完全フカセ(のませ)の泳がせ釣りとは、ウキやオモリを使わずアジの遊泳力だけに頼る泳がせ釣りの一種。
思い通りのポイントを狙うには経験が必要だが、どんな釣りよりもエサがナチュラルだから、魚の食い込みが抜群。また、突然のダイレクトなアタリに魅了されること間違いなしだ。
ターゲットは全フィッシュイーター。堤防からなら青物、マダイ、チヌ、ヒラメ、マゴチ、キジハタ。ゲストとして、ダツ、エイ、フグなども食ってくる。
アタリはあるけれどアワセが決まらないときは、アオリイカであることが多い。そんなときはヤエン釣りに切り替えるか、イカ用の掛けバリをセットする。
適した釣り場

外洋に面した潮通しの良い場所が適している。アジが潮に乗り沖まで泳いでいくからだ。またそういう場所に青物などフィッシュイーターはエサを求めに寄ってくる。
アジが泳ぐ泳層をコントロールすることは難しい。基本は中層から上を遊泳しているが、弱った個体は泳ぎを止めてしまったり逆に浮いてくることもある。
だからアジにできるだけストレスを覚えさせないことが大切。このことからも、周りに釣り人が少ない場所を選び、釣る範囲を広く取れる場所を選ぼう。
具体的には、沖に面した波止で、先端付近が理想だが、潮が堤防と平行に走っていれば左右を広く取れる場所に陣取ろう。
仕掛けのワンポイント

ハリを結ぶだけのシンプルな仕掛けだから、ラインとハリの号数さえ合っていれば特に工夫は必要ない。
一番の問題はアジの泳ぎに合わせた仕掛けの操作。
アジが泳いだ分だけラインを出すようにしないと、余分なラインが潮に持っていかれて抵抗となり、アジの泳ぎを邪魔してしまうほか、根掛かりなどにも繋がるし、アタリも分かりにくい。

釣り方

アジをハリにセットしたら、潮目があればその付近に投げ入れる。特に目印になるようなものがなければ、足元の敷石やテトラ、障害物にアジが潜らない程度に投げ入れる。
リールのベイルをオープンにしたままアジの泳ぎに合わせて道糸を出していき、張らず緩めずの状態を維持する。
ある程度アジが泳いだらあまり動かなくなる。そうなるとリールのベイルを倒し、ラインを軽く引っ張ると出るくらいにドラグを緩く設定し、置き竿で待つ。もちろんずっと手持ちでも問題ない。
いきなり食いついてドラグを引き出すこともあるが、まずはアジが暴れ出すアタリが多い。
食われなければ何事もなかったかのように静かになり、食われれば魚が走りドラグからラインが放出される。
すぐにアワせるのではなく、5秒以上待ってアジを飲み込ませてからアワセを入れると失敗しにくい。