時合は短く短時間に集中する
潮や時間、太陽の高さ、曇り具合、波などの条件が重なって魚の食いが立つ状態を時合と呼ぶ。これに遭遇すると入れ食いが続き、釣り人にとっては最高の時間となる。とはいえ、近年はこの時合が短くなりつつある。食いが立ったと思ったらすぐ止まってしまうのだ。海の中も地上と同じく飽食の時代が訪れ、グレはすぐ満腹になるらしい。
警戒心の強い大型はそれ以上に時合は短く、アタリは単発で終わりかねない。その前提に立って釣果を上げようとすれば、いかに集中できるかによる。

といって、一日中集中することはできない。集中力はそんなに長くは続かないのだ。そこで、ある程度予測をつけ、その時間帯に集中するクセをつければよいだろう。その目安が上の表になる。
かつては朝まづめに大きな時合を迎えていたが、最近はその効力を失っている。それよりも、マキエを開始して30分程度の後、その効果が表れ始めた頃が大きなチャンスになる。この時間帯はまだ釣りを始めたばかりで、集中力もたっぷりある。この時合は絶対に逃したくない。
その後は、潮変わりというやはり見逃せないチャンスがある。満潮から干潮、干潮から満潮と流れが変わるときは時間帯に関係なく食いが立つ。このように書くと、一日に3〜4回しか潮変わりはないように思われるかもしれないが、実際に干満とは別のところで潮変わりは存在する。

皆さんは何度も経験していると思うが、干潮・満潮の時間以外にも潮が止まったり、流れが変わったりする。大きな反転流が生まれ、また消滅するからで、これは潮汐表では予測がつかない。結局のところ、一日中釣りを続けていなければならないわけだが、これは海面を観察することである程度カバーできる。
他の釣り人がいればウキの動きを見ていればいいし、ゴミや泡の流れる方向も参考になる。釣りをする手を止めていても、それを見ていれば潮変わりは見当がつく。流れの変化を感じたら即座に竿を出せばいい。
そのほか、水温が上がる時間帯に時合を迎えることもある。この先、水温が下がると、午後になって日光で海水が温められる。そのとき、大型の食いが立つ可能性が高い。注意しないといけないのは、磯がどちらを向いているかだ。冬場に日光が差しやすいのは南向きと決まっている。南向きの磯を選んで上がればよい。

最後の時合が夕まづめになる。午後4〜5時まで釣りをして、それから帰途につくのだから自宅が釣り場に近い人に限られるものの、朝まづめよりはるかにヒット率が高い。
天候や地形(西向きか東向きか)によるが、平均して朝まづめよりは夕まづめの方が時間は長いせいもあるのだろうが、現在は夕まづめ狙いが定着している。
マキエとどこで同調させるか

単に、ウキ下を深くしただけでは、沈む途中で小・中型が食ってしまう。深場で同調させることが大切。
ウキ下を深くして深場を流せば大型がヒットする……世の中がそんなに甘くないことは、グレ釣り師の皆さんは重々承知しているだろう。なぜなら、海の中には大型だけがすんでいるわけではないからだ。エサ盗りもいれば小型のグレも中型のグレもいる。他魚もいる。
その中から大型のグレだけに食ってもらうのだから、生やさしいものではない。
では、どうすれば大型だけにヒットさせることができるだろう?
答えの一つが同調地点にある。

図のように、着水したツケエはゆっくり沈んでいく。ウキ下を6ヒロに設定していても、2ヒロのタナで同調すればそのタナにいる魚が食ってくる。4ヒロで同調すればそこにいる魚がアタる。食わせたい大型が6ヒロにいるとすれば、そこで同調させなければならないのだ。
警戒心の少ない小型ほど浮きやすく、マキエを効かせると上層には小型、中層に中型、そして下層に大型という配置になる。というわけで、2〜4ヒロでは同調させず、6ヒロで同調させるという釣り方が必要になる。

上の図はマキエの投入点を4カ所示している。図A、B、C、Dがそれだが、小魚が多いと深場に沈むまでツケエが持たない。そこで、遠投することになる。Aなら2ヒロ、Bは4ヒロ、Cは6ヒロ、Dは8ヒロのタナまでツケエが届くとしよう。状況によって距離は変わるから、イメージとして捉えていただきたい。
2ヒロでヒットするのだから当然Aは小型、同じ理由でBは中型、C、Dは大型がアタる可能性が高い。
次に考えなければならないのは、浅ダナで同調させないことだ。8ヒロで同調させたいなら、どこに仕掛けを入れればよいかを探らなければならない。
同調地点を探るにはいくつか方法がある。分かりやすいのは、マキエの内容や投入箇所、仕掛けのガン玉のサイズなどを一定に決めて、仕掛けの投入点だけを変えていく方法だ。Dの場合、①、②、③、④という投入点が考えられる。流れの速さによって同調する地点が異なるから、いろいろ試して大型がヒットするところを探るのである。
マキエの内容は特に問わないが、潮が速い場合は重たく、緩いときは軽くするのはいうまでもない。
