この時期、チヌ釣り師にとっては大勝負のときです。何しろ自身の記録更新の最大のチャンスだからです。産卵期を控えた今の季節は、水温上昇前で釣りづらい時期ではありますが、アタれば大型が食いつきます。
しかもエサ盗りも活動を休めています。今こそ、地磯で自分のレコードを更新しましょう。
狙う場所の決め方
一番の釣果への近道は実績のある場所です。毎年、この時期に大型が釣れているポイントなら、まず間違いありません。
逆に新規開拓したいなら、
◯水深10m以上の場所が近くにあるポイント。
◯ワンドや湾奥など流れが緩く、水温変化が少ない場所。
◯午前中に日が当たる場所。
◯カキが繁殖している場所。
以上を目安にポイントを探すとよいでしょう。

水深が深い場所は身体を休めるためで、水温変化の少ない場所を選んで居座るからです。ワンドや湾奥も同じ理由です。
午前中に日が当たるというのは、朝から釣りをするならという意味。少しでも水温が上がれば魚も動きやすくなります。
カキがある場所は甲殻類や虫類などエサが豊富に生息するためで、あまり動かなくても捕食できるためです。実際、カキが多く繁殖している場所は、チヌの釣果実績も高いです。
またワンドの入り口が狭く流れの速い場所は避けるべきです。ツケエの安定が難しい上、潮の循環も悪い場合が多いです。
小さなワンドでポイントが少なくても、ゆっくりと生きた潮が入ってくるポイントを選ぶべきです。
その他には工場の温排水が流れ出る場所や、イケス周りは定番のポイントです。また藻場は産卵のために近づいてくるチヌがいるので、ここも大きなポイント。根掛かりに注意して狙いましょう。

小潮で水温が安定した晴れの日を狙い撃つ
大型のチヌはその体格の分、多くのエサを食べなければなりません。そのため居着きの巨チヌは乗っ込みの時期より前に動きだします。
晴れた日が2、3日続けば水温も当然上がります。海底にその暖かい潮が入りだすと、それが合図のように動きだします。
その暖かい潮を狙うのがベストです。特に小潮なら海水の移動量が少なく水温変化も少ないし、釣る時間が長くとれます。
大潮だとかえって水温変化が起きやすく、さらにチヌの動きが鈍くなる可能性があるので注意しましょう。
さらにこの時期は冷たい雨が降るので注意が必要。最低でも晴れた日が2日以上あり、さらに気温の変動が少ない日が続いたときを狙いましょう。
大物を仕留めるための強気の仕掛け

活性が低いとアタリが出にくいですが、その代わりヒットすれば大物である可能性が高いです。だから掛けたら必ず捕れるよう、強気のタックルがよいでしょう。
竿はチヌ竿なら1号以上は欲しいところ。グレ竿であれば心強いです。0号のチヌ竿でもだめなわけではないが、55㎝以上ともなれば想像以上の引きをするので、心してかかること。
道糸は、ナイロンなら2号、PEラインなら0.8号を選択。ハリスは最低でも1.7号を結び、万全にしたいなら2号を選びます。カキ殻や岩など擦れる可能性が高いポイントなら2.5号はあったほうがよいです。
ハリはチヌバリ3号以下にはしたくない。できれば4号か5号で挑むようにしましょう。チヌの分厚い唇に確実に掛けるためです。
ウキは、繊細なアタリを見逃さない棒ウキがおすすめです。飛距離を出して深場を狙うため自立型がよいでしょう。浮力調整はトップが少し見える程度にします。
ツケエはじっくりとがポイント

水温が上がりにくいこの時期の魚たちは、当然活性が低い傾向にあります。寒の時期に狙うグレも産卵を控えてそろそろ休止するころです。
大型ほど警戒心が強い上に活性が低くなるのだから、こちらもいつも以上に気を配って釣りをしないといけません。なので、まず念頭におきたいのはツケエを食わせやすいように落ち着かせることです。
セオリーから考えると、浅い場所よりも深い場所は水温変化が少ないです。だから、この時期は魚にとって深場は暖かい場所となり、魚も集まりやすくなります。
活性が低いとは、動きが鈍く捕食行動も控えているということです。そんな中、潮の流れに翻弄されるような食いにくいツケエを流したところで食ってはくれません。
食いやすく、さらにじっくり食い込ませることが重要です。
若いチヌと違い、55㎝を超すチヌは、ここまで生きていくための知恵をつけています。焦って釣れるものではないことを肝に命じておきましょう。
エサは軟らかいもの

「チヌの産卵期は桜の開花宣言とともに訪れる」と言われています。実際は地域の水温などによっても変わってくるのと、近年は水温が高く推移しているため徐々に変わりつつありますが、目安はそのあたりです。
エサが少なく捕食行動も控えていた越冬チヌは、この時期体力強化のために軟らかく口当たりの良いものを好みます。さらに春の産卵を控えた個体は、消化の良いものを好んで食べるようになります。
なのでツケエは軟らかいものを中心に選ぶとよいでしょう。ムキミや練りエサ、オキアミ生、サシアミなどがおすすめです。
練りエサは形を工夫すれば底で安定しやすくすることもでき、存在感が強いというメリットもあります。
集魚力を強化したマキエ

エサ盗りが少ない時期だから、集魚効果を優先しましょう。オキアミの他に、アミを入れて集魚効果を高める人も多いです。
ピンポイントで狙うことになるので、できるだけ比重が大きく、濁りが強いものがよいでしょう。濁りは警戒心を解く効果もあるので、大型狙いには欠かせません。
マキエを撒いてスグに近づいてくるのは若いチヌが多いです。比重を大きくして底に長く溜まるように設定し、じっくりと巨チヌが寄ってくるのを待ちましょう。
いつものように釣れないからといってポイントを次々と変えるのは、この時期大きな賭けとなりやすいです。ボウズ覚悟で1点集中しチャンスを待ちましょう。
ときにはポイントを見切る勇気も必要

これまでじっくりとした釣りが大事だと言ってきたが、だからといって気配すらないポイントで何時間と竿を振り続けて良いのかといえば、それもそれで問題です。
水温の変化が少ない場所が良いとはいうものの、全く潮が動いていないようなポイントは、酸素量も少なく生活環境があまり良いとはいえません。
実績がある場所だからチヌが必ず釣れると単純に考えるのではなく、当日の水温、日照、潮の流れを総合的に分析してポイントを決めることです。「過ごしやすい」がキーワードです。
ポイントの決め方と基本の狙い方

ベタ底狙いでツケエは底這わせが基本と考えてよいでしょう。ただし、あまりにも根掛かりが多い場所は、根掛かりしないギリギリのタナを狙います。
狙う場所は、チヌ釣りの定番ポイントはもちろんですが、部分的にえぐれているようなところも狙い目となります。そこにマキエを溜めていきます。
いちばん大切なのは、マキエの量です。いつものように撒いていたのでは、チヌは寄ってこないと考えてよいでしょう。
仕掛け1投につき、マキエ10杯くらいを目安に撒いていきます。またマキエは時間が経つにつれて疎かになりがちなので注意。多すぎくらい撒くのが丁度よいでしょう。