タイラバや一つテンヤなど、ここ数年マダイブームが続いています。しかし、船に弱い釣り人にとっては行きたくても行けない事情があります。
だったら陸から狙おうというのが「陸っぱりマダイ」です。地磯釣行なら遊漁船代が浮くと考えれば経済的。その中でも人気で釣果も良いカゴ釣りに注目です。
陸っぱりマダイの今
マダイ釣りはベテランの釣りとされていましたが、最近ではタイラバブームもあり、若者やルアーマン、釣り初心者の女性も多く楽しむようになりました。では、陸っぱりではどうでしょう?
釣れる地域やポイント、狙えるサイズは限られますが、常連が居るほどに盛んです。地域性が強いこともあり、釣り雑誌や新聞ではあまり載ることはないのですが、案外身近でも狙うことが可能です。
狙い方はカゴを用いたエサ釣りがダントツ人気。その理由に潮流の速いエリアで釣れるということが影響しています。超遠投&遠くまで仕掛けを流すのだから、ツケエとマキエの同調効率の高いカゴ釣り仕掛けが有利です。
シーズンは春と秋

マダイの乗っ込みは2月下旬から始まり、気温の上昇とともに北上していきます。
そのためご自分の地域での釣りがいつ頃がシーズンなのか、近所の釣具店などで調べる必要があります。
例として九州・山口では4月に盛期を迎え、6月にはほぼ終わります。俗に「サクラダイ」と呼ばれます。
多くの魚は、産卵のために浅場へと移動します。これを「乗っ込み(産卵回遊)」と呼びますが、マダイの場合は行き着く先が水深20m付近だといわれています。
この、一番接岸してくる時期が最も岸から狙いやすいシーズンだといえるのですが、産卵中の魚は捕食行動を控え、産卵に集中してしまうことが多いです。それでも、全く釣れないわけではありません。
また、マダイは1回で産卵行動を終えるのではなく、複数回行うため、すぐにそのエリアから居なくなるわけではありません。
ツケエやルアーを食ってくれる可能性は低くなりますが、釣れるチャンスは大きくなります。ちなみにマダイの産卵は夜間に水面付近で行われます。

岩や藻に卵を産み付けるのではなく、海面付近「分離浮遊性卵」として、バラバラとなって漂います。
産卵を終えた個体は、休息後体力回復のためにエサを探し始めます。このとき、より体力を消耗したメスは、行動を控え産卵場所付近で捕食行動をとることがあります。
陸っぱりから大型が釣れたというのはこの時期のことが多いです。
以上のことから陸っぱりシーズンをまとめると、浅場へと入ってくる産卵直前の個体と、産卵後となります。しかし、産卵後のマダイは見た目も味も良くないので、できれば避けたいものです。
夏場は小型が多くなるため釣りづらいのですが、秋になるとそこそこ狙いやすくなります。深場へと落ちる前の荒食いシーズンとなるためです。
さらに個体数も多い時期だから、春よりも釣れる確率は高くなります。
春と秋の違い

通常、マダイは岩礁帯を好んで生息しています。ゴツゴツとした場所よりも、砂地に点在する大岩があるようなイメージです。
砂地が多くなるほど型も小さくなる傾向にあります。冬季に水深100mにもなるような場所で過ごしたマダイは、春になると水温の上昇とともに浅場へと産卵のために向かいます。
少しでも温かい海水を求めるため、海底にべったりではなく、少し浮き気味になることが多いです。つまり、春はベタ底を狙うのではなく、少し浮いていることも考慮して狙ったほうがよいでしょう。
夏のチャリコシーズンが終わると(夏は大型が釣れないわけではない)、秋の活性が高い個体が狙えるようになります。
越冬するためにも多くエサを食べるのですが、大きくなったマダイは群れを作らずテリトリーを持って行動していることが多いです。
巣穴は持ちませんが、一つの岩を家と見立てるなら、家の周りで食料を確保しているような感じです。できるだけ大きな岩礁帯が点在するようなエリアでの竿出しが望ましいです。
釣り場の水深については深いほど理想ですが、水深5mほどの波止でも釣れた実績は多いです。それよりも生きた潮が流れていることの方が重要となります。
まずはマダイが釣れた実績のある場所で竿を出してみるのがよいでしょう。
ご当地さまざまなカゴ釣りとは

カゴ釣りは地域によって独特な釣り方が定着しています。地域限定の釣り方とは、その場所に合わせた最良の仕掛けのことです。
潮の速さ、水深、マダイのサイズなどに合わせて、一番釣れる&扱いやすい工夫が施されています。
このため、地域の釣具店に尋ねるのが最良ですが、ここではオールマイティーに使える仕掛けを紹介しましょう。ウキサビキをやってみた方ならすぐに作れる仕掛けです。
ただし対象魚が大きいから、竿や糸の号数に注意しましょう。
また50㎝超えの実績がある場所なら、万能竿ではちょっと荷が重くなります。折れることはないですが、パワー不足でハリスが切れる可能性が高いです。
そんな好条件の場所では、最低でも磯竿2号以上を使いたいです。また、仕掛けが長めだから、キャスト時にも注意したいです。

周囲の状況を必ずチェックしてから投げること。さらに竿が短いと投げにくいことも付け加えておきます。遠投できない場合、釣れない確率も上がると考えてよいでしょう。
実績のある場所なら流れのスジに沿うように仕掛けを流すのが王道です。実績が分からない場所では、潮目を探してダイレクトに狙うのが手っ取り早いでしょう。
海面も海底も見た目に同じように見える場所なら、とにかく遠投して少しでも深い場所をまずは狙ってみましょう。
変化がある場所では、仕掛けが流れる速度が変わったりするものです。タナは根掛かりしない底付近を基本として、距離を投げ分けて流れを探しましょう。

上の写真のように海面に変化がある場所を狙うのが基本です。仕掛けを入れてみて、流れる方向や速度に気を配りましょう。
ただ直線的に速いだけという流れの中には魚影は少ないです。波の盛り上がり、カーブ、減速などを見つけましょう。
シャクリは少なめに

カゴ釣りではシャクってカゴの中のマキエを出すのですが、潮流が速い場所ではツケエまでダイレクトにラインが張ってしまうため、ツケエがハリから外れることもしばしば。
シャクリは少なめでも、中からマキエが出るような網目の大きなカゴを選びましょう。
またカゴ釣りの場合、マキエにはオキアミのみで集魚剤を混ぜないのが標準で、オキアミボイルを愛用する釣り人も多いです。
エサ盗りが少ないなら、アミ浸けのオキアミなんかも有効でしょう。もちろん、アミだけをカゴに入れる場合もあるから、状況に合わせた「マキエ」選択も釣果に大きく左右しそうです。