チヌとの知恵比べ。マキエなしの河川VS一級河川はマキエあり

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河口では、マキエをしなくてもチヌは向こうからやって来る

キビレチヌ
河口でのチヌ狙いも格別な趣がある。

マキエして魚を寄せ、そこに足止めさせてツケエを食わせる。通常、チヌ釣りはそういう考え方をする。しかし、河口ではその考え方を少し変えなければならない。

何しろ、釣りができる時間がそれほどないのだ。ある程度潮位が高くなって、それから下げ潮が本格的に流れ始めるまでの時間というものは、一般的には4時間前後と思ってよい。5時間も取れれば長い方だろう。

根気よくマキエで寄せるほどの余裕はない

フィールドを見極めることが大切なのだ。

その代わり、チヌの方から近づいてきてくれる。寄せて食わせるのではなくて、やって来るのを待って食わせるのだ。待ち伏せすると言い換えてもよいだろう。

そういう意味からすれば、マキエは必要ないかもしれない。自然のエサを求めて魚の方から近づいてくるのだから。

実際にマキエを使わない釣り場がある。そこは川幅がそれほど広くなく、潮が引けば干潟が露出する。したがって、流心も狭い。

そんなところでも魚影は濃く、潮が満ち始めるとチヌは早々に川を上り始める。面白いことに、そんなところは最干潮から上げ三分の間によく釣れる。つまり、この潮時でチヌは川を上っていくのだが、もちろんまだ潮位は低い。流心も狭い。だからチヌの居場所は限られる。そのため、「誰もマキエなんか使いません。ムシエサ付けて流すだけです」という釣り人もいる。

また、一級河川の場合、潮が下げ始めると河口にある大堰が閉じる。その結果、下げ潮は上げ潮よりも流れが緩くなる。つまり、上げ潮の方が速くなるのだ。上げ潮は遅く、下げ潮は速いというのはあくまでも原則であり、そうでないケースも多いことを忘れてはならない。

マキエをこぼしたら、必ず清掃しよう。釣りにはマナーも大切だ。

それに比べて、規模の大きい河口ではやはりマキエは欠かせない。河口では、確かに待っていればチヌの方からやって来る。それでもマキエは必要だと思うときがある。自分が釣りやすいエリアに足止めするという目的だからだ。

ちなみに、名人がよく竿を出すところは足下が浅いため、10〜15m沖にマキエを効かせ、そこを繰り返し攻めるそうである。

潮位が高くなると魚は広く拡散することが分かっている。回遊ルートはある程度決まっているのだろうが、チヌはエサを求めて浅場から深場まで広く散る。それをまとめて攻めやすくするのがマキエの役目ということになる。

流れの中で沈めるのだから、当然、マキエの比重は大きくする。

マキエの量はそれほど多くは必要ない。釣る時間が短いのと、エサ盗りが少ないからだ。各釣り場によって違いはあるだろうが、河口でジャマになるエサ盗りはフグ、小アジがメインと思ってよい。アジが上がってくるのは満潮前後だけだし、フグを交わすのはそれほど難しくはない。

速い流れと二枚潮を攻略するには、重たい仕掛けと全層沈めがおすすめ

「さぁチヌを釣ろう!」と思っても、どのウキを使えばいいか迷うことも。使用する仕掛けに合わせてウキを選ぼう。

河口でチヌ釣りをするときに知っておきたいさまざまな条件を挙げてきた。それを踏まえて、ここでは実際にどんな釣り方をすればいいかを紹介しておこう。

とはいっても、上げ始めを釣る場合、問題はほとんどない。ムシエサを付けてウキ下30cmで流すだけなのだ。流心が狭いから仕掛けを流す範囲も限定されている。マキエも使わない。したがって、ここではある程度の水深があり、流れもそこそこに速いケースでの攻略法を解説してみよう。

半遊動では仕掛けを重たくする

全てがマッチすれば大物も夢じゃない!

