0号のウキが得意な状況があれば1号ウキのほうが使いやすい場合もある。どんなときでも0号、あるいは1号で釣ろうとすれば無理が生じる。
それぞれが得意な条件、得意ではない条件を紹介し、使い方を解説してみよう。
ウキの前にオモリの主な役割を覚えよう

最初にいっておこう。0号ウキを使うときは、原則としてオモリは使用しない。
原則としてと前置きしたのは、小さなガン玉を打って半ば強制的に沈めていく釣り方があるからだが、それに触れるとややこしくなる。ここではノーガン(NOガン玉)で通す。
対して、1号ウキを用いる場合は、これも「原則として」1号のオモリを使う。
ウキを沈め気味にしたいとき、浮かせ気味にしたいとき、または沈めたいときは、オモリを追加したり少なくすることもある。が、これも煩雑になるばかりだから、すべて1号オモリで通す。
つまり、0号ウキの釣りはオモリを使わないやり方であり、1号ウキはオモリを使用する釣りなのである。
というわけで、フカセ釣りの場合のオモリの役割から話を進めることにする。

ところで、皆さんは、オモリの役目は何だと思うだろうか?
「仕掛けを沈めるため…」
そう、それが一番の機能である。ただし、厳密にいうと仕掛けではない。ツケエである。ほかには?
「ウキの浮力を調節するため…」
残念。その考え方は逆だ。
カン違いしている人が多いのだが、最初にウキを決めて、それに従ってオモリが決まるのではない。
まずオモリが決まり、それに伴ってウキが決まるのである。だから、オモリを使いたくないから0号のウキを選ぶのだし、ツケエを速く深く沈めたいから1号のオモリを選ぶのだ。ウキは、あくまでも、
オモリに付随するものにすぎない。
話を戻そう。オモリの役目の2番目は、仕掛けを張りやすくすることにある。
3番目にハリスの角度を調整するというのがあるのだが、これはかなり高等技術になる。ここでは触れないでおく。
11世紀の中国の学者が、釣りに六物ありといっている。六つとは竿、糸、ハリ、ウキ、エサ、それにオモリである。古の頃からオモリは必要なものだったのだ。
オモリを使わない仕掛けは食い込みがよく、マキエと同調させやすい

その、古来から必要とされていたオモリを使わなくなったのはなぜだろう?
理由は次の2つである。
①魚が食い込んだときの抵抗が小さい。
②マキエ&ツケエを同調させやすい。
2つを比べたとき、重要度や効果からいえば②の方が高いのだが、ビギナーの皆さんは往々にして①を優先する。抵抗が小さい=食い込みがよくなるというのは分かりやすいし、「釣れる・釣れない」に直接関わってくるような気になるからだろう。
それに比べて、②は海の中をイメージするという高度な技術が必要で、ビギナーにとっては分かりにくい。
以下、この2つをもう少し詳しく解説してみる。
オモリがないと食い込んだときの抵抗が小さい

魚がツケエを食べると、同時にハリ、ハリスの抵抗がかかる。しかし、どちらも非常に小さく、問題にはならない。ハリが光るとか、ハリスがちぢれて白く光るなどの視覚的な問題は、ここでは無視する。
次の段階として、オモリがあるとこれの抵抗が加わる。最後にウキの抵抗がプラスされる。
魚に一気に食い込むほどの活性がないとき、オモリとウキの抵抗がかかった時点でエサを離す可能性がある。
だから、魚が嫌う要素を一つでも取り除きたい=オモリを使わないという現実に至ったことは簡単に想像できる。
では、オモリがあれば魚は必ずエサを離すのか? 答えはノーである。
船釣りで深場を釣るとき、流れが速いと50号とか80号など、フカセ釣りでは考えられないほど重いオモリを使用する。それでも魚は釣れるのだ。
「船釣りだから魚は気にしない」などと言ってはいけない。船釣りをしている、フカセ釣りをしているというのは、魚は知らないのだから。
オモリがあっても魚が気にしないのは、抵抗が変わらないところにある。

上の図を見てほしい。張れている仕掛けと張れていない仕掛けを掲載している。
右の図が張れていない仕掛けで、魚がツケエをくわえたときはまったく抵抗がかからない。
だが、くわえて反転、または横に移動するとオモリの抵抗がかかる。活性が低い魚はその時点でエサを離すことが多い。
対して、左側の張れている仕掛けは、魚がエサをくわえた時点でオモリの重量を感じている。魚は、それがエサそのものの重さ、あるいは抵抗と感じるのか、気にはしない。そして、そのまま食い込む。
仕掛けを張る大切さは、魚の食い込みを促進することにもつながるのである。
オモリがなければマキエとツケエの同調が簡単

