2〜5月のチヌ釣りシーズン。ビギナーが引っかかりやすい落とし穴を紹介していきます。
前回は「ウキ下があっていない」「ツケエがあっていない」「マキエがあっていない」というテーマでした。
まだ前回を読んでいない方はぜひ下のリンクから確認してみましょう。
仕掛けが合っていない
ここでいう仕掛けは2通りあります。仕掛けを構成するハリスやハリ、ガン玉、ウキ、道糸を指すのが1つ。もう1つは半遊動、移動、全遊動という意味です。
以下、それぞれの項目に分けて説明しましょう。
ハリス

チヌは目がよいから太いハリスでは食いが悪いとされている。しかし、イシダイ釣りのワイヤー仕掛けに食った例や、投げ釣りの太ハリスで釣れた実績もあります。
もちろん、フカセ釣りとは違い底に這わせた仕掛けでの釣果ですが、このことからも、ハリスが太くても条件によっては食うと思ってよいでしょう。
しかし、ハリスが太いと食わない原因はあります。太いがゆえにツケエの動きが不自然になったり、ハリスが光に反射してしまうことが考えられます。単純に太いから食わないというワケではありません。
チヌの自己記録を目指すのであれば、安易にハリスを細くしないほうが無難です。
特にビギナーは魚とのやり取りに慣れていないから、細ハリスでは不安があります。安心してやり取りができるようにしておきましょう。
ハリ
チヌの食いにハリが影響するとすれば、その重量が問題になります。大きくて太く、重たいとツケエが早く沈みます。
チヌの活性が高いと目立つ動きをするエサに興味をいだきますが、活性が低い場合は違和感を持ちます。そのせいかどうかはともかく、ハリは細軸を愛用する人が多いです。
もっとも、底で食わせるのならハリの重量はほとんど影響しません。次に取り上げるガン玉と同様、ツケエを安定させる役目も担っているのですから、積極的に太軸のハリを使ってみましょう。
ガン玉
チヌは泳ぐのが得意ではありません。そのため、流れの中で漂うエサを追うのは苦手としています。したがって、ツケエを安定させるためのガン玉が不可欠になります。
一方で、チヌは繊細だから、ツケエは極力自然に見せるべきだという古くからの考え方はいまだに根強く残っています(今でも通用するケースはあるのだが)。その結果、細ハリス、小バリ、ノーガンで臨む釣り人も少なくありません。
もちろん、状況による使い分けが必要なのはいうまでもありません。しかしまずは基本としてツケエを安定させる釣り方を学んだ方が賢明でしょう。
ウキ

繰り返しになりますが、チヌは警戒心が異常に強いと信じられていた時代がありました。
その考え方は波静かな湾内でチヌ釣りをする人の中には今でも色濃く残っており、それにともなって小さいアタリを取るには感度のよいウキが欠かせないと考えている人が多いです。
食い渋ったときに小さいアタリを取るのに棒ウキは確かに効果があります。視認性も高いです。ですが、弱点もあります。波が出ると沈んでしまうし、誘いを掛けるたびに倒れるから、アタリを見逃す可能性があります。仕掛けが絡みやすく、操作性も劣ります。
棒ウキを常用している皆さん、一度中通しウキを試してみてください。逆に、中通しウキしか使わない人も、棒ウキを使って長所を知り、状況により使い分けるのもよいでしょう。
半遊動と沈め釣り
グレ釣りの世界では広い範囲に普及した沈め釣りが、チヌ釣りでも徐々に広がりつつあります。
タナを探ることができるのはクロ釣りと同じメリットですが、エサの落ち込みに興味を引くチヌに対して強くアピールできるというメリットもあります。
反面、デメリットもあります。沈み瀬や藻の際を流したいと思っても、仕掛けの位置が分からないため根掛かりしやすいのです。当然ながら、エサ盗りの小さいアタリやチヌの前アタリも取りづらいです。
状況に応じて半遊動と沈め釣りを使い分けた方が賢明といえます。
ポイントが間違っている

2月後半から4月前半にかけては、年間で最も水温が下がる時期に当たります。九州でも15度を割ることは珍しくなく、いくらマキエを投入しても小魚1尾見えないことが往々にしてあります。
そういう状況では、釣り人の心理としてどうしても深場を釣りたくなります。深場=温かい=魚がいる可能性が高いという図式を頭の中で描いてしまうのです。
それは決して間違いではありません。しかし100%正しいわけでもないのです。
以下、その理由を説明しましょう。
南向きの海は温まりやすい

秋分の日から春分の日まで太陽は南寄りの軌道を通ります。それが理由で、南向きの部屋は冬でも暖かく、対して北向きの部屋は日光が射し難く、その恩恵を受けづらいです。
これと同じことが釣り場にもいえます。南を向いていると温まりやすいから、魚の活性が高くなる可能性が高いです。
もちろん、温かくなるには時間がかかります。水には「温まりにくく冷めづらい」という特徴があるから、日光が射し込んだらすぐ水温が上がるわけではありません。
魚の活性が上がるのは午後2時から4時頃と思ってよいでしょう。
浅い方が温まりやすい
水は温まりにくいですが、磯やコンクリートは比較的早く温まります。すると、それに近い海水も早く温かくなります。つまり、沿岸部の方が水温は上がりやすいのです。
それに加えて、水深が浅いと日光は海底まで届きやすいです。海水浴に行って、浅いと底まで温かったのが、深くなると底近くは冷たいと感じた経験はみんな持っているはずです。
深場が温かいのは水温が下降している時期に限られます。
上げ潮は冷たく下げ潮は温かい

ここまでの説明で理解できたと思いますが、岸近くの浅場は日光によって温まりやすいです。下げ潮はその温まった海水が沖に出ていきます。
対して、沖の深場は水温が低く、上げ潮はその低い水温の潮が流れ込んでくることが多いです。それでは魚の活性が落ちてしまいます。
以上をまとめると、南向きの釣り場で足元は浅く、午後になって下げ潮を釣ることができるポイントがベストといえます。
すべての条件を満たす釣り場は簡単には見つからないと思います。しかし、1つでも2つでも条件に合えば、試してみる価値は十分あると思ってよいでしょう。