ヒラメやマゴチのような扁平な魚体を持つ魚は、俗にフラットフィッシュと呼ばれます。これらは砂泥質の底近くで行動し、主にその付近でムシや小魚、甲殻類などを捕食します。
ヒラメとマゴチは魚をメインベイトとするフィッシュイーターです。それぞれ生態や時期的な傾向は異なりますが、どちらも同じような攻め方で狙って釣ることができます。
ルアー釣りで狙うフラットフィッシュも人気ですが、活きエサを使った泳がせ釣りで回遊待ちもおすすめです。
この釣りの特徴

ターゲットが捕食している魚をエサにするのは効果的で、この釣り方は比較的簡単にできます。
おまけに、アタリがあるまで置き竿にしておけばフラットフィッシュを狙いながらそれとは別に他の釣りも楽しめるという利点があります。
積極的にチャンスを求めてルアーを撃ちながら広くランガンするのもよいですが、特定の場所で竿を出し、巡ってくるチャンスを待つのも有効です。
なんといってもヒラメもマゴチもいわずと知れた高級魚。釣れるのであれば狙わない手はありません。
気軽にトライできる泳がせ釣りは、それらを効率よく釣るのに有効な手段であり、タナボタ的な釣果も大いに期待できる釣りです。
有効なポイント

どちらの魚も船釣りの好ターゲットであることからも分かるように、深場にも生息しています。それが接岸する時期になると堤防からでも狙えます。
フラットフィッシュは砂の中に身を隠して獲物を狙います。だから、それに都合がいい場所に寄りやすいです。

ヒラメは岩礁帯にも多く生息しますが、釣りやすさを考慮すると砂泥底の方が狙い目となります。
これらの魚はサーフで狙うイメージが強いです。しかし、その近くにある漁港の堤防や河口付近の石積みなどからでもよく釣れます。
ポイントとなる場所のキーワードは、「砂泥質」に加え「流れ」、「地形変化」、「ベイト」です。流れは魚の活性を左右するとともに回遊率にも関わります。
地形変化に富んだポイントに魚は溜まりやすく、船道やカケアガリはフラットフィッシュの回遊コースにもなります。ベイトについてはいうまでもありません。
小魚がいるところにフィッシュイーターは着くのです。これらの条件が揃うほど期待してよいでしょう。

サーフでは流れや地形変化、ベイトの居場所を突き止めるのが難しいです。逆に堤防はそれらが分かりやすく、フラットフィッシュが寄る要素にも恵まれているのです。
主なシーズン

ヒラメはサイズを望まなければ通年狙えます。良型の好機は2シーズンあり、産卵で浅場に差してくる春先から夏にかけてと、小型のアジやイワシが大挙して接岸する秋が最盛期です。
一方のマゴチもそれに似ており、産卵期の春〜夏と深場へ下る冬前までがベストシーズンとなります。
ただし、産卵期は地域によって開きがあります。また、ベイトが豊富なエリアは釣り期が長いという傾向が見られます。
時間帯に関しては、どちらの魚も日中でも夜でも食ってきます。特に食いが立つのが朝夕のまづめ。
この時間帯は高活性になり、底付近にいるフラットフィッシュも遊泳力を生かして活発な捕食行動をとります。ときとして、小魚を追って水面を割ることもあります。
必要な道具とエサ

フィッシュイーターを狙うのであれば、本命の動向はさることながら、エサとなる小魚の時期的傾向についても知っておきましょう。
ヒラメ狙いに効果的なエサは10㎝前後のアジやイワシです。ヒラメが岸に寄る時期にこれらが接岸すると大チャンス。秋以降は沿岸部で群れをなすアオリイカの新子などもベイトにします。
一方、ヒラメに比べて遊泳力がやや劣るマゴチの場合、アジとイワシのほかに底付近で生息するキスやハゼも捕食します。いずれにせよフィッシュイーターはベイトとなる魚の動きとリンクしています。
このことは常に意識しておきましょう。

使用する道具はエサを含む仕掛けを振り込むことができるというのが条件です。手持ちならライトなタックルでよいですが、キャストして置き竿にするなら投げ竿がおすすめ。
なお、底付近を入念に探るのが基本で、ウキの使用頻度は少ないです。仕掛けの先端のオモリを着底させてエサを底付近で泳がせるのが一般的。
ただ、このようにすると砂地がメインの場所でも根掛かりすることがあります。
そのため仕掛けとオモリは余分に準備しておいたほうが無難です。

釣り方
ヒラメとマゴチを回遊待ちする方法についてはどちらもあまり変わりません。エサとなる小魚を口掛けもしくは鼻掛けにし、優しく投入してアタリを待ちます。
このときに大切なのがエサを弱らせないことです。特にヒラメは活発に泳ぐ小魚を好むためエサにダメージを与えてはいけません。活きエサの中でもイワシはすぐに弱りやすいです。
魚体を軽く握って迅速にハリを掛け、投入時は仕掛けが着水するときにサミングして衝撃をやわらげましょう。

アタリの出方はヒラメとマゴチでは少々異なります。
鋭い歯を持つヒラメはベイトに噛みついてダメージを与えてから食うことが多いです。ちなみにヒラメ釣りで「ヒラメ40」という言葉がります。
アタリが出てから40秒待ってからアワセを入れよという意味で、食い込むまでそれだけ時間を置く必要があるというわけです。
それに対してマゴチはエサを背後から呑むようにして捕食します。ちなみに、マゴチの口の中は硬い部分が多い。だからこちらも早アワセは禁物で、しっかり食い込んでからアワセを入れます。
本命が近づくと、まずエサが暴れ出します。前アタリとして断続的に軽く引き込まれます。その後、強い引き込みがあります。そこで竿を大きく立ててアワせます。
ただし、魚の活性が高いときは一気に本アタリがくることもあります。だから置き竿にするときは、尻手ロープをつけておくなどしてタックルを持っていかれないようにしておくのがよいでしょう。
誘いは活きエサにまかせ、釣り人はポイントにエサを留めることに努めます。無闇にシャクったりはせず、アタリがなければ投入点を変えたり仕掛けの微調整を行うのが効果的です。
なお、遠投ばかりが吉ではありません。意外と足元で食ってくることもあります。