脱・フカセ釣り初級者! 堤防からのチヌ攻略がコレだ

堤防で狙うチヌは、フカセ釣り初級者にとって入門しやすいけれど、基本を覚えるまでは思うような釣果に恵まれません。ここでは堤防や防波堤での最強仕掛けや釣り方、攻略の基礎を伝授しましょう。

最高の1尾を釣り上げよう!

まず「底を中心に狙う」ことがチヌ釣りの基本です。それは釣り場の水深を測ることから始まります。市販のタナ取りオモリなどを使い、きっちりと水深を測りましょう。その測り方にもコツがあります。適当にやるのではなく、自分が釣る範囲の海底の地形を把握しておくことに意味があるのです。

魚探で底の地形を見るように、水深を測りながら海底の様子を判断していきましょう。釣りに慣れてくると怠りがちなことですが、釣果が上がらない人は初心に戻り、水深を測ることから始めるといいでしょう。

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仕掛けは半遊動か移動仕掛け

底付近を狙うのだから、全遊動や全層釣法で狙うのは効率が悪いもの。もちろん例外はありますが、この2つの釣法で狙いたいのであれば、しっかりとその釣法をマスターしてから行うことです。

タナを決めて釣る場合は、潮の干満による水深の変化が読み取れる半遊動か移動仕掛けが最強であり基本です。水深が竿1本もない場所なら固定仕掛けでも問題ありません。

タナの調整は怠らない

最初に狙うタナは、海底から30cm以内に設定します。しかし、下げ潮狙いでは水位が下がるに従い根掛かりなどが起こって知らせてくれますが、上げ潮狙いでは再度水深を測るまでどれくらい水かさが高くなったのかわかりづらいものです。堤防の水跡などで判断できますが、最初は勘に頼らず水深を測り直すようにしましょう。また、最初に設定したタナで釣れない場合、狙うタナの微調整が必要です。底から30cm以内を狙っている場合、それ以上深くして底をツケエが這うように設定するか、もっと上のタナを狙うかになります。

エサ盗りを含め魚の活性が全体的に高い場合は、少しずつタナを上げるのが目安です。理由は、チヌの活性も上がりマキエによってチヌの遊泳層が上がっていることも考えられるからです。しかし一気に浅くするのではなく、10cm単位くらいで徐々に対応していきましょう。

逆に魚の活性が全体的に低い場合、底にツケエを這わせるのも有効です。ベタ底をチヌが泳いでいたり、底にあるエサを捕食しているケースもあるため、海底に注視しているチヌに見つけてもらえやすいようです。

マキエは重く粘りを出す

マキエ選びにもポイントがある。チヌ用の配合エサなら間違いない。

底付近を狙うわけだから、マキエは底に溜まるくらい重いものが理想です。しかし、マキエが全て底に溜まるようでは、流れに乗せて遠くのチヌを寄せることができません。全体的に比重が重いマキエに仕上げ、バラけて流れに乗る素材も配合されているものが望ましいでしょう。代表的な素材としては、おからやヌカなどがそれに当たります。

粘りはマキエのまとまりをよくして、沈む際に塊となりやすいです。粘りを出す素材は、パン粉やヌカ、アミが適当。これらを網羅したのが市販の配合エサ(チヌ用集魚剤)になります。しかし、市販品も状況に合わせて選べるように内容物や比重差があります。どれを選んでいいかわからない場合は、比重が重い配合エサと、適度にバラける要素を含んだ配合エサをブレンドしましょう。パッケージを読めば特徴が記されています。

マキエには生エサを必ず入れる

堤防でオキアミを大量に使用する釣り人は少ないですが、当然入れたほうが集魚力は高くなります。これは誰もがわかっていることですが、経済面からもケチりがちであることは確かです。しかし、配合エサだけのマキエだと煙幕効果のみとなり、底に溜める要素やチヌの食い気を倍増させる効果が薄れてしまいます。少量でもいいのでオキアミは入れるようにしましょう。ツケエの残りを冷凍しておき、次回のマキエに使用してもいいし、アミを少量混ぜてもよいでしょう。

まずは万全のマキエで挑んでポイントを見つけ、釣れるパターンを掴んだら次回からマキエをケチればいいのです。

マキエは多く継続的に撒く

チヌ釣り用のヒシャクカップは、グレ釣り用に比べて大きいです。つまり掬えるマキエの量が多いことで、1回に撒く量も多くなるということ。その理由は様々ありますが、こう考えてみてはどうでしょう。

