
小湊 透
こみなととおる
映画「男はつらいよ」とイシダイ釣りをこよなく愛し、デカバンとの出会いを求めて鹿児島県内各地で竿を出している行動派。さまざまなジャンルの釣りに精通する。

アカガイはイシダイのエサとしてポピュラー。安価で入手しやすいエサ通常は1日分として10㎏購入します。
管理方法は気温の上がらないときはバッカンに入れておくだけで大丈夫ですが、気温が上がるようであれば氷を使用します。
この場合は氷が直接当たらないように注意しましょう。冷やしすぎは厳禁です。
実釣時の前準備

さてこのアカガイ、釣りに使うためには前準備が必要で、事前にアカガイの殻を割っておくのです。
この作業、地味にたいへんなので時間が掛かります。例えば渡船の場合は早めに現地着して港で割るとポイントに着いてすぐに竿を出せます。
あまり早く準備すると血が抜けて身がペシャンコになりへこむので注意。やはりプリッとしていて魚がくわえたときに赤い血が滴るジューシーな状態が良いようです。
なので割るときも横から割らずに合わせ目を打撃してヒビを入れる感じで割るとプリッとした状態のムキミが取れます。

ここで殻を完全に剥ぎ取らずにこの半割りの状態にしておくとエサ盗りが多い状況に対応できます。ムキミにしたいときはハリを付けるときに殻を外しながら行えばよいわけです。
実釣時は複数個付けるのが一般的。ラッキー7にあやかって7個など個数は人それぞれ。こんなところでゲンを担ぐイシダイ釣り師が多いのは博打性の高いイシダイ釣りならでは……。
科学的根拠がないかと思いきや、一説によるとイシダイは長いモノに興味を持つとのこと。なので1個より複数個付ける方がアピールできると考えます。
ちなみに良いアタリをもらって次は食い込みそうな「リーチな雰囲気」であれば数を少なくして勝負に出るのもありかもです。
アカガイエサのテクニック

まず一般的なところだと手持ちの釣りになるという点。これはエサをくわえて持っていくイシダイに対して仕掛けを送り込み違和感なく食い込ませる目的での手持ち。
でも実際はハリからズレやすいアカガイエサがズレないように送り込むと解釈するほうが分かりやすいかもしれません。
叩くアタリに対しては送らず、押さえるアタリに対しては穂先を曲げながらついていくというイメージ。
微抵抗をかけながら送り込むかなりの高等技術。ざっくりと言えば10の力で引くイシダイに対して一般的には8~9送り込む感じ。

でも状況によっては10や11送り込む方がよかったり、逆に0(送り込まない)がよかったり、マイナス1や2引っ張ったほうがよかったりと千差万別。
経験に基づいた状況判断ができるかがカギ。初めたばかりの初心者には無理難題!
そこで慣れるまでは置き竿での釣り。送り込みを竿に任せてしまうのです。竿を手持ちするときに起こる微妙な揺れや早アワセの防止にもつながります。
春は水温の関係や産卵期ということでアタリが遠いことがままあるので手持ちでは集中力の維持が難しい。置き竿で放置しておく位がちょうどよい状況があるのです。
小バリが効果的

硬いエサと柔らかいエサではイシダイの捕食の仕方が違うのでハリのサイズが変わります。ウニ類などの硬いエサは噛み砕く捕食となりますがアカガイは口先でくわえて飲み込むような捕食となります。
基本的にはエサのサイズにハリを合わせていきますが意識した小エサの小バリが効果的な場面も……。この場合は小バリは取り込み時にバラシやすいいのでタモを用意して確実に取り込みましょう!
エサのバリエーション

アカガイは基本的にはムキミにして使用しますがエサ盗りの関係やイシダイの目先を変える目的でいろいろな状態にしてチャレンジします。
まずは荒割り。割った殻をまとわせてハリを装着します。
比重の関係で沈下スピードが変わるからか、エサ投入時に殻が外れてマキエ効果があるのかわかりませんが、ムキミを打ち返していて、荒割りを投入すると一発で食い込んだ経験があります。
まれに殻がハリ先をガードしてフッキングの邪魔をする場合があるのでハリを装着する際は気を配りましょう。

水温の上昇に伴いエサ盗りの猛攻が始まると塩締めの出番です。ムキミに荒塩をまぶすだけでガチガチに硬いツケエを作れます。
お世辞にも食いのよいエサとはいえませんが、特に離島では効果を発揮します。またイシガキ狙いにも使えます。
エサ盗り対策として殻を割らずに殻を開けて身にハリを装着する丸掛けというのもあります。また、ムキミを紙に包んでエサ盗り網を突破する方法もあるようです。