水深があって流れが速いという2つの条件を見る限り、磯や堤防の急潮を釣る場合と同じではないかという声が上がるかもしれない。だが、大まかなところでは似ているものの、小さな相違点がある。

チヌを釣るとき、磯・堤防では主にワイやヨレ、潮溜まり(速い潮が緩むところ)を攻める。チヌは流れが緩いところを好むという原則に従ってのことだ。しかし、河口ではそのような潮の変化は少ない。大半の場合、速い流れを釣らなければならない。正攻法というべきか、とにかく正面から向き合わなければならない。

したがって、原則として仕掛けは重くする。

「流れが速いときは5Bですね。そして、ハリスを這わせます」。これがウキを浮かせて釣る名人の標準的な攻め方だ。

ウキからオモリ(または水中ウキ)までをほぼタテ糸にしてタナを確保し、ハリスはフカせる。そして、ツケエが浮き上がらないようにウキ下を水深より深く取り、ハリスを底に這わせる。得てして河口は障害物が少なく、底を這わせても根掛かりすることは少ない。流れが速ければ、強制的にツケエを底に落ち着かせるためにガン玉を使ってもいいだろう。チヌが浮いていると感じれば、ガン玉を外したり上にずらしたりしてもよい。

マキエは原則として底に効かせる。前述したように、釣りやすいところに溜めてチヌを寄せ、そこで食わせるためだ。先に仕掛けを投入し、その上からマキエを被せるというやり方はしない。

その意味では、釣り始める前にマキエを野球のボール大にして、溜めたいところへ5、6個放り込んでおくという手も使える。

マキエは流れを読み、正確なポイントに投げる必要がある。

また、仕掛けの打ち返しとマキエの投入はリズムを伴ったものであり、それを崩すとマキエ打ちがおろそかになりがちだ。対策としては仕掛け投入、次いでマキエ投入というパターン(逆でも構わない)がいいのだろうが、このとき仕掛けの投入点をしっかり考えておく必要がある。

マキエが溜まっているエリアを流れるとき、仕掛けはすでに馴染んでおり、ツケエは底を這っていなければならないのである。もちろん、チヌがたまたま浮いていれば、ツケエは中層を流れていても食ってくる可能性はある。しかし、マキエを底に効かせている以上、しっかりと底を攻めた方が釣果につながる可能性は高い。

そのためには、仕掛けが馴染む時間を計算して、潮上何mに投入すればいいかを考えなくてはならない。流れが速ければかなり潮上に投入する場合もあるだろう。

釣り始める前にマキエをダンゴにして投入することは、ダゴチン釣りでは珍しくない。河口に限らず、流れがあって潮が速いときは有効な方法で、慣れた釣り場ならマキエの全体量の半分を最初に撒いておいても構わない。

全層沈めで二枚潮を攻略する

河口でも浮力000を沈めて使う場合もある。川の流れを見極めて仕掛けを変えていこう!

河口という釣り場は潮の影響を大きく受けることを説明したとき、二枚潮になりやすいと記述したのを覚えているだろうか?

その対策として、初・中級者の皆さんはぜひ「全層沈め」を試してほしい。全層沈めとは全層レッツやKUZILLA(クジラ)などの水平ウキを沈める釣り方を指す。その釣法を得意とするA名手はこんなことを語ってくれた。

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「初めて行った河口だったんですが、私は左側から竿を出していて、そのとき右側にも釣り人がいました。ところが、その右側の人の仕掛けは左に流れているのです。上層を流れる川の水に乗っているんですね。だけど、全層沈めの私の仕掛けは右に流れていました。だもので、2人はお互いに向かい合う格好で仕掛けを流していました」。

結果はいうまでもないだろう。底潮に乗せて釣っていたA名手にはチヌがアタったものの、右側の釣り人には何も釣れなかった。

半遊動仕掛けでも、水中ウキを使えば二枚潮対策は可能なのではないかと尋ねると、「もちろん、可能ですが、アタリウキよりも大きな水中ウキを使わないと効果は期待できませんよ」。

それはそうだろう。アタリウキの方が大きければ結局は上潮に乗ってしまう。底潮に乗せたければ水中ウキの方を大きくしないと意味はない。どうしてもウキを浮かせて釣りたい人はそうすればいいだろう。しかし、「全層沈めのメリットはそれだけではないんです」と前置きして、A名手は次のように続けた。

二枚潮になりやすいのは上げ始めで、上げ潮が本格化するとそれは解消され、上層、下層とも上流に向かうようになる。このとき、釣りやすくなったと安心してはいけない。実は、また新たな問題が生じているのだ。

流れというものは、大半の場合、上層が速く、下層はそれに比べて遅い。河口も例外ではない。すると、速い上潮にラインが乗って先行し、ウキから下は遅れてやって来る。つまり、ラインがウキを引っ張る形になる。

すると、半遊動ではタナを確保することが難しくなる。通常の全層釣法でも同様だ。しかし、全層沈めなら、足場が高いと難しいが、ラインをすべて沈めてしまうことができる。つまり、速い上潮の影響を最小限に抑えることが可能なのである。

どちらの釣り方を選ぶにしろ、いよいよ秋の釣りシーズンは開幕する。健闘を祈る!

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