ウキフカセ釣り 春チヌの大型は藻場を狙え

チヌはほぼ一年中狙える魚ですが、春から初夏にかけては水温の上昇とともに産卵のため浅場へ移動してきます。いわゆる乗っ込みの時期です。

50㎝を超える大型が大挙して釣りやすい場所へ移動してくるため、大型を獲るのに最適な季節であると言えます。自己記録更新を目指して正しい釣り方で狙ってみましょう。

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釣れ出すタイミング

地域によって差はありますが、およそ3〜5月に春チヌの本格シーズンを迎えます。魚の行動にはさまざまな理由があるものの、水温に影響されるところが大きいです。

チヌが行動する水温は13〜23℃までで、その範囲外になると捕食行動を起こさずにじっとしているか適温エリアを求めて移動します。

また行動範囲内の水温であっても13℃ほどではまだまだ活性が低く、ようやく活性が上がりだすのは18℃前後です。

チヌフカセ

しかしこうなるとエサ盗りの活性も上がり狙いにくくなってしまうので、春のチヌ狙いの理想的な水温は、チヌが積極的にエサを追い、エサ盗りの活性もそれほど高くない15℃前後といえます。

水温の変化に注目しておけば、釣れ出すタイミングを逃しません。現地でポイント選びに困ったら、非接触型の水温計があればこまめに水温を確認できるので便利です。

ちなみにチヌは数100万個の卵を抱卵しますが、一度に全てを放つわけではなく、数日間にわたって深夜に少しずつ放卵します。

産卵には体力を使うため深夜の本番に向けて日中から貪欲にエサを追い求めます。

朝夕のまづめ時はさまざまな魚のゴールデンタイムとされ、チヌ釣りにも当然当てはまりますが、産卵期間中に限っては朝まづめよりも夕まづめの方が実績があります。

基本のチヌポイント

春チヌのポイント

春チヌ時期に限ったことではありませんが、チヌのポイントはまず潮の変化が起こりやすい場所であることが第一条件です。

潮の動きで撹拌されることによって酸素が発生しプランクトンや小魚、甲殻類などが集まり、それを狙ってチヌが集まってくるからです。

堤防の先端

堤防の先端

港湾部で最も潮通しが良く、当然潮の変化が起こりやすい場所でもあります。チヌの回遊ルートになっていることが多いです。

漁港の出入り口であれば浚渫されておりカケアガリ状になっているため狙い目になります。

堤防の曲がり角

ケーソンに沿って流れる潮が方向を変えるため変化が生まれます。短い堤防や桟橋程度のものでも、とにかく何かしらの変化があれば魚がいる確率は高まります。

スリット式ケーソン

スリット式ケーソン

スリット状に穴が空いたケーソンはよく潮を通しチヌの隠れ家になります。

テトラ周り

テトラ帯

複雑に潮が絡み合い、テトラ自体が魚のすみかになっています。テトラ帯のコーナー付近はさらに潮が動きやすいです。

増設によって形状や大きさの異なるテトラが設置されている場所ではその継ぎ目が狙い目です。連続して設置してあるテトラが途切れる場所や崩れテトラの周りも良いです。

港内の岸壁

見た目に変化がない場所でも捨て石が入っていたりカケアガリがあれば変化を生みポイントになります。

春は藻場が狙い目

チヌは、孵化した稚魚が隠れることができるように、潮の流れが緩くて藻が生えた藻場などで産卵を行います。

当然こういった場所に大型が集まるので、狙い目のポイントとなります。

地磯、波止、砂浜、河口など、チヌの実績が高い釣り場であればどこでも可能性はありますが、藻場が絡めば期待値はグンと上がるので必ずチェックしましょう。

藻場対応タックル&仕掛け

春チヌは、魚体は大きいものの引き味は通常時より落ちます。そのため、大型狙いだからといって極端に太い竿やラインを使う必要はなく、通常通りの50㎝を獲れるタックルと仕掛けで十分対応できます。

しかし藻場絡みの場所を狙う場合は、掛けた獲物が藻の中に逃げ込む可能性も高いため、取りこぼしを防ぐためには藻場から引きずり出せる強さを持った仕掛けが必要です。

通常時から1〜2ランク号数を上げて対応しましょう。

春チヌタックル

竿

チヌを掛けて藻に絡んだ場合、少々強引に引く必要があるから、あまり柔らかすぎる竿はおすすめできません。しかし、硬すぎる竿ではチヌが暴れて結果藻に突っ込むことになってしまいます。

