ウキには非常に多くの種類がある。初めてウキ釣りをする人にとっては、その違いから覚える必要性がある。
グレ釣りにおいてウキ選びは極めて重要で、中でもウキの浮力は、その日の釣果に直結する。実践例をまじえ浮力の使い分けについて解説したい。
■浮力の選択手段

浮力選択の前に、まずは浮力による狙いやすい範囲を知っておこう。もちろん、表の通りではなく、0号で10m以上の深さを狙ったり、1号で浅場を狙うことも可能だ。
しかし、効率が良い釣りをするためには、無理な釣りを回避し、できるだけ釣りやすい環境を自分で作ることが大切である。
これには、自分の釣り方(ラインの号数、ラインの送り出し方、仕掛け全体の重さなど)をはっきりとさせておかなければならない。
また浮力選定は、好みの問題もあり、その選び方は無数に存在する。ここでは一つの例として、標準的な浮力選びを解説していこう。

■00〜G5浮力

00浮力は仕掛けが馴染むと沈むため、潮になじませる役割が大きい。このため、流れが緩いときには小粒タイプを使用して流れになじみやすくするようセレクトする。
マキエの沈下速度に合わせるため、常に仕掛けの張りに注意しなければならない。道糸を張ったり緩めたりしながら微調整して流す。
0号は風や波で投げることに支障がない限り、近くを釣る場合ほど体積の小さいウキを使い、遠くを釣るときには大きくする。こうすることで見えにくいウキを少しでも見やすくできる。
エサ盗りの少ない冬場などでアタリの小さなときにも使いやすい。
重いオモリを付けられないので、基本は浅ダナ狙いや、アタリが渋い場合、グレがスレている場所などに使用する。
G2やG5浮力はオモリを付加させることができるので、使い勝手の良いアタリ重視のウキといえる。
■B〜3B浮力

Bや2Bは一般にグレのタナが2〜2.5ヒロまでのときや流れの穏やかな場合に使いやすい。やはり手前ほど小粒タイプの体積が小さなウキを使い、遠くを釣るときにはよく飛ぶように自重のあるウキを使用する。
3Bは流れがやや速く、ウキ下が3ヒロ以上のときに使用。潮流のヨレが強くウキが引き込まれるときには、仕掛けに付けるオモリを小さくすると効果的だ。ガン玉は段打ちにした方が仕掛けが安定しやすく、速い潮流にも対応できる。
3Bのガン玉を1個付けるときには、食い込みを優先させるためハリから2ヒロ以上離して付けるとよいだろう。
■5B(0.5号)浮力
5Bは大きく強いサラシの底や、8mくらいまでのタナを狙うときなど。海溝などへ仕掛けを止める場合にも使いやすく、エサ盗りの層を突破する場合に使うこともある。
基本は移動仕掛けでタナを決めて深く探るときに有効な浮力だ。また、ハリからオモリを遠く離すことで食い込みを妨げないようになる。
■1号浮力

1号ウキは最後の手段で手詰まりになると潮目や潮下へ投げ、ツケエが無くなるタナまでウキ下を深く取るときに役立つ。海がシケ気味のとき、ウネリが大きな場合にも重宝する。
また、本流の流芯を流す際にも活躍するので、ウキケースに忍ばせておきたい浮力だ。できれば水中ウキとセットで揃えておきたい。
■実践・半遊動仕掛け例 通常のセレクト
波が穏やかで風もあまりなく、潮流も人が歩く程度であれば、ウキはMサイズの0号〜G5が使いやすく、半遊動仕掛けで狙う。
沖磯で流れが速い場所でも同じように通用するが、G5〜Bを使用した方が、流れに対処しやすい。
ウキを浮かせたまま釣ることで、ウキの変化が見て取れるため、様々なヒントが得られる。ウキに余浮力が設定されているものが使いやすく、G5〜G8のガン玉を打つとシブシブになるくらいが理想だ。
ガン玉が打てるということは、潮流やエサ盗りに対処がしやすいのが利点だ。潮流が速ければガン玉を段打ちし、エサ盗りが多ければ重いガン玉を打ってツケエを速く沈めることもできる。
このように仕掛けに少し手を加えるだけで状況に適応できる仕掛けは、潮の変化が変わりやすくエサ盗りが多い場所では使いやすい。

そして軽い浮力のウキを使用することにより、繊細なグレのアタリもよくつかむことが出来る。
余浮力についてだが、本来は全国各地の塩分濃度に対応するためと、製造過程やウキの素材によるバラツキによって起こるため、購入したウキが実際にどの程度の余浮力を持っているか自分で確認しなければならない。
しかし、近年では開発が進み、ジャスト浮力と言って良いほどウキの浮力管理がされている。このため余浮力ではなく「与浮力」と表現される商品もある。
しかし前述のように釣りのフィールド全てが同じ塩分濃度ではないため、沖磯と河口域ではウキの浮き方が違ってくる。とくに0号や00号などを使用する場合は注意だ。

