
「6ft7inの長さがあるので、ジグをゆったりと動かすことができて、フォールの間をしっかりと取ることができます。巻きの釣りで何回もアタってくるようなケースでも、長いストロークを取れるので乗せやすい。SLJ(スーパーライトジギング)でとても有利なロッドです」
そう語るTAKUさんが手にしているのは、テスト中のニューロッド。2022年のXESTAはSLJで攻勢をかける。タックルインプレッションと共に実釣風景をお届けしよう。

ターゲットは良型のアジだったが
大分県佐伯市沖で実施されたXESTAのフィールドテスト。午前便の乗船メンバーはXESTAフィールドサポーターのTAKUさん(山口県下関市/ドリーマーズハイ船長)、XESTAフィールドスタッフの森友幸さん(宮崎県日南市/海響丸船長)、XESTAスタッフの土屋圭子さんで、2022年の発売へ向けて開発中のSLJ(スーパーライトジギング)用アイテムの数々が持ち込まれた。

メンバーが乗り込んだ遊漁船・Sプレジャーが港を出てから約30分後、緒方船長がイワシの群れを探し当てたのは水深47mのポイントで、魚探の画面には下から20mぐらいのポジションに濃い反応が出ていた。この場所におけるSLJで期待できるターゲットは40㎝オーバーのアジ。
森さんと土屋さんは緒方船長の指示に従ってスローな釣りから開始。2人がチョイスしたジグは、シルエットの小ささが特徴で、フォール中のヒラ打ちアクションを得意とするXESTA/スロービーSLJの40gだった。

一方で、TAKUさんは来期発売予定のXESTA/スクランブルターボSLJ(仮名)の40gを選んで、試作品のブレードを装着。このジグはリトリーブによるウォブンロールアクションを得意とし、ロッドワークでしっかりと横を向くので、逃げ惑う小魚を演出することができる。
「他のメンバーがスローでやってくれているので、とりあえず違うことをやってみます。初めての場所での朝イチは、いきなりスローで攻めるよりも速いピッチで攻める方が効率的。僕はブレードを付けたジグで速巻きからスタートして、だんだんジグを小さくするか、スローな釣りに寄せていこうと思っています」
そう語るTAKUさんが手にしているロッドは、XESTAのスクランブル・スーパーライトスペックS69L‐LS(プロト)。リールに巻かれたPEラインは0.8号、リーダーは4号というセッティングで、状況次第でPEラインの太さを0.6号に落とすことも視野に入れている。

ところがこの日は風がなく潮も動かないという状況のせいか、アジの活性が極端に低いようで、1流し目はノーバイト。そこで土屋さんは、よりスローに誘うためジグの重さを30gに、森さんはリアクションバイト狙いで60gにチェンジ。TAKUさんはジグに装着していたブレードを外して、次のポイントでカサゴを掛けた。
早い時間帯に結果を出したい緒方船長は次々と狙うエリアを替えていき、釣り開始から30分後にやってきたのは漁礁。ここで、中層まで探っていた森さんと土屋さんが30㎝弱のアジを仕留めた。狙っているのは当然このサイズではないが、さらに小さなアジが群れているようで、じゃれ付くようなアタリに手を焼いた。
巨大魚登場

TAKUさんがこの日のアベレージサイズとなる30㎝級のアジを取り込んだ次の瞬間、森さんのロッド、スクランブル・スーパーライトスペックS69L‐LSが強烈なパワーで絞り込まれた。リールのドラグが悲鳴を上げ続ける緊迫した場面に遭遇しても、大物ハンターの異名を持つ森さんは全く動じることがない。
「漁礁から離して、上のレンジで食わせたのはさすがですね。青ですか? それとも銀?」と言いながらサポート体制に入った緒方船長に「たぶん銀ですね」と笑顔で答える森さんは、ファイト中の相手がランカー級のオオニベであることを確信している。
「水温が高い時期のオオニベは元気なんですが、それにしてもこの魚はよく引く。おそらく20㎏近いでしょう」
スピニングリールのスプールに指をあててドラグの回転を制御し、ロッドをしっかりと曲げながらリフトすることで、S69L‐LSが秘めたバットのパワーをフルに引き出す森さん。そのやり取りは終始危なげなく、手に汗を握る攻防はわずか10分ほどで決着。緒方船長のハンドランディングにより船上に横たわったオオニベは全長135㎝で、佐伯沖エリアでは最大級の個体だった。