続いて、マキエ&ツケエの同調を見てみよう。
フカセ釣りのビギナーにとって、マキエは非常に面倒だし、分かりにくい存在だ。投げ釣りやサビキ釣り、ミャク釣りでは縁がない代物なのだ。
それもあって、最初は、仕掛けを投入したらその上からマキエを被せろと先輩(あるいは指導書)から教えられる。
この方法は大変効果があり、中級者の中にも常用する人は多い。上級者でも状況によってはこうする。しかし、限界はある。
そもそも、マキエはゆっくり沈むのに、ツケエは速く沈む。さらに、ツケエにはハリやハリス、ウキ、オモリなどの付属物がある。だからマキエと同じようには流れない。
それを計算して、自分が想定したヒットポイントできっちり合わせるのが上級者なのだが、ビギナーには無理な話である。
それを、ツケエの落ち込みに限定はするものの、たやすくやってくれるのがノーガン仕掛けなのだ。
オモリがないから、ツケエはマキエとほとんど変わらない速度でゆっくり沈む。マキエは先打ちでも後打ちでもいい。
ほとんど同時に投入すれば、マキエもツケエも同調した状態で沈んでゆく。面倒な計算は必要ない。
ノーガン仕掛けはマキエと同調した状態でタナを探りつつ沈んでいく
オモリを使わない理由の2番目である「マキエ&ツケエが同調させやすい」というのに関連して、実はノーガンのメリットにはもう1つある。
それが、「タナを広く探ることができる」という大きな特徴なのだが、それを説明する前にいっておきたいことがある。
半遊動仕掛けと移動仕掛けの違い

ここで皆さんに質問をしよう。
半遊動仕掛けと移動仕掛けの違いは何だろうか? 移動仕掛けのオモリは大きく、半遊動仕掛けは小さいと思ってはいないだろうか?
結果的に、現実はそうなっている。それならば、何号、あるいは何Bがそのボーダーラインなのだろう?
実際にはそのような境界は存在しない。なぜなら、移動と半遊動の違いは、「どのタナを釣ろうとしているか」という釣り人の意識の問題だからなのだ。
分かりにくい表現になって申し訳ない。上の図を見ていただくと、もう少し分かりやすくなるだろう。
まずは左側の移動仕掛けだ。
オモリは、所定のタナに達するまで速く沈む。ツケエは遅れて沈んできて、オモリが止まるとそこからゆっくり沈み始める。
つまり、ここから臨戦態勢に入っていることになる。釣り人が釣りたいのはこのタナだと言い換えてもいい。

一方、半遊動仕掛けは、ツケエが着水した時点から臨戦態勢に入っている。ルアー用語でいうプレゼンテーションを、早くも魚に対して施しているのである。
このとき、同じオモリを使っていても、道糸の送り方でツケエが沈むスピードが変わることを忘れてはならない。
オモリの大きさが基準ではないことがお分かりいただけたと思う。確かに、1号だと速く沈む。Bはそれよりもずっと遅い。
しかし、流れが速く、風が強い状態ではどうだろう?
少々重いオモリを使っていても、仕掛けが沈む速度はゆっくりしたものになる。2Bや3Bのガン玉ではまったく沈まない場合もある。
着水直後からツケエを魚にアピールするために、5Bや0・8号のオモリを使う必要がある場合も、ときにはあることを知っておいてほしい。
ノーガン仕掛けはタナを探りながらゆっくり沈む

ここで、オモリを使わないノーガン仕掛けに登場してもらう。改めて説明するまでもないだろう。この仕掛けは、ツケエが着水した時点から臨戦態勢に入っている。その点では、半遊動と同じである。
ただし、マキエとツケエの同調という視点で見ると、半遊動よりもはるかに「臨戦」の度合いは優れている。
前述したように、オモリを使う半遊動仕掛けはマキエよりも速く沈む。そのため、1杯のマキエでは、後打ちで1回、先打ちでも2回しか同調しない。
しかし、ノーガン仕掛けなら、同調した状態は長時間続く。それも、上から下までタナを探りつつ、である。

この「タナを探りつつ沈む」というのが、0号ウキを用いたノーガン仕掛けの最大の特徴といってよい。
タナを探りつつというのは、その間、同調が続いているわけであり、半遊動とはその点においてはっきりした違いがある。
ただし、「タナを探りつつ沈む」という言葉には、もう一つの意味が隠れている。
「沈む」のであって、「流れる」のではないのだ。
従来からあった半遊動仕掛け、移動仕掛けは、潮に乗せて流しながら横方向を探る釣り方だった。
半遊動は着水した時点から臨戦態勢に入ってはいるが、同調という点ではノーガン仕掛けと比較できるものではない。
対して、ノーガン仕掛けは落ち込みを釣るものである。多くの魚は沈んでくる物体に興味を引かれ、それがマキエと同じエサならすぐに飛びついてくる。その習性をうまく利用している。
沈む途中で潮に流されて横方向に移動したとしても、それは「流して探った」のではない。「落ち込み」の途中で流された結果である。