沖磯のナイトシーンは日中にはお目にかかれない魚が顔を出す非日常的な世界。釣り人にとって夜は有利な時間帯であり、夜釣り専門の磯釣り師もいるほどだ。
魚の警戒心が薄れ大きな魚が食ってきやすいため、一発に備えオーバースペック気味のタックルで挑む。誰もがビッグチャンスをものにする可能性のある磯のカゴ釣りにスポットを当てて解説しよう。
ターゲットは始めやすいマダイ、イサキだ。
月夜より闇夜がおすすめ

夜釣りに出掛ける日を選べるなら満月の日は避けた方がよいとされている。
明るすぎると魚の警戒心が薄れないのと電気ウキの明かりが月光に吸収されて見えづらくなるからだ。
ただ、春先のマダイの乗っ込み期は例外で、大潮の日は月明かりがあってもよく釣れることがある。
カゴ釣りの仕掛け

まず、カゴ釣りは仕掛けを遠投し潮に乗せ広範囲を探る釣りになるので、張りのある磯用の遠投竿を使う。
使用するタックルは、イサキやマダイを狙うのであれば磯竿3号または4号。
リールはナイロンラインの5〜8号を200m巻けるもの。ハリスは8〜12号でハリはマダイバリの10〜12号が標準的なタックル。
このタックルでマダイの80㎝クラスまでは獲れる。
夜は太仕掛けにも果敢に食ってくるので、パワー重視でよい。
その他には、ウキは化学発光体をセットできるもの、もしくは電気ウキ。それにオキアミボイルを詰める底オモリの付いたカゴがあればほぼ揃う。
タナを決めて狙う

カゴ釣りはタナを決めて狙う移動仕掛けが基本。タナを決めて流した方がトラブルは少なく、1尾釣れれば同じタナを狙うことができ、数釣りしやすいからだ。
ウキに変化がないからといって、流し続けていると根掛かりの原因になる。何十mものラインを失うこともあるので、流す範囲はある程度決めておくとよい。
マダイはタナが重要

海に光が届かなくなると夜行性のエビやカニなどが活発に動き始める。
甲殻類も好んで捕食するマダイの遊泳層は海底に近いので、まずウキ下はそのレンジに合わせる。水深は常連や船長に確認しておくとよいだろう。
潮の流れが速くなれば縦になっていた仕掛けが斜めになるのでウキ下をさらに長くする必要もでてくる。マダイをメインに狙う場合、中層より深い底近くを釣るのがセオリーだ。
潮の干満をチェックしてこまめなタナ調整を行おう。
仕掛けは本流に直接投入するのではなく、引かれ潮に一旦投入して、深ダナまで仕掛けを沈ませてから流していく。
イサキは潮目を狙う

お土産に喜ばれるイサキをメインターゲットにするなら潮目を狙うのが良い。
潮通しの良いポイントなら、カゴからこぼれたオキアミボイルが潮に運ばれイサキの群れを呼び込む。
ウキ下は竿1本から始め、ツケエの残り具合や仕掛けのなじむスピードなどからヒットレンジを探る。
ヒットし始めればタナが上がってくる傾向にあるので徐々にウキ下を浅くしてアタリを増やしていこう。
夜釣りに共通して言えるのは、午前1時から2時に掛けてエサすら取られない状況が続いたとしても午前3時から5時くらいにかけての夜明け前に荒食いすることがある。
仮に仮眠をとったとしても午前4時くらいからは竿を持っていた方がよい。磯の夜釣りは、まさに朝起き千両夜起き百両ということが言える。