合理的にチヌを狙う釣り方で定評がある「紀州釣り(ウキダゴ釣り)」。ウキを使い、ツケエをダンゴで包んでチヌを釣る手法です。その確かな釣果から根強いファンが多い釣法でもあります。
紀州釣りのシステム
紀州釣りではマキエは使わずダンゴでくるんだツケエのみでチヌと対峙します。
仕掛けを投入して海底にダンゴが到達した後、除々に解けていきます。その煙幕などがマキエとなり魚を寄せ集めます。やがてダンゴが割れ、中からツケエが登場。集まってきたチヌが、さらに美味しそうなツケエに飛びつくというシステムです。
使用するダンゴの役割
紀州釣りで使うダンゴの意味は、ツケエを目的のタナへ無傷で運ぶことと、魚を集めることです。
エサ盗りが多い時期は、集魚力が高すぎるとエサ盗りが集まりすぎてしまいますし、活性が低い時期は集魚力が高くないと本命すら集まってくれなくなります。だから、海の状況を見て、集魚力をその場で調整できるようにしておきます。

ダンゴの作り方
海底までツケエを届けるまでダンゴが割れない硬さが必要になります。硬さの調整は、ダンゴを握る回数で調整します。10回握って落とした際に途中で割れるようなら、15回握ってみるという風にちょうど良い硬さを見つけます。




紀州釣り用の集魚材や、釣具店で配合された市販のダンゴが売られています。自分で作る場合は、チヌ用の集魚材にサナギ粉、アミ、ムギ、砂、カキ殻などを混ぜ合わせて作ります。
同じダンゴを使う釣り方でウキを使わない「カセ釣り(筏釣り)」があり、それ専用のダンゴが売られていますが、これを使うこともできます。ただし、硬さの調整は釣り場に合わせる必要があります。
ダンゴが完成したら、狙うエリア周囲に投げ入れて魚を寄せておきましょう。

ダンゴの作り方は、まず片方の手のひらにダンゴの素を乗せ、その真ん中にハリに付けたツケエを置きます。手を閉じて、ツケエが潰れないように、ダンゴを握って完成です。要領としては、おにぎりを作るように握ることです。
大きさは、ピンポン玉くらいからテニスボール大といったところです。狙う距離や水深によってサイズを調整します。浅い場合は小さく、深い場合は大きくして途中で割れないようにします。
使用するツケエ
基本的にオキアミ生のLかLLサイズで大丈夫ですが、エサ盗りが多い時期は対策が必要です。
夏場に定番となるツケエは「ボケ」と呼ばれる小型のシャコです。他にもサナギやコーンもよく使います。
基本的にいろいろな魚を集める釣りなので、通年エサ盗り対策が必要になります。
オキアミ生やボイル、ボケ、サナギ、コーン、練りエサなどを準備しておきましょう。


紀州釣りのスタンダード仕掛け

フカセ釣り用のタックルと似ており、半遊動仕掛けが一般的ですが、慣れるとウキ止めを付けない全遊動や全層で狙うことも可能です。
使用するウキは、はじめてなら感度の高い棒ウキが状況が分かりやすくアタリも取りやすいのでおすすめです。風や波に強い場合は、環付きの円錐ウキを使用すると釣りやすくなります。
狙い方
タナ取り
チヌは海底付近を回遊するため、まずは海底付近を基本に狙います。このため、比重の大きいダンゴを使い、海底に沈めて狙うという紀州釣りの威力が活かされるわけです。
海底付近を狙うには、まず水深を測らないといけません。そうしないとダンゴが底まで届かなかったり、ダンゴの重さでウキが沈んでしまいます。
タナ取りオモリなどを使ってタナを測り、ウキ止めの位置を調整しましよう。ウキは浮かず沈まずくらいが丁度良いのですが、最初はダンゴが割れたことが分かるように、ウキを少し沈み気味に設定してもよいでしょう。

ダンゴからツケエがピョンと飛び出すとチヌを驚かせる場合もあるので、慣れたらツケエが飛び出さないようにウキ下を調整しましょう。

投入
ダンゴの投入は、マキエヒシャクを使って投げます。
竿を下向きに構え、リールのベイルをオープンにしてラインを指先で押さえておきます。その際、竿先からダンゴまでのラインは、少したるませておいた方が投げやすくなります。

ヒシャクでダンゴを投入したら、それに合わせるように竿を上方に振ってラインを出やすくしてやります。
竿の角度はラインが抜けやすいように、投入方向へ向けてじっと構えておきます。
ダンゴと仕掛けが着水したら、ラインが張らないように糸フケを出してやり、ウキが立ったら、ウキまでのラインに少し遊びを持たせて待ちます。
アタリの取り方
アタリのとり方は二通りあり、少しでもウキが動いたらアワせる「掛けアワセ」と、通常通りウキが沈んでからアワせる方法です。
どちらが良いかはその時々なので、自分で判断するしかありませんが、ツケエによってもアワせるタイミングが変わります。硬いエサや大きいものほど少しタイミングを長くとった方がよいようです。

ダンゴを途中で割ってみる
チヌ釣りの経験がある人には分かるのですが、チヌは底べったりだけで釣れるわけではありません。マキエを撒き続けると浮きやすくなります。そう感じたときは、仕掛け投入後、ラインを張ったままにしておき、ダンゴが着底する前に割ってもよいでしょう。フカセ釣りの延長上という考えも視野に入れてウキダゴ釣りを楽しんでみましょう。
