾

港湾部でもチヌは多い。多少、水質が汚れた海でも、チヌは活発に活動をしている。
いろいろな物が漂流している工業地帯の方が、チヌの生息数は多いといってもよいほどである。
大型船などが停泊する岸壁では、船に付着した稚貝が剥がれて岸壁に付着することも多い。チヌは付着した貝類や、その中に身を潜めるムシ類を好んで食べている。
岸壁の際を狙うには落とし込み釣りが有効で、ウキフカセ釣りでは海底のカケアガリを狙うのがセオリーだ。投げ釣りでもよく釣れるエリアであるが、平坦な海底であるケースが多いので、水深を探りながら測り、変化のある場所をていねいに探ってみよう。
堤防

一番手軽に行ける人気の釣り場が堤防だ。チヌの生息数も多く、昼夜を問わず狙うことができる。初夏から秋までの実績が高く、深い場所があれば寒チヌを狙うこともできる。
夏場の日中は小型が主体で数を狙えるが、夜釣りでは大型の回遊も多く、ムシエサを使用しての釣りも面白い。
基本的には潮通しがよい場所を狙い、潮の変化がある場所や、海底に変化がある部分がポイントになる。
ケーソン(堤防の中が空洞になっている)では、中にチヌが入り込んでおり、マキエでケーソンから誘い出して釣るか、落とし込み釣りで狙うと良型がヒットしてくる。
テトラ

大小様々なテトラがあるが、どれも安定性が悪く釣りづらい場所である。
しかし、魚が隠れる場所として最適で、もちろんチヌの魚影も濃い。エサとなる貝類やムシ類の棲息も多く、チヌの回遊ルートになりやすい。
足下から狙うことができるが、テトラの組み方によっては数十m先まで海底に沈めていることもあり、その場合はテトラの切れ目を狙う。
チヌが掛かったら、穴に入り込もうとするため、少し強引なやり取りが必要になる。
また、テトラに当たった潮流が複雑な流れをすることもあるので、潮流に合わせた仕掛けも重要になる。
河口

汽水域に棲息しているチヌも多く、はるか上流まで上ってくることもある。ただし、年中というわけではなく、初夏から秋までがシーズンとなる。河口から曲がりくねった形をしている川が特によく、50㎝を超える大型が釣れることもある。
水深は浅い場所でもチヌは食ってくるが、流れが速い場所よりも、流れの裏側など緩やかになっている部分がポイントになりやすい。
大型を狙うのなら特に夜釣りがよく、この場合は流れの速さに関係なく食ってくるので、釣れなければポイントを移動しながら狙う。河口付近はムシ類の棲息も多いので、ツケエにムシエサを使用しても効果大だ。
砂浜

投げ釣りがメインのサーフでは、キスやカレイ釣りが定番であるが、実は青物やチヌの実績も高い。
これは、砂浜に集まった小魚を狙って中・大型の魚が寄ってくるからである。地方によっては、海水に浸かって釣ることもあるが、釣りやすいのは投げ釣りだ。
狙い方は、通常の投げ釣りのポイントと違い、障害物をメインにカケアガリや深みなど、変化がある場所をダイレクトに狙う。仕掛けはサビくのではなく、置き竿で仕掛けを止めたままで狙う。
また、船用のマキエカゴなどを使って、マキエと一緒に遠投する釣り方もあり、新しいジャンルとして注目されている。
沖堤防

地続きの堤防から見れば、沖に位置する堤防はパラダイスのように思われがちであるが、実際に竿を出してみると、釣れるポイントを探し当てることの難しさが分かる。
しかし、堤防と比べて魚影が濃く、豊富な魚種で迎えてくれる沖堤防は、近場随一の好ポイントだといえる。
堤防と同じく、釣れる場所は大まかに限られるので、渡船の船長や常連さんに釣り方を習うのがいいだろう。
仕掛け類は堤防と同じでよいが、ワンサイズ大きなチヌも狙えるため、ラインを中心にワンランク太いものを準備しておく。マキエは普段よりも多めに持参し、もしもの場合に備えておくことがトラブル回避の秘訣である。
地磯

地磯には、ごつごつした岩場や、ゴロタ浜、桟橋などさまざまなシチュエーションがあり、どれも遠浅な場合が多い。初夏から晩秋まで釣れ、大型はもちろん数釣りが楽しめる。
ウキフカセ釣りの場合、マキエワークも重要になり、遠投性と正確なコントロールが要求される。岩の変わり目やカケアガリ、大きな岩や藻の周辺など目印になる場所から狙うが、干潮時に海底の様子を把握しておくのがベストである。
ウキフカセ釣りだけではなく、ウキダゴの実績も高いので、エサ盗りが多い時期に試してみよう。投げ釣りもできるが根掛かりが多いので仕掛けは多めに用意しておきたい。
なお、磯に立つときは磯靴を履くことは必須である。しっかりと足回りをかためて安心・安全に釣りをすることができるからだ。
沖磯

チヌ狙いの場合、沖磯と言っても、地続きの場所など、陸地に近い場所がメインフィールドになりやすい。
場所も湾内向きの実績が高く、はるか沖に浮かぶ独立瀬など、潮流の速い場所での実績は低い。仕掛けは堤防とさほど変わらないが、刻々と変わる潮流に対して、対応策となる小物類や、マキエワーク、潮を見る目が必要とされる。
まずは渡船の船長に上礁する磯の状況やポイントのアドバイスを聞くことから始めよう。
ライフジャケットは必ず着用すること。これは命を守るだけではなく、小物類の収納にも優れており、すぐに取り出せる利便性も兼ね備えているからだ。