ウキ釣りやサビキ釣りでは届かないような遠いポイントへ、重いオモリを使って仕掛けを投げて釣る方法を「投げ釣り」といいます。
投げる距離は数mから本格的な装備を揃えると200m以上飛ばすこともできます。
その中でも足元から30m程度先にチョイと軽く投げて狙う釣り方のことを「チョイ投げ」と呼んでいます。
オモリ付きテンビンに市販仕掛けをセットするだけの簡単なタックルで狙うことができ、釣り方もわかりやすいため子供や入門者にも最適、老若男女を問わず人気の高い釣りジャンルの一つです。
対象魚
シロギス

シーズンになると、テクニックに関係なく誰でも釣れるのが魅力の一つです。沖縄ではシロギスは釣れませんが、よく似たモトギスやホシギスが釣れます。
釣れる時期はおおよそ3~12月。特に6〜9月には盛り上がりを見せます。
メゴチ

キスと生息域がよく似るためキス釣りのときによく釣れます。ヌメリと独特の臭いのせいで嫌われがちですが、実は食べると美味しい魚で、天ぷらダネとしては高級食材となっています。
イシモチ

正確に言うとイシモチという名前の魚は存在せず、シログチの通称です。名前の由来は頭の中に平衡感覚を司る大きな耳石があることから同様の特徴を持ち、見た目も似ているニベやコイチも合わせてイチモチと呼ぶことが多いです。
ハゼ

秋から冬にかけて汽水域で狙える人気魚です。何にでも食いつく貪欲さのため釣りやすく、ビギナーでも数を狙えます。キスやメゴチと同様に天ぷらにすると美味しいです。
仕掛け

仕掛けを飛ばすためと根掛かりを防ぐためにテンビンとオモリを使用します。
対象魚や釣り方、釣り場によって多くの種類がありますが、チョイ投げではオモリとテンビンが一体になったL型テンビンとジェットテンビンがポピュラーです。
オモリの重さは5〜12号。それ以上のオモリを使わなければならないような遠いポイントを狙う場合は、本格的な投げ釣りタックルが必要となります。

仕掛けのセッティング
竿にリールをセット

スピニングリールを竿のリールシートにしっかりと固定します。投げ釣りは重いオモリを勢いよく投げるので、ゆるんでいると外れることもあります。
投げ釣り用の大きなリールはコンパクトロッドに取り付けられないこともあるので注意。
竿のガイドに道糸を通す

竿を伸ばす前に、リールのベイル部分を起こして道糸を引き出し、竿のガイドの下から上に順番に通していきます。一番上のガイドまで通したら糸が戻らないように指で押さえておきましょう。
ルアーロッドを使用する場合は、まず竿を組み立ててからリールをセットし、ガイドに道糸を通します。
テンビンのセット

リールのベイルを戻し余分な道糸が飛び出さないようにして、道糸の先にスナップスイベルを結びます。
スナップは、L型テンビンの曲がっていない方のアームの輪に取り付けます。スナップスイベルがない場合は道糸を直接テンビンに結んでもよいです。
固定式テンビンのアームの輪の大きさは2本とも同じですが、アームの長さが違う製品の場合は短い方を曲げます。長さが同じ場合はどちらを曲げてもかまいません。

アームの角度は90〜120度にすること。90度より角度が小さくなると仕掛けがテンビンに絡みやすくなるので注意しましょう。ジェットテンビンを使用する場合は上下の向きに気をつけます。
仕掛けのセット

テンビンのもう片方の輪に投げ釣り仕掛けのスナップスイベルを引っ掛けます。スナップを閉じ忘れないように注意しましょう。
仕掛けをセットしたら、仕掛けのハリを1本ずつ引っ張りながら外していきます。一度に引き出すと絡まってしまうので、ハリ同士が触れないように注意しながら外しましょう。
竿を伸ばす

リールのベイルを再び起こし道糸が出る状態にして、竿の穂先から順番に伸ばしていきます。同時に道糸も少しずつ送りだしてやること。
ガイドの向きはリールの付いている側に道糸が一直線になるように揃えてしっかり固定します。最後に全部のガイドのズレをチェックしましょう。
エサの種類と付け方

チョイ投げ釣りのエサはムシエサが主流です。海に近い場所にあるほとんどの釣具店で売られています。
小型の数釣りをメインとするチョイ投げでは、万能タイプのアオイソメよりも、少し小型のイシゴカイが使われることが多いです。
基本の釣り方

まずは、リールを巻いて竿先からオモリまでのタラシを1mぐらいに調節します。
利き手で竿のリール取り付け部の辺りを握り、道糸を人差し指に掛けます。リールのベイルを起こしたら、目的のポイントめがけてキャスト!
穂先が前を向いたタイミングで道糸を押さえていた指を離します。特に混雑する釣り場などでは、他の釣り人が投げた仕掛けと交差しないように注意すること。
仕掛けが着水したら、糸フケ(糸の余分なたるみ)を巻き取ります。オモリの重さを竿に感じたら三脚に竿を置いて待ちましょう。
活性が高いときはこの時点で食ってきます。

竿尻を脇に抱え、竿を水平に構えて腰を回しながら竿で仕掛けを引っ張り(この動作のことを“サビく”という)、ある程度引っ張ったら竿を元の位置に戻し、糸フケを巻き取るという作業を繰り返しながら狙います。
魚がエサに食いつくと、竿を伝わって手元にブルブルと感じられます。ここで反射的にアワせる必要はありません。
道糸を再度張って、ハリに掛かっているかどうか確認します。反応があれば掛かっている証拠。あわてて巻き取らず、2尾、3尾と掛けるためにゆっくりと同じペースでリールでラインを巻き取ります。
反応がない場合は、サビく動作を続けながらアタリを待ちましょう。
数釣りの秘訣

常にサビき続けるのではなく、カケアガリやヨブなどのキスが集まりやすいポイントで仕掛けを止めて食わせる時間を作ってやることも重要です。
カケアガリとは深場から浅場へ向かう斜面のこと。ヨブは、波の動きによって砂地の海底に凹凸が出た状態のことです。
見つけるのは簡単。海底を這うように一定のスピードで仕掛けを巻くと、急に重くポイントがある。そこがヨブ、もしくはカケアガリです。
はじめのうちは根掛かりと勘違いしやすいですが、数投すれば違いが分かるようになります。
狙いのポイントでアタリがあれば距離や方角を覚えておき、次も同じポイントを攻めてみます。
同じ地点にピンポイントにオモリを落とすと驚かせて群れを散らしてしまうので、目的のポイントよりも少し沖に投入して、ポイントまでサビいてきましょう。
これを繰り返して数をかせぐのが基本ですが、群れが小さい場合はすぐにいなくなってしまうので、アタリの数が減ってきたと感じたら、投げる方向や距離を変えて新たな群れを見つけましょう。
チョイ投げは専用タックルを持ってなくても簡単にはじめられることが魅力です。この機会にチャレンジしてみてはいかがでしょう?