キス類の中でよく釣れるのはシロギスと呼ばれる種類。他にもアオギス、ホシギス、モトギスもいるが狙って釣れるほど数がいない。そのため釣り物としてはシロギスがメインとなる。
岸からも船からも狙える人気ターゲットのシロギスは、砂地に生息していてサーフでの投げ釣りやボートからの釣りが一般的。
気温、海水温の高いときには浅場に移動してくるが寒くなると深場に向かう。寿命は4〜5年以上で、産卵は初夏から秋口にかけて最盛期を迎える。
毎年4月ごろから釣れ始め、夏の釣りとして年間スケジュールに組み込んでいる釣り人も多い。秋になると深場に移動するため落ちギスと呼ばれ30㎝近い良型の数釣りにも期待できる。
身近な高級魚

新鮮なうちに捌くと透明感のある白身で血合いは少なく熱を通しても身が縮まらない。食味は淡白で甘みのある上品な味わいが特徴。
10㎝に満たないピンギスでも背越し(セゴシ)で調理するとその甘さを堪能できる。
シロギスの旬は春から夏場。代表的な食べ方は刺身、天ぷら、塩焼きで、鮨屋では夏のネタとして出てくる。
釣り方のポイント

投げ釣りでもボートからの釣りにも共通するシロギスを効率良く釣る方法を解説しよう。
まずシロギスは海水が濁るとエサを食わなくなるので天気の良いナギの日が狙い目。その日は晴天でも前日に雨が降って濁っている場合は要注意だ。できるだけ濁りの少ない海岸線で竿を出そう。
次にシロギスは群れで行動していて海岸線と並行に移動する習性がある。そのためシロギスが生息している場所では数尾連チャンで釣れることも珍しくない。
アタリがあればすぐに巻き取らず、ゆっくり仕掛けを引いてくるうちに何尾ものシロギスが掛かることがある。
さらに再び同じポイントに仕掛けを入れると食ってくる確率が高い。だからといって人が釣れているポイントに横から仕掛けを投げるのはご法度。

シロギスは回遊性の魚で、地形が変化しているポイントには新しい群れが入ってくる。焦らず広範囲を探っていくと遭遇率が高まる。
シロギスの時合は朝と夕方のまづめ時。徐々に明るくなったり暗くなったりする夜明けから1時間程度と、日暮れ近くになると警戒心が薄れてエサを活発に捕食する。
また、潮のよく動く上げ3分・下げ7分も食いが立つのでアタリが集中する時間帯を潮見表で予測してみよう。
シーズンごとの狙い方
春(3〜5月)

春はサーフの投げ釣りシーズンが開幕する(地域により前後する)。
25㎝超えの良型が釣れるのもこの時期で、本格的シーズンの夏前から行動すると思いがけない釣果に恵まれることもある。ただし、まだ十分に水温が上がっておらずサーフから釣るには遠投する必要がある。
本格的な投げ釣りでは100mほど投げるが、ボートで沖に出るならアドバンテージは大きい。水温が上がるとともに、冬を過ごした深場から徐々に浅場を目指してくる。
夏(6〜8月)

夏はいよいよシロギス釣りの本格シーズンに突入する。
梅雨時期から産卵に備えて活発に捕食を行い、真夏になると水深1m未満の浅い場所でも釣れ始める。
サーフからのチョイ投げでも数釣りが楽しめ、ボートで沖に出た人よりも釣果が良い場合もある。
水温が前日よりも高ければ浅場へ、低下すれば深場に移動するシロギスの習性をよく理解しておきたい。産卵期は群れが大きくなる時期なので同じポイントで数釣りをすることが可能となる。
秋(9〜11月)

秋になると水温が徐々に下がり始め、シロギスがだんだん深場に移動を開始する。そのため、サーフからはポイントが遠ざかるので遠投しなければ釣れなくなる。
ただし、最も大型のシロギスが釣れる時期でもあり、肘たたきと呼ばれる30㎝級の大ギスを狙うなら秋。数から型狙いへとシフトしていこう。
冬(12〜2月)

冬は深場に落ちるため投げ釣りでは狙えなくなる。ボートの場合でも水深20〜30mのポイントで竿を出すことになる。
夏場活躍した免許不要の2馬力のボートでは危険も伴うので遊漁船で楽しむのがベターだろう。冬のボートシロギスは穏やかな日限定で楽しめる。