理想は少し先調子気味のチヌ竿1号5.3m。慣れてくれば0号の胴調子でも楽しむことができます。

リール

スピニングリールの2000〜3000番。レバーブレーキは好みで選んで良いです。ドラグは締めすぎないこと。

ウキ

ウキ

棒ウキ・円錐ウキどちらでも大丈夫ですが、藻場では切れ藻や流れ藻に絡むトラブルが少ない円錐ウキが最適です。視認性を確保したいなら、小型の棒ウキがおすすめです。

道糸

春チヌ狙いならナイロンラインの1.7号あれば50㎝クラスでも大丈夫ですが、藻場や60㎝近い実績のある場所では念のため2号を使いたいところです。

ただし、シンキングは藻に絡みやすいのでフローティングラインが好ましいです。

ハリス

ハリス

ハリスは根ズレに強いフロロカーボン1.5号が基本。

細いほど操作性が良く水中でナチュラルな演出が可能ですが、藻に絡んだだけで切れてしまうほど細いと問題。獲ることが優先されるため、号数を下げるのは最終手段です。

スイベル(サルカン)

スイベルor直結、どちらかは好みでよいです。スイベルはハリスだけを失うリスクで済みますが、直結はウキごと紛失するリスクが高まります。

根(藻)掛かりが多い場所では極小スイベルが望ましいですが、藻が多い場所では逆に引っ掛かる原因にもなります。

ハリ

チヌバリ

春チヌは大型狙いが基本です。そのためあまりに小さなハリは好ましくありません。

チヌバリ2号以上を基本として使いましょう。また根掛かりした場合はハリ先がなまっているのですぐに交換しましょう。

春は回遊待ちがメイン

春ののっこみチヌ

春は産卵のため移動するシーズン。だから、基本的に居着き狙いではないことを念頭におきましょう。

マキエを撒いて魚を寄せる、マキエを溜めるという行為は通常のチヌ釣りと同じですが、回遊してきたチヌをいかに自分のポイントに寄せるかという大きな問題があります。

自分のツケエをチヌが見付けてくれない限り釣れないのです。

攻略のカギは、マキエとツケエ。もちろんポイントも重要ですが、あちこち場所を移動するのではなく、じっくりと終日同じ場所で竿を出した方が釣れる確率は高いです。

絶え間なくマキエを入れ、仕掛けはできるだけ海中に入れておく。こまめにタナを探る。この3大基本を守ることこそ、春チヌに出会える権利がもらえるのです。

春チヌ攻略

チヌフカセ

通常は底付近から始めるのがチヌ釣りのセオリーですが、春時期のチヌの場合は行動が水温に大きく左右されるためタナが定まらないことが多いです。

そのため、釣れるタナを丁寧に探っていく必要があります。

事前にタナ取りをして最深部となる位置にウキ止めを付けておき、さらにタナ調整用のウキ止め糸をハリスの結節部から1m程度上にセットします。

ハリスが3mだとするとウキ下4mのタナを探ることになります。

この状態で一定の回数(最低5回程度)流してみて、アタリの有無、エサが取られるかどうかなどを観察します。

チヌフカセ

アタリが無ければウキ止めの位置を50㎝ほど上げて(狙うタナを深くして)また回数を決めて流していきます。

探っていく途中でアタリがあればそのタナを集中的に狙います。掛かったのがエサ盗りの場合は、無視してタナを深くしていきます。

タナを徐々に深くしていき、アタリもエサが取られることもないまま海底まで到達した場合は、底付近を入念に探ってみます。

エサも取られないということは中層の水温が低いためエサ盗りすら泳いでいないと考えられるからです。こういったときは底付近でアタることが多いです。

それでもアタリがない場合は、次は徐々にタナを上げていくようにします。

タナ取りの重要性

チヌフカセ釣りキャスト

事前にタナ(水深)を把握しておくことが重要です。チヌの居場所をダイレクトに狙えることと、根掛かりを回避する効果があります。

タナ取りの手順は、まずハリにオモリを付けて投入します。仕掛けが沈んでいき、ウキ止めがウキまで到達してさらに沈んだらタナはもっと深いということ。

逆にウキ止めがウキの位置に行く前に仕掛けが緩んだらタナはもっと浅いということです。

ウキ止めの位置をずらして最適な位置に調整しましょう。この作業を最低でも釣りを始める前に一度は行い、できれば潮の干満に合わせて定期的に測りたいです。

ゴム管付きオモリなどでも代用できますが、タナ取り専用のオモリが便利なので活用しましょう。

藻場攻略

チヌフカセ釣り

春チヌ攻略に藻場攻略は必要不可欠です。しかし根掛かりを恐れて敬遠する人も多いです。

せっかくの絶好のポイントが目の前にあるのに、それを攻めないのはもったいないので、避けるのではなく攻めて勝ち取るようにしましょう。

初めての釣り場では偏光グラスを利用して水中をよくし観察して藻の位置を把握し、食わせる位置や魚が逃げる方向、取り込む位置などを想定しておくといざ掛けたときに慌てずに済みます。

