釣りをする上で大切なこと「魚の基礎知識と名称」

魚は脊椎動物の中でも最も古く、生物学上では人間の遠い先祖にあたる生き物です。最古の魚は約5億5000万〜5億年前、地球上のほぼ全てが海洋で覆い尽くされたカンブリア紀と呼ばれる時代に登場したとされています。基本的に一生を水中(または水環境圏)で過ごしエラ呼吸を行い、ヒレで泳いで移動します。硬いウロコを持つのも特徴。水のある場所なら地球上のほとんどの場所に分布し、北極の氷の下や水深8000mの海底、砂漠の水たまりにもすんでいます。

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謎の多い生物

チヌ

世界には淡水魚、海水魚を合わせて約27000種が生息していると言われています。このうち日本周辺には4000種ほど。

60%が海、残り40%が汽水や淡水の魚ですが、地球全体における淡水域の割合はわずか2%であり、ここに40%が集中していることになります。これはつまり、海の魚がいかに解明されていないかということに他なりません。ほ乳類や鳥類などに比べ、新種の発見が非常に多いのも魚類の特徴です。

身近な例では「メバル」が記憶に新しいですね。従来1種として分類されていたメバルが、遺伝子の解析やヒレの軟条数によって、2008年にアカメバル、クロメバル、シロメバルの3種に分けられたのです。また、ウナギのように、川を下り、わざわざ2000も離れたマリアナ諸島周辺で産卵をする魚もいます。それもまだ完全には解明されていません。

魚の視力

魚の視力を人間で換算すると0.1〜0.3程度と考えられています。カツオやマグロなど、外洋を回遊する大型魚は眼がよいですが、それでも0.5程。いわゆる近視とされています。しかし、魚の視野は広く、動体視力に優れています。さらに匂いや水の動きを感じ取るセンサー機能が発達しており、それらが視力不足をカバーしているのです。

形のいろいろと遊泳速度

魚は主に4つの体型に分けられます。そのうち一番多い形はマグロやスズキなどに代表される紡錘型(ぼうすいけい)です。この形は水の抵抗が少ないので、泳ぐスピードが速いです。

これをさらに押しつぶしたような魚が、マダイやカサゴなどの側偏型(そくへんけい)の魚です。紡錘形まではいかないですが、泳ぐスピードはそこそこ速い部類に入ります。

カレイやヒラメ、エイなどは縦偏型(じゅうへんけい)に分類されます。見た目通りあまり泳ぎは得意ではなく、海底に着きやすい形です。ナマズやアンコウなどもここに分類されます。

ウナギやアナゴなど細長い魚は延長型(えんちょうけい)と呼ばれています。見た目は泳ぎが得意そうではないですが、ヘビのように体をくねらせて意外と素早く泳ぎます。タチウオは延長型と側偏型のちょうど中間になるでしょう。

フグ

以上4種に分類できない魚もいます。例えば丸くずんぐりした形のフグ類などで、円型に分類されます。水の抵抗が大きく泳ぐのに不便な円型の魚は、外敵に襲われるのを防ぐために体内に毒を蓄積したり、ハリセンボンのように武器を装備したと考えられています。

魚の体

魚名称

魚には通常、背ビレ、胸ビレ、腹ビレ、尻ビレ、尾ビレの5つのヒレがあります。その形状は魚種によってさまざまで、一見ヒレがないように見えるウナギやアナゴなどは、背ビレから尻ビレ、尾ビレまでつながって一体化しています。また、同じ種類の魚でもヒレにあるトゲの数などによって、他の魚と区別されています。

棘条と軟条

魚のヒレは泳いだり姿勢を制御する役目を持ちます。ヒレは普通、柔らかい鰭膜(きまく)でできていますが、それを支える役割になっているのが棘条(ちょくじょう)と軟条(なんじょう)です。硬く尖って骨質なのが棘条。軟条は分節があって軟らかいものを指します。

背ビレ

二つ背ビレを持つ魚もいれば、1つしか持たない魚もいます。一つしか持たない魚の場合、単に「背ビレ」、2つ背ビレを持つ魚の場合は魚の前部から順に第1、第2背ビレと呼びます。サケ科の仲間のように、脂(あぶら)ビレと呼ばれ、棘軟条を持たないヒレを持つ魚もいます。

鼻孔

人間でいう鼻の穴ですが、魚の場合は呼吸するためには使われず、匂いを感じる器官です。遠くからでもマキエの匂いをかぎつけて寄ってくるのはこの器官があるからです。

エラ蓋

人間でいえば肺の役目を担う呼吸器官です。魚種によって機能に少しずつ違いがあり、たとえばイワシやアユなどのプランクトンを主食とする魚の場合、水の中からプランクトンを濾し取る機能が発達しています。また、海水魚は塩分を放出し、淡水魚は塩分を取り入れ、体内の浸透圧を一定に維持する機能も持ちます。

ウロコ

魚類のウロコには、外敵や衝撃から身を守る機能の他に、乾燥を防いだり、カルシウムを貯蔵する役目などがあります。

ウナギやアナゴなどはウロコがないように見えますが実は皮膚の下に埋もれています。これらの魚はヌルヌルした粘膜がウロコの代わりの機能を担っています。

ウロコを拡大して見ると木の年輪のような模様が見られ、これを数えることで魚の年齢が分かるのです。

側線

体側のウロコの中に、エラブタから尾の付け根まで1本の線が通っているように見えるのが側線です。側線は魚にとって大事な感覚器官です。

何万尾という魚の群れがぶつかり合うことなく、一斉に方向を変える姿を、水族館や映像で見たことがあると思います。なぜ魚はぶつかり合わずに泳ぐことができるのでしょうか。その秘密は側線にあります。側線が触覚と聴覚の働きを持っており、わずかな水の動きや音を感じ取ることで、周囲の変化を瞬時にとらえ、他の魚の動きに同調するのです。エサやルアーの動きを察知するのもこの側線が大きな役割を担います。通常、魚は両体側に各1本ずつの側線を持ちますが、アイナメなどは両体側に各5本ずつあります。

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