三密を防ぎ、晩秋にかけて手軽に楽しめる「キスゲーム」が面白い。本格的な投げ釣りのタックルがなくても、ライトゲームとして楽しめる。そしてエサ釣りだけでなく、ルアーのタックル&ワームでも簡単に狙えるのが魅力だ。夜釣りでは、思わぬ大物が食らいついてくることもある。
生態を知る
沖縄や北海道を除く日本全国沿岸の水深30mまでの砂泥底に住み、海底から20cm以内の層を数尾の群れで移動する。早いところでは5月初旬から浅場で釣れはじめ、真冬になり深場へ移動するまで釣れ続く。産卵は5〜9月に浅い砂浜を回遊しながら複数回に分けて行う。6~8月は大物の釣れる確率が高い。

食味は最高
釣りたての新鮮なキスの天ぷらは絶品。くせがなく上品な白身で、料理の応用範囲は広くて刺身や塩焼き、酢や昆布で締めても美味しい。南蛮漬けもイケる。
ワンポイントとして
キスは止まっているエサにはあまり反応を示さないため、仕掛けを常に動かし誘ってやる必要がある。また、投げ釣りの場合、広範囲を探るためにも、できるだけ遠投できるように仕掛けを工夫することだ。海の色が違う部分や、波の形が変わっている場所は、海底に何らかの変化がある部分で、ポイントの目安となる。誘いながら、探りながら釣るのが数を伸ばす秘訣でもある。
釣れるポイント




主に海底が砂地の場所に生息する。港湾の堤防や砂浜、河口からの投げ釣りのほか、沖の深場に潜む大型を船釣りで狙うこともある。
通常は海底から20cm以内を小さな群れで移動している。そして底の起伏や障害物がある場所や潮の合流点など、エサが溜まりやすいポイントに集まって捕食している。
堤防から狙う場合は、船道やカケアガリを中心に、砂地の根周りやヨブ(海底の起伏)を攻めよう。河口も一級ポイントの一つだが、雨が降り淡水が大量に流れ込むと食いが落ちるので注意が必要だ。砂浜からでは海底の変化を視認することは難しいが、仕掛けをサビいて引っ掛かりのある場所がポイントとなる。また、岩礁帯は根掛かりが多いが、大型のキスが集まりやすいポイントでもある。
キス釣りで大切なのは、どの水深(距離)に群れているのかを探しだすこと。しかし、本格的なサーフ仕掛けなら遠く広く探れるが、チョイ投げではたかだか50m以内だ。対策として、同じ場所に毎回投げるのではなく、扇状に探るとよいだろう。アタリがあれば同じ場所にキャストし、なければ場所を少し移動して釣るようにしたい。
チョイ投げ仕掛け
5~10号のオモリが投げられるタックルであれば、竿やリールは問わない。タックルに不安なときは、フルスイングせず軽く投げるように心がけよう。無難なのはオモリの号数を小さくすることだ。オモリを付け替えられるテンビンを使えば、号数を自由に変えることが可能だ。

ルアータックル
ロッド優先で選択し、それに合わせてシンカーの重量を決定しよう。重量=飛距離ではなく、投げやすいバランスで決定すると良い。以上の意味でロッドはあらゆるものが使用可能だ。 メバリングやアジングロッドは軽量仕様で手返しよく近くを狙い、シーバスやエギングロッドは少し重いシンカーを使用した中距離狙いと考えるといいだろう。前者は漁港内など波静かな場所向きで、後者は砂浜や外海狙いに適している。バレットシンカーは固定して使うが、結びコブやウキストッパー、スイベル、スナップなどシンカーが落ちないように止めることができればなんでもよい。
エサ
ムシエサで狙うのが一般的。投げて、底を引きずりながら狙うためエサ持ちが重要で、キスはおちょぼ口のためツケエは細いほうが食いは良い。食い込みはムシエサが一番だが、匂いなどを染みこませたワームでも狙える。
ムシエサ
コケブやアオケブ、チロリ(ギボシイソメ)、ホンムシ(マムシ)などのムシ類が一般的。ハリの大きさに合わせて切って使う。ハリ先は必ず出し、タラシを短めにするとエサだけ取られることが少ない。食いが悪いときは少し大きめに付けよう。釣具店で売られている石粉をエサにまぶせば、滑らずにエサを掴めるようになり、手返しのスピードも上がる。


ワーム
マルキユー・パワーイソメ各種やピュア・フィッシング・ジャパンのガルプ! サンドワームが一般的。サイズは細いほうがアタリは多いが、ハリからズレやすい。中サイズを基本として、小サイズも用意しておくとよいだろう。またカラーは圧倒的にグリーンや赤系が釣果はよい。海底が濁っているときはホワイトやピンクも効果的だ。

エサの付け方
ハリはキス用のハリを使い、ハリ先を少し出して刺す。通常はタラシを短くするが、食いが悪ければ少し長くする。ワームを使用する場合、ハリからエサがズレていると極端に食いが悪くなるので、投入前には必ずチェックしておこう。

狙い方の基本
最初に探すのは砂地の底。いきなり岩礁帯を狙うと根掛かりが多発してやる気を無くしてしまう。この時期、本命のキスのほかにハゼ類やフグ、小ダイ、ベラ、メゴチなど多くの魚種がアタってくるため、忙しい釣りとなり休む間もないほどだ。エサやハリは必ず予備を用意しておこう。
また、遠くへ投げれば釣れるというわけではない。群れを探すことを念頭に、探る感覚で釣ってみよう。潮通しが良い場所などでは、港内に入り込んでいる場合も多い。暑さ・日射対策を万全にして、「キスゲーム」を楽しんでほしい。さらに、釣れたキスでヒラメや青物などを狙えば、ゲーム度合いが増すことは間違いない。チャンスがあればぜひ狙っていただきたい。