水面に漂うほど繁茂しているような藻場の中心に仕掛けを入れると、どんな名人でもすぐに根掛かりしてしまいます。

そのため藻場をダイレクトに狙うのではなく、藻から少し離したところを流し、マキエで藻場の境目にポイントを作って周りにいる個体を狙うとともに藻場の中にいる良型も引きずり出します。

足元から切れ間なく藻が広がっていてその先にカケアガリがあるような場所では、藻の先にポイントを作り食わせます。

強引に寄せると手前の藻場に潜り込まれてしまうので、掛けたら軽くテンションを掛けながら糸を出して一旦沖へ走らせます。

沖でチヌを浮かせて弱らせたら手元に寄せてタモに収めます。

チヌフカセ釣り

いずれにしても、どこでチヌを食わせるか、ポイントをどこに作るかが重要です。潮の動き、マキエの動きをよく見て、マキエが効く場所を把握し、調整し続けなくてはなりません。

藻場に潜り込まれてしまった場合は、強引に引くよりも一旦糸を出して様子を見た方が獲れる確率は高いです。

春チヌのマキエ

フカセ釣りのマキエ

春チヌとひとくくりにしてはいますが、3月と5月では水温が大きく異なります。当然、チヌの活性も変わるため、状況に合わせて集魚効果を調整しなくてはなりません。

また水温が低い時期はあまり気にならないエサ盗りも、水温の上昇とともに活性を上げて瞬時にエサを奪うようになってきます。

この場合、エサ盗り対策を怠ると本命へツケエを届けることが難しくなります。

そのためには、まずベースとなる集魚材を決め、状況に合わせて添加するものを変えていきます。

ベースとは集魚力、拡散性、煙幕効果、沈下速度などがチヌに最適化された汎用タイプのもので、これだけでも通用します。それに効果をプラスして状況に合わせましょう。

3〜5月の3カ月間を前半と後半に分けて解説しましょう。

春チヌ前半

前半はまだチヌの活性は低いため、集魚力の高い配合で捕食スイッチを刺激します。

エサ盗りの活性もまだそれほど高くないから、さらに集魚力を上げる目的でアミやニンニク、サナギ粉などを多めに配合するのも有効です。

またチヌの警戒心を解く目的で濁りの強い集魚材を多めに配合してもよいです。

マキエ配合例

ベースとなる集魚材1袋+濁りの強い集魚材1袋
+集魚力の高い集魚材1袋+オキアミ生+アミ1/4角

マキエに群がる魚たち

春チヌ後半

水温の上昇とともにチヌの活性は徐々に上がりますが、同時にエサ盗りの活性も上がるので、前半よりも集魚力を抑えた配合とします。

エサ盗りがあまり好まず比重の大きいカキガラやコーンなどの固形物が多く配合された集魚材で底層までしっかりとマキエを効かせてチヌに口を使わせます。

マキエ配合例

ベースとなる集魚材1袋+比重の大きい集魚材1袋
+遠投性のある集魚材1袋+オキアミ生1角

エサ盗り対策

エサ盗りのフグ

急に水温が上がるとエサ盗りが大量に湧いて釣りにならないような状態に陥ることもあるので防止するために比重の異なるマキエを用意するのも有効です。

軽いマキエで水面近くにエサ盗りを釘付けにして、重いマキエで底に効かせて本命を狙うわけです。

メインに重めのマキエを使う場合は、比重の軽い集魚材も持参し、現地の状況次第で混ぜ込むとエサ盗り対策の奥の手として活躍します。

ツケエは複数種用意

チヌのエサ

基本はパック入りの加工オキアミLサイズ。尾羽根を切って1匹を腹掛けにします。

食いが悪いときは、チヌが吸い込みやすくするために、頭と尻尾を切ってハリに沿わせて小さくまとめるのが効果的です。

エサ盗りが多い場合や遠投時はオキアミをエビ反り状態にして背中にハリを沿わせる「背掛け」や2匹を向かい合わせるように付ける「抱き合わせ」を試してみましょう。

ローテーションも重要

チヌ

オキアミ生のみで通用していたものが、エサ盗りの活性上昇とともに通用しにくくなるので、コーンやサナギ、エビのムキミ、練りエサなどの選択肢を用意してローテーションしていく必要があります。

マキエと同様に時期に応じて用意するアイテムを変えるように心掛けましょう。

とはいえ毎回何種類ものツケエを購入するのも財布に優しくないので、優先順位をつけておくとよいでしょう。オキアミ以外の最初の選択肢としては練りエサがおすすめです。

余った分は冷凍庫で保管しておけば次回に持ち越せるので経済的でもあります。

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