始めてみよう! イシダイ釣り「イシダイの釣り方(後編)」

小湊透プロフィール

小湊 透
こみなととおる

映画「男はつらいよ」とイシダイ釣りをこよなく愛し、デカバンとの出会いを求めて鹿児島県内各地で竿を出している行動派。さまざまなジャンルの釣りに精通する。

小湊透
足元から水深がある場所で壁を狙う宙釣り。春の乗っ込みシーズンにはアカガイのツケエが威力を発揮する。

イシダイの釣り方と一言で言っても千差万別、細かく言えば釣り人の数だけあります。これはこだわりの釣りなのでしょうがないのです。

でも、これからこの釣りに入門しようとする方にはどうしていいのか訳わからん?

なので仕掛けの置き方の違いで大きく二つに分けて説明します。足元の磯壁を狙い仕掛けが縦(垂直方向)になる「宙釣り」と、海底を狙い仕掛けが横(水平方向)になる「底釣り」です。

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宙釣り

小湊透
身が柔らかいアカガイは仕掛けから外れやすく、確実なフッキングに持ち込むためには十分に送り込んでやることが重要。

足元の磯壁を狙うこの釣りは、春のアカガイをエサにするイシダイの乗っ込み期にはポピュラーな釣り方。足元から素直に切れ落ち、水深があるポイント向きの釣り方です。

基本的な釣り方はエサを付けた仕掛けを潮下方向に投入してフリーフォールさせずにテンションをかけてカーブフォールさせます。

この方が仕掛けの絡みが少なく、エサがゆっくりと落ちていくのでイシダイにアピールできます。

着底(着壁!?)したらラインを巻いて糸フケを取り、ハリスが伸びて竿先からエサまでが真っすぐ直線になるようにします。なお竿先は潮上に向けて構えます。そして、まずはアタリがあるタナを探ります。

そしてアタリがあるタナを見つけたらそのタナを集中攻撃です。そしていわゆる穂先の返ってこない「押さえる」イシダイのアタリを探すのです。

小湊透
穂先に現れるアタリは、イシダイ釣りのベテランであっても本命なのかエサ盗りなのか区別がつけづらい。

ここでイシダイのアタリとしている「押さえるアタリ」はごく一般的なアタリの例です。アタリだけでは判断できない部分もあるので要注意!

例えば、ウツボみたいなアタリで良型の銀ワサだったとか、フグみたいなアタリでクチジロだったとかはよくある話。見えない水中からのシグナルに第六感を働かせ見えないものを見る「心眼」。

よく釣る百戦錬磨のイシダイ野郎たちは、自らの膨大な経験でこの能力がズバ抜けているのです。まさに「ローマは1日にしてうんちゃら……」、イシダイ釣りも上達に近道はなく小さなことの積み重ね。

何の苦労もなく要所だけをかいつまんでデカバンを釣ろうというのはむしが良過ぎる話です。努力はいつしか実を結ぶもの。

しかし現実というのは、たまに神様が片手落ちなことをします。初心者レベルの釣り人に記録的な大物が釣れる、いわゆるビギナーズラックなどがその例。

なので始めたばかりのあなたにもデカバンが釣れる可能性が十分あるのです。これがイシダイ釣りの意外性!

小湊透
アタリが出た場所を集中して狙い、走らせるためのあの手この手を駆使するイシダイ。中でも送り込みは難易度の高いテクニック。

でもあまりにも大物や釣果だけにこだわりすぎると目指しているものを見失います。メンタルがやられるので、ときにはあまり敏感にならずにひたすら気づかないふりをするのもありです。

他人の釣果に振り回されず脇目を振らずに一心不乱にイシダイ釣り道を邁進しましょう!

話が横道にそれました。

アタリがあったタナを繰り返し攻めますが、しばらくして進展がなければタナを深くしたり浅くしたりしてこの「押さえるアタリ」を探していきます。

そしてそれっぽいアタリに遭遇したら、まずは竿を手持ちにしてこのアタリと対峙、送り込みというテクニックを駆使してイシダイにエサを食べていただき、さらにはハリを誤飲してもらうのです。

具体的にはアタリに対して竿先を穂先の曲がりを維持しながら下げていきます。

この送り込みは一般的な解釈では、イシダイが10引くときに10送らずに8~9送るといった、微抵抗を掛けるのが肝とされています。

しかし状況によってはさまざまパターンがありこれは超が付く高等技術。例えばアカガイエサのときはハリとエサのまとわり付き方が弱い(ハリからエサがズレやすい)ので10引いたら10送るなどです。

なんならイシガキ釣りでは10引いたら11送る(先送りする)などもあり難解です。とりあえず最初は失敗を恐れずに竿を手持ちにしてとにかく送ってみましょう。

そしてここで絶対にやってはいけないことが1点、それはアワせること。普通の釣りであればアワせてもいいほどの大胆なアタリがでますが我慢です。

なぜならイシダイの口の構造と捕食の仕方が特徴的だからです。

小湊透
アワセのタイミングに間違いがなければ、しっかりとカンヌキにハリを掛けることができる。

イシダイの口は鳥のクチバシみたいな硬い二枚歯(厳密には4枚歯)なのでこの部分にはハリが掛かりません。

ハリ掛かりするのはかんぬきと呼ばれる頬っぺたの部分か飲まれたときに掛かる口内か食道部分。ここに掛かるのはハリの付いたエサを口にした魚の頭が反転して向こうを向いたときなのです。

このときはドーンと勢いづき、竿を引ったくられます。

この引ったくられるアタリをひたすら待ちましょう。なかなか食い込まない場合は狙うタナを徐々に浅くしていきます。

これはイシダイが反転して走るスペースを確保する目的や、エサへの執着のあるイシダイに、これ以上は上がりたくない警戒ラインギリギリを狙うことで慌てさせ誤飲を誘う目的も。

エサに付いてくる(アタリがある)なら浅くして、アタリがなくなる地点を探り、ギリギリアタリがあるその境目を見つけて集中攻撃。こういったパターンでイシダイを攻略していきます。

なお、この宙釣りのバリエーションとしてはマキエを効果的に活用し、イシダイを浅いタナに食み上がらせる「南方宙釣り」や仕掛けを完全に水中に宙ぶらりんさせ、あえて食い込みにくくして食い込みを促す「宙ぶら釣り」(イシガキ釣りに効果絶大)なる釣り方もあります。

底釣り

小湊透
底釣りはガンガゼなどのツケエを底にはわせる釣り方で、置き竿でアタリを待つスタイルが一般的。

エサの付いた仕掛けを投げて海底にはわす、しょせんブッコミ釣り。じっくりと定点を狙うこの釣りは主に置き竿でのアプローチが得策。

一般的には春以降のウニエサでの釣りで効果を発揮します。この釣りはいかに同一地点を狙うかがカギ。変わりゆく潮の流れ方や波・風を考慮して投入地点をズラしなから同一地点を狙い続けます。

さらには竿を出す方向を考え、仕掛けが一直線になるようにしてアタリが出やすいように配慮。

そして竿先が海面に舞い込むまでひたすら待ちます。アタリが出なくても釣れますが面白さが半減し本当のブッコミ釣りになってしまいます。

なおこの釣りのバリエーションとしては遥か彼方の沖目を狙う遠投釣りがあります。以上、イシダイの釣り方でした。

小湊透
なかなか釣れないイシダイだけに、釣果が上がったときのうれしさは格別。
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