市場にはあまり流通しないマゴチだが、釣りのターゲットとしては人気の高い魚。見た目は少しグロテスクだが、淡白で上品な白身はフグやヒラメなどに似た極上の食味を堪能できる。
また、近場の陸っぱりで70㎝クラスの良型が狙え、力強い引きが楽しめるのも人気の理由だろう。
「照りゴチ」という言葉があるように気温の高い時期によく釣れる魚だ。春〜夏にかけてが産卵期となり、この時期は産卵前の荒食いシーズンとなる。
そのためエサを追い求め浅瀬に接岸してくるので釣りやすい状況となる。
マゴチの泳がせ釣りの魅力

エサ・ルアーどちらでも狙えるが、エサで釣る場合は泳がせ釣りがメインとなる。
マゴチは海底に潜んでいるので泳がせ釣りの仕掛けはエサとなる魚が海底付近を泳ぐようなものであればどれでもよく、これと言って決まりはない。
泳がせ釣りの基本となる捨てオモリを付けた胴突き仕掛けがシンプルで作るのも簡単・コストも安いが、テンビン仕掛けも人気が高い。

テンビン仕掛けは胴突き仕掛けよりも根掛かりしづらいというメリットがある。海底の状況や好みに応じて選べばよいだろう。
オモリの重さも基本となるものを記載しているが、これはあくまでも投げ釣りタックルに合わせた重量だ。
自分の持っているロッドの許容負荷に合ったものを選べばよいだろう。ただしエサとなる魚の重量が20〜30g程度になるので、それも計算に入れておかなければならない。
狙い方

釣り方は至って簡単。活きエサをハリに付けたらそれをキャスト、オモリが底に着いた状態でそのまま泳がせておくだけだ。
ただし、闇雲に投げてターゲットの居ない場所で泳がせていても釣れる確率は低い。魚が居る場所でエサを泳がせて誘うことが重要だ。
では広い海のどこを狙えばよいのか。それはズバリエサとなる小魚が釣れたポイントとなる。
エサとなる小魚が群れている場所や溜まりやすい場所には当然それらを捕食するフィッシュイーターも集まってくる。
つまりエサとなる小魚がよく釣れる場所では近くにそれを捕食しようとするマゴチも潜んでいる可能性が高いのだ。
その他では海底に地形変化のある場所が有望だ。仕掛けをズル引いて、海底が凹んでいるような場所があればとりあえず泳がせてみよう。
また、サーフであれば離岸流が発生しているポイントはその両端に魚が付きやすくなる。そのようなポイントを見つけることができたら必ず探っておきたい。
エサの種類

マゴチは砂泥地に生息するフラットフィッシュと呼ばれる魚だ。
平たい頭の上に並んだ2つの目は上方向を見るのに適しており、海底で砂地にカモフラージュするように身を隠し、上を通る小魚などを捕食する。
海底が砂泥地であれば堤防、河口、サーフのどこでも釣れるが、確率が高いのはサーフと河口だ。



エサとなるのはキス、ハゼ、アジといった小魚たち。特にキスやハゼはマゴチと同じ砂泥地に生息するため、これらの魚が釣れる場所ではマゴチも釣れる。
キスは生息域や活動時期がマゴチと酷似しているため、エサとなるキスを追ってマゴチも接岸してくる。
サーフで釣りをするのなら、チョイ投げ釣りでエサを調達して、そのまま同じ場所でマゴチを狙うというのが手軽で無難だ。
キスの中でも小型のいわゆるピンギスと呼ばれる10㎝前後のものが泳がせのエサとしては丁度良いサイズとなる。

河口で狙うのならエサはハゼが調達しやすい。ハゼは比較的簡単に釣れ、生命力も高いのでマゴチの泳がせ釣りのエサとしてはポピュラーだ。
またルアーでも狙うことができるので、泳がせ釣りの合間にルアーでハゼを釣るというのもおもしろいだろう。
海底が砂地の堤防ならサビキでアジを釣ってエサにするのもよいだろう。
エサの付け方
泳がせ釣りでのエサとなる小魚へのハリの付け方はいくつかあるが、要点となるのは
エサが弱りにくい
エサが外れにくい
エサの動きを妨げない
ということになる。
ハリの付け方によってそれぞれ一長一短あるので、どれがベストだとは言えないが、おかっぱりでマゴチを狙う場合、多少の遠投が必要となってくるため、外れにくさを優先する必要はあるだろう。
ハリは1本のみ使用する場合と孫バリを装着する場合がある。孫バリを装着したほうが、ハリ掛かりは良くなるが、エサが弱りやすくなる、エサの動きを妨げやすくなるなどのデメリットもある。
エサとなる小魚を十分に確保できたときは掛かり優先で2本バリ、数が少ないときにはエサの持ちを優先して1本バリというのがよいかもしれない。
エサの付け方(1本バリ)
鼻掛け

尾骨の間にハリを通す掛け方。身を傷付けないため、エサとなる魚が弱りにくいのが特徴。魚はエラ呼吸のため、呼吸を妨げることもない。エサが小型の場合はハリが外れやすくなる。
目通し

目のフチから反対側にハリを通す方法。鼻掛けよりも身切れしづらいため、エサが小型の場合に有効となる。またエサとなる魚の動きを妨げないため、活発に泳ぎやすい。
背掛け

泳がせ釣りで最もポピュラーなハリの付け方。身切れしづらく、遠投が必要な場合などに有効となる。背ビレ付近の硬い場所に掛けるのがポイント。
頭を襲うターゲットはハリ掛かりしづらいというデメリットがある。
上アゴ掛け

比較的簡単にできる付け方。口の中から上アゴへハリを通す。奥へ掛けた方が外れにくくはなるが、あまり奥に掛けると脳を貫通してエサが死んでしまうため注意が必要。
口掛け

頭にハリを付ける方法としては最もハリ外れしづらいのが特徴。しかし、口を塞いでしまうため、エサが弱りやすくなってしまう。エサを多く確保できているときに有効。
エサの付け方(孫バリ)
背掛け

身切れの心配が少ないため、キャストを必要とする釣り方に向いている。
尾ビレ掛け

前後にハリがあるため、どちらからターゲットが襲ってきてもハリ掛かりしやすい。
腹掛け

マゴチのように下から襲いかかるターゲットに対してハリ掛かりしやすくなるが、内臓を傷つけるためエサが弱りやすい。
チラシ

エサを吸い込むように捕食するターゲットに有効。マゴチの場合は噛み付いてくるので、不向きだと言える。
活きエサを付けるときのチェックポイント
◎素早く付ける
エサが弱らないように素早く作業する。
◎タオルやフィッシュグリップなどを使う
エサをしっかりと固定してハリを付ける。
◎水の中で付ける
温度が上がらずに魚を傷めづらい。
◎魚の目を隠す
目を隠すと魚が暴れづらくなる。
◎エラとお腹を傷つけない
エラや内臓を傷つけるとエサが弱ってしまう。
エサとなる魚を生かしておくためのアイテム

泳がせ釣りではエサとなる魚をいかに元気に生かしておくかが1つのポイントとなる。そのため、エサをキープしておくアイテムにもこだわりたい。
スカリや蓋付きの水汲みバケツがコスト的に安いが、いちいち海中から引き上げる手間が必要となる。
エアポンプを装備したバッカンなどのいわゆるライブウェルがあれば、手元に置いたまま長時間生かしておくことが可能となるが、気温の高い時期はときどき水を入れ替えてやる必要がある。