オオニベの口元を捉えていたジグは、ラインテンションを張らず緩めずのフォールを駆使するスローな誘いにマッチするXESTA/フラップSLJの60gで、PEラインは1号、リーダーは6号というセッティング。
「アジが本命とはいえ、アジを食うデカい魚もいるだろうと考え、ラインはこの太さにしていました。日ごろ船を出している日南エリアの地域性もあると思いますが、自分は普段からあまり細いPEラインは使わないんです。フラップSLJはスロービーSLJに比べるとボディが薄い分、同重量でも見た目が大きく、裏面に溝が設置されているので、フォールの水受けの良さはバツグンです。30gで反応がなかったので、あえて重くしてみました」

森さんが実践しているSLJは、時計の針で例えると、7時の位置から10時の位置へとロッドティップを上げる誘いを一定のスピードで行うパターンと、7時の位置からから12時の位置まで大きく上げて、その後のフォールでアタリを取るパターン。
フォール中はロッドティップを下げていきながら、ラインを張らず緩めずに状態にすることで確実にアタリを取る。


状況に合ったタックルチョイス
オオニベ登場の余韻が残る船上は一気に活気づき、すぐに土屋さんとTAKUさんがアジをキャッチ。土屋さんのアジはスロービーSLJ30gのフォール中にアタり、TAKUさんのアジはベイビーフレアSLJ40gのタダ引きで食ってきた。
続くヒットは森さんで、掛けた獲物は必死の疾走を見せたが、XESTA/スクランブル・スーパーライトスペックB67UL‐FS(プロト)の敵ではなかった。あっという間にネットに導かれたのはグッドコンディションのハマチ。

「ジグはベイビーフレアSLJ40gで、カラーはマッチ・ザ・ベイトを意識したシルバーです。ベイビーフレアSLJはスリム形状なのでロッド操作の強弱で横向きに飛ばすことが可能で、潮があるときでも軽い力でリフトできます。ベイトを意識してキビキビと動かし、ユラユラと落ちてゆくフォールで食わせるパターンは特に青物に有効。ベイトタックルに持ち替えましたが、このロッドはスローな釣りでも巻きの釣りでもすごく使いやすいですね」

風もなく潮も動いていない状況では、ローギアのリールと組み合わせたベイトタックルが有効で、ジグをゆっくりと動かすことで、対象魚にしっかりとアピールすることができる。
その後、さらに沖の漁礁へと移動して土屋さんと森さんがオキメバル(トゴットメバル)をキャッチ。百戦錬磨の森さんもオキメバルを釣ったのは初めてとのことで、何がアタってくるのか分からないのもSLJの魅力だ。
ベイビーフレアSLJ80gにブレードをセットして、タダ巻きからのフォールで誘っているTAKUさんが狙っているのはマダイ。ところがこのパターンにアタってくるのは根に向かって走る大型の魚で、2連続で瀬ズレによる大バラシを演じてしまった。
そこでS69L‐LS(プロト)で使用するPEラインの号数を1号まで太くして、リーダーを5号にして対応。次にアタってきたハマチはすんなりと浮かせて、難なくキャッチすることに成功した。
「青物の反応が出ているよ、と船長が言ったので、スクランブルターボSLJを横に向けた瞬間に食いましたね。船長とアングラーの息が合えば釣れるということの証明。それにしてもスクランブルターボSLJは本当に完成度が高い」
TAKUさんの快進撃は留まることを知らず、スロービーSLJ40gで60㎝級のマダイを追加。

「ハイピッチへの反応が悪くなったので食いが渋いと判断して、よりライトなスクランブル・スーパーライトスペックS63UL‐FSに持ち替えてシャクり方も変えました。ヒットパターンはスローからのショートピッチ3回後の大きなスローフォール。PEラインは0.6号です」
正午を迎えたところで一旦港へ戻って休憩。午後はXESTAフィールドモニターの濟郁恵さんを加えて、改めて大型のアジ狙いにチャレンジする。

ついに目的達成
午後便で獲るべきターゲットは、当初の目的であった良型のアジのみ。ところが潮の流れが緩いこともあり、いくら走り回ってもアジの反応は得られず、太陽が高い時間帯に釣れたのは小型のマダイとカサゴのみだった。
SLJでのアジ狙いはタダ巻きでも釣れるが、ロングジャークからのロングフォールが有効で、ボトムから10m以内のレンジでヒットしてくることが多い。ワンピッチからのフォールで食わせる場合、カーブフォールでは反応が乏しく、ラインのテンションを完全に抜いてしまうことが肝心だ。

ロングジャーク後にリールのハンドルを少しだけ回転させ、その反動でジグを横に向かせることができれば、フリーフォールのアピール度がさらに増す。

そんな釣り方を実践するTAKUさんが、ロッドを大きく曲げたのは午後17時18分。フラップSLJ40gのアカキンで仕留めたアジは43㎝の納得サイズだった。

テクニック、ジグのチョイス、タックルのセッティングが確実に釣果に反映されるタフコンディション下のアジ狙い。SLJの面白さは尽きることがない。

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