1)マキエを多く撒いてチヌを寄せなければいけない。

2)何杯も撒くよりも効率的。

3)大きな塊にして、より沈みやすくしている。

どれもマキエの量の多さにつながる内容です。

1日に使用するマキエの総合量からすると、グレ釣りのほうが多い傾向にありますが、投入回数とカップのサイズから計算すると、チヌ釣りのほうがマキエの使用量が多いことが分かります。結論を言えば、1投ごとのマキエは十分に撒くことが大切ということです。居着いているチヌを寄せるためのマキエと、回遊してくるチヌを誘導するマキエを絶やさず撒き続けるのが大切です。

ツケエは2種類用意する

これから晩秋まではエサ盗りが猛威を振るう季節となります。仕掛けを上げるたびにツケエがないというよりも、仕掛け投入から数秒で取られてしまうことが多いでしょう。ここで重要なのが、仕掛け投入からツケエが取られるまでの時間(距離)です。例えば、仕掛け投入から回収まで3分だとしましょう。しかし、ツケエは10秒と持たない場合、2分50秒はチャンスを逃していることになります。

ツケエの有無を把握する

ツケエは付いているだろう、というあいまいな期待感は必要ありません。ツケエが付いているのに仕掛けを上げるとマキエがもったいない、仕掛け投入が面倒という人にはチヌは掛かってくれないのです。チャンスを最大限に活かすためにも、エサが毎回取られるようであれば仕掛け投入からカウントして何秒でなくなっているか、どこで取られているかを確認しておきましょう。

ツケエが取られるポイントを知る

釣りの記事で「ツケエが残ってくるようになった」と、読んだことはないでしょうか。そしてその後、高確率でチヌが釣れている状態に。つまり、ツケエの有無により状況の変化を知り、集中して狙った成果だといえましょう。

チヌは他魚を蹴散らしてエサを食べます。ツケエはオキアミLサイズと練りエサ。この2つは必ず用意しておきたいです。

エサ盗りが多い場合、上〜中層でかなりの量のマキエを食べられてしまう。必然的に底に溜まるマキエの量は少なくなり、流れに乗るマキエも減ってしまいます。練りエサは溶けながら流れ、それ自体が集魚力を持っているためチヌに見つけてもらえる可能性が高い。最近ではパン粉を練って「パン粉ダンゴ」として使われることも多いので、試してみるとよいでしょう。しかし、パン粉エサはフグや小ダイに弱いです。ましてフグが多い場合、ツケエの上のハリスをかじるので注意しておきましょう。

確実な1尾を狙って行こう。

チヌのくらし

底質がヘドロ状になっている湾奥でもチヌを見かけることはできます。しかし、通年そこで暮らしているわけではなく、一定の時期のみ生息しているというわけです。

◯一年を通しての基本行動

春に産卵時期を迎え、産卵後は少し深場に移動して体力を回復します(地域により異なります)。夏~秋/エサが豊富な浅場や汽水域へと移動して貪欲に捕食活動を始めます。

晩秋になると越冬の準備を始めるため、少しずつ深場へと移動しながら荒食いの時期に入ります。

冬/深場に移動して、体力を温存しながら乗り切ります。

このように、同じ場所で通年を過ごすのではなく、移動しながら生活しているのです。もちろん「居着き」と呼ばれる同じ場所に居座るものや、深い場所には落ちない小型もいます。

堤防から釣りやすい時期は、1年で最も接岸してくる初夏〜初秋となります。

チヌが居る場所

どの堤防でも、チヌが釣れる場所はおおまか決まっています。底に障害物があったり、カケアガリだったり、藻場があったりと海底の変化に左右されるポイントが多いです。しかし、活性が高い夏時期は、思いもよらぬポイントで食ってくることも確かです。日中でも濁りがあれば水深50cmほどの浅場でも釣れることがあるのです。

「意外性のある魚」としてチヌがそう呼ばれるのは、活性が高い初夏〜初秋の行動によるものでしょう。

こんな話もあります。水深6mほどの堤防や波止で、海は海底まで澄んでおり岩の位置や魚影、ツケエが沈んで流れる様子も見て取れる。しかし、岩と岩の間を狙ったところ、チヌが入れ食いになった。

