釣りはレジャーの一つで誰もが自由に行うことができるが、ルールやマナーが存在する。それらを軽んじているせいで、漁港内への立ち入り制限や釣り禁止などの措置が取られている場所もある。
そこで入門者や初心者が知っておきたい釣りのルールやマナーについて説明してみたい。
釣り場は来たときよりもキレイにしよう

漁港内や堤防などでは、立ち入り禁止エリアが設けられている箇所や釣り禁止の看板が掲げられているところもある。もちろん、そう記されている場所へは、絶対に入ってはいけない。また駐車禁止か否かの確認もしておこう。

釣り場に到着したら、まず先に釣っている人たちに「こんにちは」、「釣れていますか?」などと挨拶しよう。
無言で割って入るのはもってのほか、人気のポイントは混み合うから、竿が振れる余地はあるかを確認して、最低でも竿2本分(10m)くらいの間隔をとって釣り座を決めたい。
その際は「ここで釣らせてもらいます」と、一声かけておくと自分にも他人にも気持ちが良いものだ。
海釣り公園では、投げ釣りが禁止されていることがほとんどなので確認しておこう。たとえチョイ投げが可能でも、仕掛けを投入するときは左右や後ろに人がいないか必ず見て投げるようにしたい。
海釣りでは潮の関係で仕掛けが横方向に流れる。その流れが速い場合は、仕掛けやラインが絡まることがある。そんなときは、隣人が投げたあとに仕掛けを投入するとか、絡まないよう善処しておこう。
もし絡んだ場合は、自分のラインを切るなどしてトラブルを防ぎ、先人に迷惑をかけないよう留意しておこう。
最近は、ルアーやエギなどの疑似餌がよく使われるようになった。そんな人たちも前述したように行動してもらいたい。
また、サビキ釣りやウキ釣りでは、アミやマキエを使うことが主。足元や周りが汚れてしまうものだが、そのままの状態で帰ってはいけない。汚れた足元は、きれいに洗い流して帰ること。
次に来る釣り人はもちろん、地元の人にもよく思われない。袋類や仕掛けのパッケージ、糸くずやハリなども放置せず、必ず持ち帰るようにしよう。
もちろん、自分たちが食べた弁当の空きがらや、飲料ボトルや空き缶も当然持って帰る。それがマナーであり、最低限のルールでもある。
船釣りでは船長の指示に従おう
船釣りではグループで貸し切るチャーターと、単独もしくは少人数で参加する乗り合いがある。
特に後者の場合、知らない人が隣り合うことはしばしば。初心者なら、あらかじめ船長に伝えておき、面倒をみてもらうようお願いしておくとよいだろう。そして、隣人や船長への挨拶はここでも必須だ。

仕掛けの上げ下げには、船長の声に耳を傾けるようにしよう。ポイントに着いて、エンジン音がスローになってもすぐに釣りを行ってはいけない。
船長の声で一斉に仕掛けを下ろすが、その際、できればオモリやルアーは皆と同じ重さにしてスタートしたい。仕掛けがオマツリ状態になるのを防げるはずだ。
そして隣人に大きな魚がヒットした場合は、様子を見て仕掛けを回収したい。掛かった魚が青物系なら右往左往して仕掛けガラミが容易に想像できるだろう。
もちろん船釣りでも、出したゴミは必ず持ち帰るのが当たり前である。
川では遊漁券がないと釣りはできない

内水面と呼ばれる河川では、管理する内水面漁業協同組合が発行する遊漁券を購入しなくては釣りをすることはできない。
遊漁券は大きく1日券と年券に分かれ、それぞれにアユ券や雑魚券のほか、連携した漁協で使える共通券がある。漁協によってはアユの中でも、漁法によって券を分けていることもあり、種類はさまざま。
釣り場近くの釣具店などで確認するのが無難だろう。
漁協は、魚の放流、産卵場の整備、河川の管理などを担う。遊漁券は、その費用をカバーする目的で発行されている。
遊漁券なしで釣りをするのは、違法行為の密漁にあたる。監視員に見つかると、遊漁券の料金に加えて追加料金を求められる。
応じないと警察に通報されることもあるから気をつけよう。
釣りは、どこも先行者優先が基本で暗黙のルールだ。
特に川釣りはポイントが狭い範囲で決まっていて、川の魚は警戒心が強い。水の中を歩いて通り越すのは論外。遠回りでも、周りを邪魔しないように静かに通るよう注意したい。
リリースの重要性

狙っていない魚種や小魚などが釣れた場合、そのまま放置せずに必ず逃がしてやることだ。
これをリリースと呼ぶ。食べない魚や毒のある魚を釣った際、堤防などに放り投げてそのままにしておく人を残念ながら見かける。
これらはやがて腐って異臭を放ち、次の釣り人にも地元の人にも大迷惑だ。不必要な魚や小さな魚は魚族保存のためにも釣れたらすぐに放流しよう。
その際は、手早くハリを外して、なるべく魚体に触れず、元気なうちに逃がすのがルールで生き物を扱う上での大切なマナーでもある。
中でも小さな魚は、やがて大きくなって稚魚を生んでくれるに違いない。そう思って優しくリリースしよう。