
猪熊博之
いぐまひろゆき
グレ・チヌのフカセ釣りで次々と新しいスタイルを確立してきた磯釣り界のトーナメンター。主な戦績は第30回G杯争奪全日本がま磯(グレ)選手権優勝、第15回、第16回、第19回釣研WFG優勝、など。がまかつフィールドテスター、釣研インストラクター、東レ・モノフィラメントインストラクター、マルキユーインストラクターとして活躍中。大分県津久見市の瀬渡し船アイジーマリン船長。


良型のグレの数釣りも、とても楽しいのですが、いつまでも記憶に残る記録魚を狙う釣りにも面白さがあります。今回は、50㎝オーバーの口太を仕留めるための心構えを考えてみましょう。
50㎝オーバーの価値

グレ釣り師がイメージする口太の「大型」といえば50㎝が基準。このサイズの口太を手にすることができれば、記憶に残る1尾となるのではないでしょうか。
しかし、48㎝や49㎝を釣ることができても、50㎝を超えるサイズに辿り着くためには、大きな壁を越えなければなりません。
私もこれまでに仕留めた50㎝オーバーの口太の数は二桁に達していないですが、すべての状況が記憶の中にはっきりと残っています。
50㎝オーバーの口太は九州各地の磯で年に何尾も出ていますが、磯に立つ釣り人の累計人数から確率を計算するなら、50㎝オーバーの口太に出会える確率は実に低い数字だといえそうです。
幸運にも50㎝オーバーの口太を手にした釣り師にしても、それだけを狙い撃ちして食わせたケースは皆無と見ていいでしょう。
50㎝オーバーが出る状況

50㎝超の口太は、大型の尾長を狙う場合のように離島へ行かずとも、普段通って慣れ親しんでいるホームグラウンドの磯群でも出る可能性があります。
少し車を走らせた遠方のフィールドに行けば、出会いのチャンスはゼロではありません。
つまり、大型の口太は普段のグレ釣りの最中に不意にアタってくる可能性を秘めた好敵手で、身近な存在とも言えます。
身近なフィールドで普段通りのグレ釣りをしていて、50㎝オーバーの口太がいつアタってくるかは予測不能で、常に50㎝オーバーを意識して竿やハリスを通常よりワンランクアップして釣ることも現実的ではありません。
50㎝オーバーの実績が豊富な釣り場で、アタってくる可能性が高そうな状況であれば、最初からそれを意識したタックルをチョイスして挑むことはありますが、そうでなければ、そのフィールドに適した仕掛けを組んで、通常釣れるサイズのグレに合わせたタックルで釣りをするでしょう。
そのことが50㎝オーバーの難易度を高める要因なのです。
50㎝オーバーを狙うなら

50㎝オーバーと出会う確率を少しでも上げるためには、釣り方がどうのという前に、大型が潜んでいる可能性が高い場所を選定しなければなりません。
その点で、過去に実績があるエリア・磯は有望視できるでしょう。時期的な条件を見た場合は1~2月が最も確率が高く、次に6月の梅雨グレシーズンが狙い目です。
私の経験から言えば、50㎝オーバーの口太が出る確率が高い場所を見極める上で重要なのは海水の温度です。
例を挙げるならば、適水温時は潮通しの良い先端部や水道部に位置し、なおかつ潮が緩むポイント(ワンドや潮が緩む形状など)がある磯が有望。
厳寒期には潮がゆっくりと流れるワンドの中の磯で沈み瀬やゴロタ石などが点在している場所、または足元から水深が20mほどあるドン深の磯で、潮がほどよく通す場所などが有望です。

狙い方に関しては普段通りの釣りと特に違いはありませんが、ツケエは目立たないものに分があり、姿形と色などがマキエの中のオキアミに似ていて、マキエの中で目立たないツケエの食いが良いと感じています。
最終的には、普段使用しているタックルで50㎝オーバーの口太を獲れるかどうかが勝負の分かれ目。
現在のタックルは進歩が目覚ましいとはいえ、口太といえども50㎝を超す大型ともなると、40㎝台後半とは引きの強さがかなり違います。
大型口太とのやり取りで肝心な点は、無駄に竿を上下させるポンピングは避けることで、曲げている竿のテンションをなるべく一定に保ちながらリールハンドルを巻いてやることです。
最後に

最後になりますが、今後は「グレが居れば食う」的なパターンが以前よりも少なくなるように感じています。
そこに居るグレに、いかにしてハリの付いたエサを食わせるかという、非常にシビアな釣りを要求される局面が多くなってくるでしょう。
現状のグレ釣りにおいても、マキエには反応してエサを食っているにも関わらず、ハリの付いたツケエは食ってこない状況によく遭遇します。
マキエに反応しているグレに対して、ツケエも食わせられるような工夫と解決策が、これからの時代には要求されてくるのではないでしょうか。