沈んでいくツケエをじっと見ていると、見えなくなるあたりでウキに反応が出る。もちろんチヌの姿は視認できない。理由は定かではありませんが、人間の視界能力とチヌの視界能力が一致したかのような感じだったそうです。敵(人間)が見えなければ大胆な行動を取り、感じ取れる範囲にいるときは臆病な態度をとるという感じでしょうか。

話はそれましたが、まずポイントとして選ぶなら、濁りがある場所と海底まで見えない水深が基本です。そして重要なのが身を隠せる障害物が近くにあるということでしょう。

相手を知ること。どんな勝負でも相手を知ればそれだけ有利にファイトすることができる。

流れとチヌの関係

チヌはあまり泳ぎが得意でないとされていますが、海中でのホバリングは上手いようです。このことから、速い流れや絶えず流れている場所はあまり好まない傾向にあります。しかし、激流となる関門海峡や鳴門海峡ではチヌの魚影が濃いです。なぜでしょうか。ひとことで言えば生活環境がチヌに合っていることですが、流れによって様々な生物が流れてきて、エサが豊富な場所ということが考えられます。特に貝類や甲殻類が豊富な場所です。

前述のように泳ぎが得意でないとすれば、流芯や絶えず流れている場所はポイントとしてあまり有効ではありません。流れが淀む場所や緩む場所が狙い目となります。

つまり周囲に豊かなプランクトンを運んでくれる流れがあり、その恵みが溜まるような湾内や港湾が住みやすい環境といえるでしょう。

逆に流れを移動手段として使うこともあり、初夏〜初秋は浅場を移動しながら捕食活動を行うので、少し流れの速い場所であっても、群れに当たると大釣りする可能性は十分に見込めます。

潮の干満と狙う時間帯

夏の日中は釣り人のほうが暑さで参ってしまうため、狙うなら短時間釣行か夜釣りがやりやすいでしょう。

短時間で釣果を稼ぎたいのなら、下げ潮狙いがおすすめ。場所によって差はありますが、満潮で湾内などに入ってきたチヌを下げ潮で狙うのが目的で、釣れる時間帯としての実績も高い。潮が引くと底が見えるような場所でも、干満差が大きな場所では十分に狙えることも理由にあります。この時期、河口付近の濁りや砂浜の濁りなどがあれば、チヌはかなりの浅場まで寄ってきます。そういう場所は釣り人も少ないから、釣り場確保にも困らないはずです。

渚釣り自体は古くからある釣りですが、近年クローズアップされるようになったのも、上記の要素を含んでいるからでしょう。

そして夏のチヌの引きは強いです。特に浅場で掛けたチヌはワンランク上の階級の引きで楽しませてくれます。他のシーズンよりも暴れるチヌの引きを堪能できるのです。

チヌの群れと大型狙い

夏に釣れるチヌは30cm未満の個体が多いです。チヌは大型になるとほとんどが雌になるため、釣れるのは雄が大半ということになります。おまけに群れで行動していることも多く、釣れるサイズがバラバラではなく、釣れるサイズ全て小型ということもめずらしくありません。こんな中で大型を狙うのは難しく、次の群れを待つか別の日に挑戦するしかありません。逆に言うと「ここは小型しか釣れない」ではなく、釣れることは実証できたので、通えば大型が出る可能性があるということです。

大きなサイズを釣り上げるには運も左右されますが、釣り場に通うという努力は報われるはずです。

流れを釣る

何度もチヌは流れが緩い場所にいると書いてきましたが、もちろん速い流れで釣れないわけではありません。ただし、海底の変化が大きく影響しており、単純に流れが速いだけでなく、海底がカケアガリだったり、移動するルートだったりすることが多いようです。

また、流れがぶつかるなどしてマキエが溜まる場所があることが前提となるポイントも多いです。まず流れが速い場所を狙うなら、引かれ潮から探ってみましょう。ツケエが残るようならそのまま流し、本流との壁まで流してみましょう。ここで重要なのがマキエの帯。撒いたマキエが帯を作るようにイメージして、その中を釣るように心がけましょう。

