フラつく黒潮を征する フロロドリフト釣法の威力

フロロドリフト釣法とは

はじめにフロロドリフト釣法について紹介します。

ドリフトとは、漂うという意味で山豊テグスが開発した高比重の道糸、磯専用フカセフロロ磯とフカセ専用フロロロングハリスを使い浅ダナから深ダナまでをマキエと同調させながら狙います。

カーボンラインは高比重なのでガン玉を使わなくても直結した6~10mのハリスを海中に送り込み、潮の動きに合わせてタナを探ることができます。

従来のロングハリス釣法が進化したものではなく、道糸にカーボンラインを使用するバスフィッシングから考案されました。ルアー釣りもされる方ならシンキングペンシルを用いたドリフト釣法をイメージすると分かりやすいでしょう。

イメージとしては、ノーガンで目的のタナまで斜め45度でツケエを送り込みます。マキエを見上げるグレの視線の先にあるハリスは斜めに沈下していくため点にしか見えません。

これなら警戒心のあるグレもツケエに飛びついてしまいます。

グレの嫌う違和感を究極に排除したフカセ釣りのスタイルです。

フロロドリフト釣法を取り入れた釣り人は「マキエは食うがツケエは食わない。マキエを食うタナにどうツケエを入れ込むか」というグレ釣りの永遠のテーマに一筋の光明を見出すに違いないでしょう。

黒潮の影響を受ける水島

食い渋るシーズンほど腕が鳴る藤井法秋さんと守山周伺さんは小潮の2月7日、栄松港のかいゆう丸に乗り込み宮崎県日南市の沖の水島に向かいました。磯決めジャンケンで一抜けした守山さんは、一瀬の船着けに釣り座を構えます。

「黒潮の上り潮が走れば食いが立ちますが、下り潮になると食わないのがここの特徴です。大きく潮が動く日ではないのでわずかな潮の変化を見逃さないようにしたいです」

タックル紹介

藤井法秋さん

守山周伺さん

フロロドリフト釣法はノーガンの全遊動仕掛けが基本ですが、ある程度食うタナが予測できる場合や潮が速いときは半遊動仕掛けやガン玉も応用します。活性が高いグレがいればガン玉をモノともせず食ってくるはずです。ガン玉は活性の高さを測る試金石として有効です。

スタート時の仕掛けは、潮受けゴムの下にG6のガン玉をセットしフロロカーボンラインの比重で浮力G4のウキがシブシブとなる設定。朝まづめは大島方向へ上り潮が流れ始め、潮目へ引かれる潮ができています。尾長対策としてハリス2号の先に2.5号のハリス1ヒロ半を結びました。

なんとファーストヒットはわずか3投目。潮目でラインを張って待っていると、ドンという衝撃と共に良型の口太が食ってきました。

潮を読む力が試される

ところが、いつも食わせるポイントで3投目までに反応がなかったので、かなり状況は渋いと守山さん。

「水島は1〜2月はとても小さなアタリを拾うような釣りになります。高感度のカーボンラインは穂先や手元にその信号が伝わってくるので心強いアイテムですよ」

道糸に使う磯専用フカセフロロ磯は、スーパーソフト設計でラインの折れやヨレがなく手に触った感じではナイロンラインと変わりません。

だがフロロカーボンラインの特徴である直進性に優れ、ナイロンの特徴であるラインが途中で吸収してしまうような小さなアタリすらも伝達します。

あとはいかにしてグレに口を使わせるかです。

ひと口に上り潮と言っても反転すると下り潮のように見えるポイントや、沖の上り潮に引かれる潮などパッと見では判別が難しいです。

下り潮が強く流れると黒潮が遠ざかり活性が下がります。

さらに日が上るとグレがガン玉を嫌いアタリが出るタナが深くなります。

守山さんは竿1本プラス1ヒロまで深くして、小さなアタリを取るべく、ハリスは2号から1.75号、ガン玉をG7に替えました。

「あくまでも自然に」がフロロドリフト釣法のコンセプト

フラつく潮に攻めあぐねガン玉を外しますが、ラインの比重だけで沈めても仕掛けの張りが作れます。

上り潮に変わった瞬間だけ膨らませていたラインに変化が出ました。タモに収まった個体は体高があり腹パンで産卵間近を窺わせます。ハリは唇の皮一枚を貫通し飲み込むまでには至らない食い方です。グレの魚影は濃いが下り潮のときは確かに消極的。目標の5尾を揃えて一安心。そんな守山さんを横目に見ていた隣の釣り人が声を掛けてきました。

「なぜそんなに釣れるんですか」というので、お互いの仕掛けをチェックすると狙いのタナ、ウキからハリまでほぼ同じ仕様で、違うのはラインだけでした。

前日の水島はゼロに近い釣果だったので厳しい釣りを予想していましたが、守山さんに限りそれは大きく外れました。しばらく流してもツケエが取られず返ってきていましたがツケエがなくなり始めました。ここですかさずタナを2ヒロまで上げます。

怒涛の5連発

大島の方を見渡すと沖合を待望の上り潮がガンガン走り始めます。その引かれ潮に仕掛けを遠投。マキエを被せフロロカーボンの比重とウキの浮力のバランスを利用して上からジワーっとなじませるとウキがモゾモゾとシモる。潮受けやガン玉で仕掛けを沈めていると仕掛けが立ってしまい一定のタナを横移動するだけで魚との遭遇率は高くありません。

しかしフロロドリフト釣法のように仕掛けを斜めに沈めていくと、より広範囲を探ることができ食わせる確率が高まります。しかもグレが嫌う違和感を消しているのはラインの究極の潮なじみです。

下り潮主流のときですら、ほんの少しフラつく左流れにグレのアタリは感知できました。上り潮になると明らかにアタリ方が違い聞きアワセのようなラインの張りを作るとダイレクトな竿引きのアタリとなります。

食い上がるグレ、5尾連続ヒットに成功。上り潮がグレの活性を高め最終的にはウキ下は1ヒロ半まで浅くなりました。

「この仕掛けは、地域性やその日の潮の状況、釣り人の工夫によって多様な応用ができます」

フロロドリフト釣法の解説に徹してくれた藤井さんも満足気です。プレッシャーから解放された守山さんは「9尾と2ケタは話が違うからですね。ずいぶん体感ショックを味わいました」と笑顔を見せました。

タイトルとURLをコピーしました