
2月後半から4月前半にかけては、年間で最も水温が下がる時期に当たります。九州でも北部は15度を割ることも珍しくありません。いくらマキエを投入しても小魚1尾見えないことが往々にしてあるのです。
そういう状況では、釣り人の心理としてどうしても深場を釣りたくなります。深場=温かい=魚がいる可能性が高いという図式を頭の中で描いてしまうからです。
釣りTOPICSでも解説してきた通り、それは決して間違いではありません。しかし100%正しいわけでもないのです。
以下、その理由を説明しましょう。
南向きの海は温まりやすい
秋分の日から春分の日まで太陽は南寄りの軌道を通ります。それが理由で、南向きの部屋は冬でも暖かい。対して、北向きの部屋は日光が射し難く、その恩恵を受けづらいですね。
これと同じことが釣り場にもいえるのです。南を向いていると温まりやすいから、魚の活性が高くなる可能性が高のです。もちろん、温かくなるには時間がかかります。水には「温まりにくく冷めづらい」という特徴があるので、日光が射し込んだらすぐ水温が上がるわけではありません。魚の活性が上がるのは午後2時から4時頃と思っていいでしょう。

浅い方が温まりやすい
前述した「温まりにくく冷めづらい」(これを比熱といいます)話の続きです。水は温まりにくいですが、磯やコンクリートは比較的早く温まります。すると、それに近い海水も早く温かくなるのです。つまり、沿岸部の方が水温は上がりやすいのです。
それに加えて、水深が浅いと日光は海底まで届きやすいです。海水浴に行って、浅いと底まで温かったのが、深くなると底近くは冷たいのと同じです。
深場が温かいのは水温が下降している時期に限られます。

上げ潮は冷たく下げ潮は温かい
ここまでの説明で理解できたと思いますが、岸近くの浅場は日光によって温まりやすい。下げ潮はその温まった海水が沖に出ていきます。
対して、沖の深場は水温が低く、上げ潮はその低い水温の潮が流れ込んでくることが多いです。それでは魚の活性が落ちてしまいます。

以上をまとめると、南向きの釣り場で足元は浅く、午後になって下げ潮を釣ることができるポイントがベストといえます。
すべての条件を満たす釣り場は簡単には見つからないと思います。
ですが、1つでも2つでも条件に合えば、試してみる価値は十分あると思っていいでしょう。