■実践・半遊動仕掛け例 風が強いときの対策

風が強い日は、ラインメンディングをしっかりとやらなければ、仕掛けは潮流と同じように流れない。対策としてウキを沈めることで、ウキ付近のラインも沈むため、風の影響を受けにくくすることができる。
通常の0号〜G5浮力のウキを使用した仕掛けに、ガン玉で対応することも可能だが、より確かなものにするためには、ウキの号数を落とした方が無難だ。
このときの号数選択は、00号やマイナス浮力のウキを使う。こうすることでラインの影響を軽減するだけではなく、ウキを沈めることで風に影響されている上潮を突破して、本当の流れに乗せやすくなる。
もちろん、ウキが沈んでしまえばアタリを目視することは不可能となるので、この場合はラインで見るか竿先で感じるようにする。
ラインで感じ取る場合、張ってしまうと仕掛け全体が浮き上がり、風の影響を同じように受けてしまう。
穂先を海面下に10㎝ほど入れ、海上にラインが出ないように水中で糸フケを作り、仕掛けが流れる速度に合わせてラインが張りすぎないように注意しておく。
これでも対応できないような強風の場合、特に仕掛けが入って行かないようなときや、ウキ止めがウキから離れるような場合は、仕掛けの安定を優先するため、3B以上のウキが使いやすくなる。
対処する順序は…
- 潮流に乗せる。
- マキエとの同調。
- 仕掛けの安定。
以上の順序で行うとよいだろう。もちろん、状況に合わせて順序を入れ替えて対応することだ。

■実践・半遊動仕掛け例 潮が速い場所での選択
主に沖に面した磯場で、本流が走るような釣り場の場合、流す釣りがメインとなる。潮流が速く複雑な潮の流れの中では、ライン操作で角度をつけて流すことは難しい。
手っ取り早く、オモリを使って対処する方が無難だ。これを考慮してB以上のウキを使い、ウキのサイズも視認性を考慮してMかLサイズを使用する。

仕掛けの張りによるタナの調整や角度調整ができないため、ほとんどが流れに任せたタナを決めた釣りとなる。
このため、ガン玉などオモリをセットする位置が重要で、流れの速さや狙うタナの深さで位置を微調整しながら釣る必要がある。
もう一つの方法として、ウキごと沈めながら流れに乗せることも有効だ。
マイナス浮力のウキを使うことも手だが、ここも手っ取り早くウキ止めをウキ付近まで下ろして固定状態にし、水中ウキの役割をさせながら流してゆく。
このとき、オモリはウキの直下にウキの浮力よりも重いオモリを打ち、ウキを沈ませて潮の中を探る。ハリスにはオモリを打たず、完全フカセで狙うといいだろう。
こうすることで道糸によるタナの微調整や、流れるスピードの調整ができるので、仕掛けが張りダイレクトにアタリが取れるようになる。
これに対処できないほど流れが速い場合は、思い切って1号ほどのウキを使ってみてもいいだろう。ガン玉の代わりに水中ウキを使っても効果的だ。
流れが速い中をグレが悠々と泳いでいるわけではなく、エサを発見して食いに来ていることが多い。マキエとの同調も大切だが、ツケエの安定と仕掛けが速く流れすぎないことで奏功する。

■実践・全遊動仕掛け例 遠投で狙う場合
全遊動釣法で狙う場合、大きなガン玉を付ければそれだけ仕掛けの沈降速度を速めるため、あまり好ましくないが、遠投する場合はこの限りではない。
その理由は、遠投した場合、道糸と海面の接点が多くなるため、仕掛けが入りにくくなる。これをガン玉などで調整するため、少し重めの号数を使用するとよいだろう。
使用している道糸の号数にもよるが、1.5〜2号の道糸なら、B浮力のウキであればかなりの遠投でも仕掛けが落ちてくれる。

しかし、これに風や速い潮流が加わってしまうと、もっと高い浮力のウキが使いやすくなる。この仕掛けの落ちを確実に確認するためには、高視認性の目印などを利用してチェックする。
重い浮力のウキを使用したくない場合は、できるだけ道糸を浮かせるように、竿を立てて流すとよい。風があるとやりづらいが、慣れると全遊動釣法で自在なタナ設定ができるようになる。
まずは近くを探る際に練習しておこう。また、ガン玉を打つ位置や数でも仕掛けの沈み方が変わってくるので、1点打ち、段打ちを使い分けよう。