そして撒いたマキエは本流に乗ってかなり遠くまで効くことになります。遠くにいるチヌを寄せて釣るには最適な流れと言えるでしょう。

1尾釣れたら今度はマキエをセーブしながら狙うことです。撒き過ぎるとポイントが遠くなってしまうからです。

地磯で釣る場合も流れが速くなる傾向にあります。水深が5m以下であればタナを底スレスレに設定して、海底から巻き上がる流れにツケエを踊らせながら狙うと面白いです。食わせのタイミングを与えるため、たまに仕掛けを止めるなどすると効果的です。

エサ盗りに対抗する

エサ盗りの猛攻に負けてしまうことも多いこの時期、オキアミや練りエサだけでは歯がたたないこともあります。こういうときはチヌの雑食性を利用し、様々なツケエで対抗します。代表的なエサ盗り対策のツケエは

◯コーン

◯スイカ

◯サナギ

◯ムギ

◯ムシエサ

◯ボケ(アナジャコ)

◯貝類

◯カニ類

など、以上に限らずもっと多くのツケエが用いられています。これだけ雑食性が強ければ、どんなツケエでも釣れそうな気がするのですが、逆に釣り人側がそうはいきません。

普段使い慣れていないツケエは、釣っていても釣れる気がしないため、すぐに使い慣れたツケエに戻してしまう傾向にあります。

練りエサを使い慣れない釣り人が、すぐにオキアミへと戻してしまうのと同じです。とはいえ、オキアミが食いがいいのは確かであるため、できればそれで食ってほしいもの。しかしどうしてもエサが持たない場合、どうせ釣れないのであればいちかばちかで試してみる価値はあります。

上記対策用のツケエを用意していない場合は、釣り場にある貝やカニ類を使ってみましょう。どちらも落とし込み釣りなどで使われる実績の高いエサなので、コーンやスイカを使うよりは信じられるでしょう。

カニに至っては、夏場はそれでしか釣れない釣り場もあるほどなので、オキアミと同レベルで使えるはずです。

ただし、底を這わせるとカニは岩穴に潜ってしまうため、少し底を切ったタナの設定が必要です(死んだカニでわざと底を這わせる狙い方もある)。

アタリがあっても一気に持って行かないことが多く、オキアミ使用時よりも遅めのアワセを心がけましょう。そしてもう一つが巻貝の「ビナ(ニナ)」です。付け方はカラを割って中を取り出し、硬い部分にハリを刺すだけ。

どうしても釣れないとき

自分が持っている引き出しを出しきってしまっても、釣れないという日は存在します。ほとんどが潮が悪いかチヌが入って来なかったという結果論にいきつきます。本当にそうだった場合を除いて、自分だけ釣れなかった可能性も捨て切れないのです。ウキフカセ釣りの場合は「腕が悪かった」で終わってしまいがちですが、ルアー釣りではこういうシチュエーションも多いものです。

同レベルのルアーマンが横並びで釣っているとします。一方は爆釣で、もう一人は全くアタりもない状況。もちろん同じルアーを使っても釣れないルアーマンにはかすりもしません。その原因はラインの太さ(特性)と、ロッドの硬さにあったのです。ルアーは引いてアクションさせ、魚を誘って食わせるのが目的ですが、使っているタックルで微妙にルアーの動きが変わるのです。

硬い竿でルアーを引くとルアーはキビキビした動作をし、軟らかい竿でルアーを引くと、ルアー自体のアクションをロッドが吸収するためソフトな動きになります。

これが釣れるか釣れないかの境になったのです。

これをウキフカセ釣りに置き換えるなら、ハリスの長さや号数、ラインメンディングのやり方や仕掛けの流し方(角度、方向)となります。

釣れないときは少し釣り座を移動したり、ハリスにガン玉を打って仕掛けに張りをもたせたり、仕掛けを流している途中で仕掛けを止めてみるなど、少しでも今釣れない状況とは違う行動をしてみることが大切なのです。

「釣れない」と一生懸命に狙うだけではなく、周囲の釣り人を観察して真似てみたり、仕掛け投入やマキエ投入のタイミングを変えることも試してみましょう。

あの人いっぱい釣れていいな〜。だったら真似してみよう。ただしマナーだけは忘れないよう注意。

釣れたサイズに関係なく、釣果があればぜひ問い合わせ欄を利用して知らせてほしいもの。あなたの感動の1尾を待っています!

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